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愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。第九話。

一日一話、愛してるゲームを終わらせたいの感想を書く。今日は第九話「幼なじみは何もできない」です。

前話「幼なじみはなんでもする」で「大好きな人同士がするような事もなんでもしていい」と確認し合った二人。ここ「恋人同士」じゃなく「大好きな人同士」って言い方するあたり、みくのゆきやに対する「大好き」の気持ちが感じられていいですね。

さて、そんなゆきやの妄想から始まる今話。
いつかゆきやがみくに愛を伝える時が来ると思うと、どんな風に伝えてみくがどんな返事をするのか今から楽しみです!
妄想の中のみくが一筋縄でいくわけもなく、圧倒的煽り力で「ザーコ♪ザーコ♪」と笑う姿はゆきやの妄想ならではですね。
そんな悪夢(?)から目覚めたゆきや。3ページ左上コマの「夢か〜よかったぁぁ〜」に情感がこもっています(笑)
昨日みくから繋がれた左手を見つめながら「こんなんで愛してるゲームできるのか〜…!?」と悶える姿はなんだかんだ高一男子ですね。
九話の扉絵は一緒に登校するもなんとなく距離感のある二人。昨日近づきすぎてなんとなく距離感感じつつ、ちゃんと一緒に登校するのいいですね〜。

さて、学校に着いたもののみくはなかなかゆきやと話せず少し寂しげな様子。そんなみくに助け舟を出しに来たのは初登場となるなっちゃん!
厳密にはグループで描かれることはありましたが、初セリフ&プロフィール(?)付きでの登場となりました。
「放課後一緒にテスト勉強しない?」と言いに来ると、すかさずみくの元気がない様子に気づきます。「どうしたの?」と聞かれて素直に「今日もあんまゆきやと、話せてないなーって…」と返すみく。その素直さをゆきやにも発揮してあげれば…と思うもののどっちもどっちだから仕方ないか。
昨日のことを思い出し悶絶するみくに、「えー?珍しー。いつもイチャイチャしてるのに。」とどストレートななっちゃん。みくは否定しますが、あんなに堂々と愛してるゲームをしておきながら「いちゃいちゃしてないっ!!」は無理ありますって(笑)

「また意地張って話したいのに話さないんでしょ。」とさすが中学からの親友にして愛してるゲームを認知しているお姉さん!
「お姉さんなのでねっ。」の決めゼリフを放ち、ゆきやのところへずんずん向かっていきます。
この作品は(堂本作品全体の特長ですが)周囲のキャラもいちいち可愛くて愛嬌があって魅力的ですよね。
さて、慌てて着いていくみくを尻目にキョドゆきやに威勢よく話しかけたなっちゃん、ところが
「あのさ…」「えっとね?」「んー…えーっと…」となかなかいい言葉が見つからない様子。
そして出た言葉は
「あ、三人でテスト勉強しない?みくが浅葱くんと話したそうだ◎△◻︎…」というあまりにどストレートなもの!なっちゃん嘘つけないタイプなのね(笑)
これにはみくも「なぁーっちゃんっ!!」と全力で割って入ります。
「丁度いい話題が思いつかなくて。」と小声で謝るなっちゃんに「だからいいって言ったじゃんー!!いつもお姉さんぶって失敗するくせにー!!」と小声でうにうにうにするみく。
ここのやりとり二人の関係性が見えて好きです。

「なっちゃんが三人で勉強したいって!」と取り繕い「どーするう?」と謎に上から目線に誘うみく。さっきまであんなに素直だったのに…(笑)
ゆきやも「なっちゃんさんの誘いなら仕方ねぇなっ!」と応じ、三人で図書室へ。

