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「どうして清田の手助けなんかするの?」という問いに対する唯一の答え

どうも、こんにちは。G.G.佐藤です。

前々からnoteをやりたいと思っていました。メインはツイッターを使っていますが、文字数に制限があるので書ききれないこともあるので。まあ、本当は誹謗中傷問題に関する情報を発信して、コメント欄などを使って議論するために始めようと思っていたのですが、その前に清田育宏くんの問題で伝えたいことがあるので、先にそっちを綴らせてください。

そういうわけで、表題の通り「どうして清田の手助けなんかするの?」とよく聞かれるので、それに対して答えたいと思います。

今年5月に千葉ロッテマリーンズを退団した清田。その後、彼の自主トレを手伝ってきました。そして、その風景をSNSなどで公開して、清田はちゃんと練習していますよ、動けていますよ、と微力ながら伝えてきたつもりです。

で、きのう11月4日のことですが、彼がロッテを相手に、2年契約の残りの19ヶ月分の報酬の支払いと、契約解除を無効にするという訴え、それに加えて1100万円の慰謝料を求める裁判をしていることが報道され、彼が大炎上したわけです。

まあ、裁判の内容についてはまた今度改めて話したいと思いますので、今回は省略します。

それを受けて、急遽清田に会いまして、1時間位かな、お話をして。その後、コメントの動画を出しました。色々な意見がありますが、そのなかでも「清田なんかと縁を切れ。そのほうがG.G.のためだぞ」的な意見が結構あって、それについて書きたいと思います。

まず、清田の解雇や裁判に関して僕は千葉ロッテマリーンズ球団に非があるとは思っていません。また、清田がしたことは悪いことだし、清田はよく反省しなきゃいけないとも思っています。そして、ファンの方が、清田に対して怒る気持ちは理解できるし、大嫌いになった人もたくさんいるでしょう。そりゃそうだと思います。

清田に会社の球場を貸したり練習相手になったりすることで、僕自身や会社のイメージが悪くなるんじゃないか、ロッテ球団との関係が悪くなるんじゃないかと心配する方もたくさんいます。そういうことを考えて、「縁を切れ」ということになるのでしょう。

確かに、損得で考えれば、清田のサポートをすることは損もあると思います。

では、それを承知でなぜ僕が清田を助けるのか。それは、僕自身が2008年の北京五輪で重大な失敗をした経験があるからに他なりません。

「おいおい、野球のエラーと清田の不祥事はぜんぜん違うだろ!」と思った人もたくさんいると思います。ええ、たしかに違います。しかし、共通点もあるんです。それは、自業自得だということです。

2008年、僕はオープン戦から本当に調子が良くて、前半戦だけで20本くらいホームランを打ちました。夏に開催されたオールスターでもファン投票1位で選んでいただいて、恥ずかしい話ですが、調子に乗ってたんですよね。

急遽、日本代表に招集されたのですが、「厳しいプロ野球でがんばってるんだから、まあ大丈夫だろ」と少し甘く考えていた。過信していたとも言えるかも。とにかく、心の準備が十分じゃなかった。あんまり経験がないレフトを命じられたとき、カッコ付けずに他の選手に教えを請うべきだった。いま振り返れば、そんな風に思うんです。あのエラーは起こるべくして起きた、つまり自業自得である、と。

結果、チームは金メダルはおろか銅メダルも獲れず、帰国したら大バッシング。本当に死にたいと思ったし、消えてなくなりたいとも思いました。本気で僕に対して消えてなくなれと思ったプロ野球ファンもいっぱいいたんじゃないかと思います。

だけど、現実は、そうは行きません。家族がいる、生活がある。死ぬわけにもいかないし、野球をやるしかない。だから、バッシングされても、がんばるしかなかったんです。

あれから13年が経ちました。笑いのネタにすることはあるけど、それでも完全に立ち直ってなんかないし、立ち直ることは今後もきっとない。でも、あの経験があったからこそ、「自分を許す」こと、「失敗した人を許すこと」を心がけるようになったと思います。だって、あのエラーがあったおかげで、人生においてなにか良いことを起こさないと、悲しいだけの過去になってしまうから。

僕が清田を助けるのは、彼の行動を肯定しているからではありません。彼という人間を許そうと思ったからです。清田に対する筋の通った批判も、ただの誹謗中傷もたくさん見てきました。好きな球団に汚点を残した清田を許せない気持ちは分かる。ヘイト感情もあるでしょう。でも、彼にも養うべき家族がいるし、人生があるのです。

年齢的なことを考えても、今回の裁判を考えても、彼がNPBに復帰できる可能性はほとんどないことなど本人も含めて承知のうえです。

僕は、引退したあとトラバースという会社で多くの元NPB選手、独立リーグ・社会人選手を受け入れてきました。野球選手がセカンドキャリアに進むうえで最も大切なことのうちのひとつが、現役生活に踏ん切りを付けることです。

僕も最後は戦力外になって辞めた身だし、引退試合とかもなかったので、最初はなかなか気持ちの切り替えができなかったです。それに、全て納得してユニフォームを脱げる選手なんてほとんどいないのが現実です。

万が一、清田がNPBに復帰できてもあと何年も現役はできないでしょう。いずれはセカンドキャリアの道に進まなければいけません。僕の願いは、是が非でも彼をNPBに復帰させることではありません。

彼がセカンドキャリアに進むうえで、少しでも気持ちの切り替えができるようにしてやりたいのです。そのためには結果が駄目でも「全力でがんばったんだから仕方ない」と思わせてやりたいのです。

僕にできることはこの程度のことです。これっぽっちだけど、それでもやってあげたい。仕事もあるから毎日一緒に練習ができるわけではないけど、少しでも彼が納得してユニフォームを脱げるための協力をしたいんです。

最近はSNSで炎上すると、一般の方でも個人情報が特定して晒されたり、再起不能になるまで追い詰めるような事件が多いと感じます。また、重大犯罪を犯した人に対して「死刑にしろ」など過激な言葉も使われますね。切り捨てる社会って、とても悲しいものだと思います。

想像して欲しいんです。失敗した人間を、全て否定して、ただ切り捨てるだけじゃないやさしい社会を。「G.G.夢見てるんじゃねえ!」って言われるかもしれないけど、それを夢見てる人は、この世界に僕一人ではないと信じています。

サポートでいただいたお金は、プロ野球選手のセカンドキャリアに関わるプロジェクトを進行中なのでそちらに役立てさせていただきます。