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皆殺しのJUSTICE

「おい!佐々木!振り返るなよ?!」

「う・る・せえ・・・」

看守に連れられようやく務めの終えた俺は、塀の門への20mばかりの道を歩き始めた。

鉄の大扉が重圧をかけるように立ちふさがる、重厚な鉄板製のそびえる門の左下の小扉には看守が待ち構えている、

「おお、佐々木ようがんばったな?」

「やかましい・・」

「荷物は忘れ物はないか?」

「うん」

小扉が開く。

「ガシャーンキーン」

丁度、朝の4:30ごろを回ったところぐらいだった。収監されるときに付けていた、なんのブランド物でも無い、安物の腕時計が指し示していた。

出た正面は港の隅のコンクリート防波堤が背丈よりやや上で延々と右にアスファルトでもないコンクリート道路と共に続かせ、黒塗りのセダンの30台前後の集団と車脇に立つ黒い背広の男達が中腰でお辞儀していた。

「兄貴!!」

「ああ・・・」

「お務めご苦労様でした。」

「タバコはいかがですか?」

「いやモクはムショでやめたわ。」

「そうですか?」

「ほな、まずは腹ごしらえで?」

「崇?それより道言うから墓までいってくれ」

「ああ山縣の大親分とこですか?」

「まあええから言われたとおり行け」

「了解しました」

一斉に車に乗り込む、ドアを閉める音が朝焼けの空に何重にも響いた。

車窓から外を見ると、近隣の様子も何の商店やサービスなのかも丸でわからない、道行く車も見たこと無い車種、崇のサイドBOXの上に置いたタバコの箱も意味がわからん。

「兄貴?で誰とこにお参りされるんですか?」

色々だ、この辺りだとそこに大体集まっとる。

「そこを左だ」

「はい」

佐々木が急に口を開きだした、「坂元つってな?丁度挙がるときの案件の被害者とこや」

「ああ、組関係の人ですか?」

「いや、たまたまその日シノギの話してた堅気や、俺も腹とモモに二発くろたからな?」

「ああそうなんですか?」

「たぶん、報道公開されてないから本家に習い、行ってたお前はあんまりわからんやろ?」

「ああ、」

「ほんなら、丁度13年前ぐらいですか?」

「そやな?」

「まあ何も無いけどまずはワビいれとこかな?とおもてな?」

「わかりました」

「そこや」

修幸寺と白黒看板が立っていた。

「ほな、お前らここで、いてて?」

「わかりました、お気をつけて。」

佐々木はどデカい図体を背面だけ見せて墓地の中へと消えていった。

「続く」

《END》





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