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愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。第七話。

一日一話、愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。今日は第七話「幼なじみは背伸びをする」です。

さて、前話ではゆきやが倒れたところで終わりましたが、今話はみくの膝枕から始まります。
「こんな事して恥ずかしくないのか…?」とささやかな抵抗をするも「お前が言うなっ!」とツッコまれるゆきや。そんなゆきやに「やっぱり医務室行く?」と健気に心配してくれるみく。本当にいい子や。
そして顔を覗き込まれ照れたゆきやが視線を逸らした先にはみくのお腹が!次のコマで逆を向いてるところを見ると慌てて首を振った様子が見てとれます。
「ただの寝不足だ」というゆきやに「またゲームしてたんでしょ」と呆れた様子のみく。
そんなわけないんだけどさ、「あなたとのデートが楽しみすぎて気合い入れすぎて寝不足です」なんて言えないて。

「まぁな。」と返すゆきやにみくは「いつものゆきやだったら…」と話し、「そんなに背伸びなんてしなくたっていいのに。」と伝えます。
それを受けたゆきやが思い返すのは中学生の頃からの思い出。そこには人気者のみくと、その隣に立つことのないゆきやの姿が。

後に語られますが(主に四十一話参照)、ゆきやは引っ込み思案だったみくが必死で変わろうとして、めちゃくちゃ頑張ってきた姿を知っているんですよね。ただ可愛いだけじゃない。自分を変えたい!って願って、そのために努力し続けている幼なじみだからこそ輝いているし、自分に隣に立つ資格がないって感じてしまうんですよね。

そんな回想を受け「それじゃ…ダメだから…」と呟いたゆきやはみくを抱きしめます。みくは驚き言葉をかけようとしますが…優しく背中を叩いて
「大丈夫だよ。今日…すごく楽しかったよ。」

(ちょっと言いたいことが多いのですが)
まずは6ページの見開きと7ページ右上コマでアップになるみくの「堂本アイ」。美しい。
一方ゆきやは目を固く瞑り懸命な様子。抱きしめる強さからゆきやの思いを察したみくは言葉を止めしばし静かな空気が流れます。ここの、引きで無言で流れる時間を見せる演出も美しい。
そして優しく背中を叩き「大丈夫だよ。今日…すごく楽しかったよ。」。最早神々しい。
一コマ一コマの描写にゆきやの思いとみくの温かさが込められていてとても好きです。

また、2ページからの一連のシーンで見ると、みくのゆきやに対する理解度の高さが、まんまゆきやのみくへの思いの強さになっていて、そんな思いを感じたからこそ出てきた「大丈夫だよ。今日…すごく楽しかったよ。」だったんだろうなと思います。
このセリフ、少女漫画にびっしり貼られた付箋というゆきやのかけたコスト(=徹夜で少女漫画を読み込んで必死に準備を重ねてきたという姿)を見る前に出てきたセリフなんですよ。つまり答えを見る前からみくにはゆきやのかけたコスト(「あなたのためにこれだけのコストをかけました」「喜んでもらいたくて選びました」という思い)が伝わっていたんですよね。
ちょっと強引で期待した形じゃなかったかも知れないけれど、みくのために精一杯コストをかけたゆきやと、そんな思いを感じ取れるみく。こんな二人の関係性が大好きで、「この二人を応援したい!」という気持ちにさせてくれる演出でした。

話は戻り、みくの包容力に「敵わないな…」「結構頑張ったんだけどな…」「遠い…な…」と感じるゆきや。お互いに抱きしめあって今までで一番近い距離にいるからこそ感じる二人の現在地(距離)。
切ないね。

みくももちろん平気だったわけではなく、「あんな不意打ちで来るなんて思わなかった。」とドキドキしていた様子。「思いつめてるみたいだった…」とハッキリ見えないゆきやの胸中を思うみくですが、そこで見つけたのは付箋がびっしり貼られた少女漫画!
今日ゆきやがおかしかった理由を察するとともに、ゆきやも無理していたことに思いを巡らすとともに「ゆきやがそこまでして勝ちたいのはどうして…?」と憂いを含んだ表情を見せるみく。しかしパラパラとページをめくっていくと、キスシーンにまで貼られた付箋が!みくの心が一気にざわめき立つのでした。

いやー、誤解(?)が解けて良かったよ(笑)
今回ゆきやはひなこさんの言葉をどストレートに捉えて全力を尽くしほぼ空振っていたわけですが、それでも相手への気持ちを込めたフルスイングはやっぱり相手に伝わるものでしたね。

本当に五話六話を読んでいる間は、ゆきやの行動、言動にヒリヒリしながら読んでいたのですが、いざ通しで見てみればゆきやの青さと相手を思う強さと、それに振り回される形で描かれるみくの様々な表情と。とても充足感のあるシリーズだったと思います。

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