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愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。第二十五話。

一日一話、愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。今日は第二十五話「幼なじみは可愛くない…?」です。

帰り道。
みくとのキスを思い出し、「あんなの…さすがに…俺の事、好き…って事だよな…」と思うも、「明らかに、いつもと様子が違った…」と考えるゆきや。その顔は翳っていた。
一方みくは、おばあちゃんにファーストキスの報告をしています。
「最初は…ほんとに唇当たっちゃってびっくりしたけど、」
「勇気出して…何度も…」
「…そしたらさ…ゆきやもキス、返してくれて…」
と頬を上気させ訥々と語る姿は一つ一つを内観しているよう。
さらに
「あの顔、絶対ドキドキしてたよね?」
「私に夢中だったくない?」
「きっと、意識してくれたよね?」
とあの時のゆきやの様子に思いを馳せます。
ここで挟まれる描写が切ない。

膝を抱え座るみく。
自身が丁寧に手入れしているおばあちゃんの仏壇に輝くティアラ。
そして思い返される初デート。キスシーンにまで貼られた付箋。でも、ゆきやがくれたのはキスではなくて…。
顔を埋めるみく。
そして溢れる「ゆきやは…しなかったのに…」
ここ何回読んでも泣く。

「…私、キス…しちゃったぁ…」
「わかってたのに…あの時、アカネ自身に言ったわけじゃないって…」
「でも…」
葛藤、そして…
「…っ、最悪…っ。」
「なんで私…こんなに可愛くないんだろ…」
このページなぁ、苦しいよな。
大好きな人とのファーストキス。それに対して「キス…しちゃったぁ…」と思ってしまうみく。
そしてゆきやの「可愛いです。」がアカネに向けて言われたものじゃないとわかっていながら抑えられなかった自分自身の気持ち。簡単に手に入れようとしてしまった弱い自分。
この「最悪…っ。」も相当珍しいワード。多分初めてじゃなかろうか。それだけに切実さが伝わってくる。
そしてみくの口から語られる「なんで私…こんなに可愛くないんだろ…」
第一話から「もっと可愛くなりたい!」と努力を重ねてきた一方で、ある程度自分自身の可愛さを自覚しているように見えたみくの口から出たこの言葉。それとともに溢れる涙。
もう胸が締め付けられすぎて息が苦しくなってきた。
そして物語は回想へ。

そこにいたのは、内気なみくとそんなみくに当たり前に優しくするゆきや。
バケツを持つのを手伝ってもらっていた姿を見たクラスメイトからの一言、クラスでも孤立し、トイレでおばあちゃんのお守りを握りしめ涙を流しながら病床に臥せるおばあちゃんとのやりとりを思い出す姿は痛々しいほど。
そんな中、ゆきやに連れられ公園に来たみく。
クラスメイトから揶揄われ帰ろうとするみくの手を握って引き留めるゆきや。
成り行きで二人で鬼ごっこの鬼をすることに。
しかしこの頃から足の遅かった二人。全く捕まえられないものの、楽しそうに笑顔を浮かべ、「だって、みんなと一緒に遊ぶのが楽しくて…っ。」と笑顔が弾けます。
そんな様子にクラスメイト達も心を開き、翌日も遊ぶ約束をします。
みんなと別れた後、「よかったな友達できて。」というゆきやに、照れくさそうに「う…うんっ、ありがと。」と返すみく。そんなみくにゆきやは
「ずっと思ってたんだけどさ、」と語りかけ
「お前、笑うとかわいいな。」と伝えます。
この一言がみくの世界を一変させたのです。

クラスで馴染めない間のやりとりと姿は胸が張り裂けそうなほどでした。そんなみくを救ったのはゆきや。友達の輪に入れてくれ、みんなと一緒に遊び楽しさを教えてくれ、ゆきや以外の友達ができ、そして「可愛い」をくれた大切な存在であることが示されました。
14ページ大コマのみくの弾ける笑顔も好きですが、15ページ左下コマ「ずっと思ってたんだけどさ、」のゆきやのセリフがみくに光差してるようでとても好き。とてもとても好きです。
正直ここまでは陰キャでひねくれ者な印象が先行しまくってたゆきやですが、この過去編を見せられて、みくの中でゆきやがいかに大きな存在であるか思い知らされましたね。

そして現在。
「なのに…今は…全然“可愛い”じゃない…」
「承認欲求に負けて…キスで誘うって…」
「最悪…っ 最悪なのに…っ。」
「…嬉しかった…」
「…嬉しくなっちゃったっ。」
「可愛くないっ…可愛くない可愛くないっ…!!」
「ほんっとに可愛くないっ!!」
胸を衝く悲痛な叫び。
ありたい自分とかけ離れたように感じるほどに弱い自分。でも嬉しく感じてしまった思い。
「こんな自分…可愛い…なんてっ…言ってもらえなくて、…当たり前だよ…」
「ゆきやには…ずっと傍にいてほしい…」
「…可愛く…っいないといけないのに…っっ。」
と涙が止まらないみく。私の涙も止まりません。
そしてこの「ゆきやには…ずっと傍にいてほしい…」「…可愛く…っいないといけないのに…っっ。」でみくが「可愛い」にこだわる思いが明かされています。
みくはゆきやとずっと一緒にいるためには可愛くあらねばならぬと感じていたんですね。そしてそれこそが、ゆきやから「可愛い」を引き出すことに執着していた最大の要因でした。
最後、あの日の眩しいゆきやからもらった光が消えていき終わる演出は、とんでもない切なさと美しさを見せていました。
23話から24話にかけてほとんど描かれなかったみくの心境。それが一気に溢れ出た今話。もう胸が苦しくなったり張り裂けそうになったりでしんどいです。
この先、みくの心に再び光が灯されるのでしょうか。

以下余談
今回の表紙は連載1周年記念で、サンデーうぇぶりだとカラーで見れますね。素敵イラストでよき。
そして今話のタイトル「…?」に堂本先生の愛情が詰まっていてとても好き。可愛くないわけないもんね(笑)

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