見出し画像

森制御

一年ほど前の話だが、2つ森を光らせる仕事をした。

2018年の7月と9月に公開になった仕事で、制作している時期は重なっていたと思う。どちらも森の木々が光るという共通点があった。

Omen

村田朋泰さんの個展で展示された作品。森の木々が光り、明滅が動くことでストーリーを表現するものだ。siroとして開発したのは、LEDを調光するシステムで、全部で320本ほどの木を一本ずつ調光する。映像を再生することで光を制御できるため、作家による映像の作り込みでインスタレーションの光りを作り込める。ときには光が波紋を描いたり、時には雷や雨のような表現をする。森を俯瞰して眺めることで木々の光の連動が見える。

こちらはジオラマのようなサイズ感。

森の宴 照明演出

こちらは、建築家の河内一泰さんから誘っていただき一緒に取り組んだ仕事。森の木々にLED照明でライトアップするのだが、その照明が呼吸するようにランダムな周期で明滅することで森全体で様々な光の動きが見えてくる。こちらはシンプルな仕組みで、一つ一つの照明は独立しておりシステムとしては連動はしていない。

こちらは1/1サイズ。

偶然

2つの仕事が同時期に来たのはたまたまで、何のつながりもないのだが、作っていたこちらとしては、いろいろ考えてしまった。

Omenは制御が連動しているので、森全体でのダイナミックな動きを時間軸の中でコントロールできる。一方で森の宴は実スケールの本物の森でやっているので、そのスケール感などでシンプルな制御でも十分な感動があった。

贅沢に2つの要素があわさったら、実スケールの森の中で光の動きが森全体をさまようように動く。更に妄想し、音も光とともに動き回るような演出ができたら、それは相当すごそうだなと。

妄想システム設計

上記の実スケールでのOmenみたいなものを作ろうとしたら、シンプルなシステムで実現できるだろうか。

・電源は個別に取る必要がある(森のため太陽電池は難しそう)・電源がどのみち有線なので、通信も有線にしてしまう。RS-485(DMX512)が妥当だろう・木の位置とIDを管理しないといけないので、正確な制御をするならドローン等で上空から撮影し補正したい・IDは適当に接続し、点灯を順に送り俯瞰目線で記録し、IDと位置関係を半自動で入力したい

うーん、ここまで考えただけでもいくつかの壁がある。だが、実現できると、遠くからなにかがやってくるような演出もできるし、森全体が音と連動するように光ることもできる。繊細な表現も力強い表現もできそうだ。

波紋表現だけをやろうと思った場合どうだろうか。

・木に取り付けたマイクで音を受け音量に応じて光量を変化させる・波紋の中心で大きな音を出す・音は毎秒350mほどの速度なので、音を出したところを中心とする波紋が現れる・音は遠くに行くと小さくなるので波紋は遠くに行くと暗くなる

あれ?これでいいんじゃないか?というか、音の到達位置が可視化されるだけでも面白い。電源問題は残るが。というか、サウンドリアクティブで通信なしで制御っていい考え方!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?