ショートショート『アナログバイリンガル』

全盛期のA社を支えていたエース社員が、一身上の都合により会社を去ることになって早20年。社長待望の大型新人が、ついにA社に現れた。

彼はあらゆるプログラミング言語を自在に操る、いわゆるバイリンガルプログラマー。

入社するや否や革新的システムを次々と開発し、A社を再びトップ企業へと引き上げたのだ。

そんな救世主は、入社日から個室が用意されるほどのVIP待遇。今日も彼は誰にも邪魔されない自分だけの空間で、メールを一生懸命チェックする。

「…はい、もしもし?あら社長。どうしました?」
「いやあ…天才プログラマーの君が、帰って来てくれて本当に良かったと思ってね」
「うふふ、むしろ二人分のお給料いただいちゃって、こちらこそ感謝ですよ。


私と違ってコピペしかできない息子ですが、今後ともどうぞよろしくお願いしますね」



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