隣同士に並んで勉強するも、その音ですらセンシティブに聞こえるゆきや。ここの空気感好きですね〜。好きな子が隣にいて、衝立があってハッキリ何してるかわからないけど気配を感じるくらいの距離感って、ある意味一番相手を感じられてドキドキしますよね!
そんな二人をよそに一人自己研鑽(?)に励むなっちゃん。真面目に勉強してるように見えないのに成績いい系女子なんですね(笑)

「折角『なんでもしていい』って確認し合ったんだぞ」と思うゆきや。
「やられる前にやればいいだけ!」と思うみく。(ここでも「チャージャーと同じっ」とイカに喩えるあたり、みくのゲーム好きが強調されてますね。)
そうして「他の生徒からの死角…どんなことをしてもバレない!!」
「まさになんでもできる最高の舞台…!!」とその妄想は見せられない領域へ!

「リミッターが外れた俺の、私の本気を…」
「わからせてやる!」「思い知らせてやる!」
と両者勇んだものの…「無理っっ!!」(一時間経過)
そらそうよ(笑)

「なんでもって何ー!?むしろあいつ何してくるの…!?」と完全に頭を抱えてしまうみく。
「なんでも…ってせいで逆に何をしていいのか…」とカチカチするゆきや。
そうして時間だけが過ぎていきます。
ここなぁ、せっかく大好きな人と隣同士で自習してるのに、(図書室だからもともとそんなに騒ぐ場所じゃないとはいえ)何も出来ずに時間だけが流れていくの辛いよなぁ。
しかも何かあったというよりは、むしろデートをして二人の距離が近づいてきたが故に生じているというのがまたね。この数ページでなんとも焦ったくも切ない二人が描かれていて好きです。

いよいよみくは、ゆきやが落とした消しゴムを拾おうとしただけでも「ひゃっ!!」と怯える始末。
これにはゆきやも、
「せっかくみくといるのに、全然上手く話せないな…」
「今まで一緒にいて…こんなに無言だったことあったか…」
「愛してるゲームでも話せなくなったら…いよいよ俺とみくは…」
と悲壮感すら漂わせています。
この辺の丁寧に心情を描くの上手いですよね。毎回全部説明するわけじゃないんですけど、大事なところで丁寧に描写することで感情移入しやすくなっているように思います。
第1巻ではゆきやに辛辣な意見が多かった私も、この頃にはもう「ゆきや頑張れ!」の大合唱です(笑)

さて、「なんでいつもみたいに仕掛けてこねぇんだよこいつ…っ。」とみくの様子を伺うゆきや。
そこにはカチコチになったみくの姿が!
みくセンサーが異常に発達しているゆきやはその姿を見て全てを察します。こういうとこで変に地雷踏まないの偉い。

「変に意識してんだろ。」と聞くゆきやに「は〜?してるわけないじゃん。」と意識しまくりな返答をするみく。ここのみく、乙女寄りに描かれててすごく可愛い!
ゆきやは「心配しなくてもそんな変な事はしねーよ。」と伝え、カチコチみくに「へ…変な事って?」と聞かれ、
「お前が嫌がる事は…しないから。」と返します。
こういうコマの前(18ページ下のコマ)にちゃんとタメを作ってくれるので、こちらも心の準備が出来てゆきやの決めに存分に浸れますね。

衝立越しにゆきやの気持ちに触れたみくは嬉し恥ずかしな表情の後、ゆきやの方に近寄り
「私が嫌がる事ってぇー?」
「えー?言えないような事なのー?」とペン先でツンツン。
ようやくいつもの調子を取り戻せた二人でした。

いやー、青いエピソードだよね(笑)
大好きな人と一緒にお出かけしてさ、距離感少し近づいたけどその距離にちょっと戸惑っちゃってさ、ドギマギしちゃってむしろ距離感感じちゃってみたいな!いいなぁー!
こういうのも好きだなー。最後のみくの心情の変化が表情の変化だけで描かれているところも好きですね。説明するところと絵に託すところの塩梅が絶妙なのよ。

そして次はいよいよ十話、手書き回も乞うご期待!

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