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「物語る回転装置」について語る

siro exhibition 01「が、動く」に展示した作品「物語る回転装置」についてメイキングなど書いてみます。

siro exhibitionについてはこちらをご覧ください。

最初に動画貼っときます

(めっちゃフリッカーでてますが、肉眼ではきれいに見えます)

企画段階

今回は渡辺 浩彰とのコラボなので、二人で企画会議をしていました。展覧会のテーマは「が、動く」ですが、我々二人にとっては「体験性のある物語」というテーマでここ数年話を重ねてきたので、その話に傾倒します。

どれも面白そうなんですが、作るのが大変すぎる。声優さんアサインとか、俳優アサインとか、いろいろな障壁が思いつきます。

そこで、考えを転換しました。「動く」という展覧会のテーマを軸にアイデアを出し始めました。

感熱紙にテキストを大きく出せば表示装置になる
電光掲示板を使うアイデア

この二枚目に「物語る回転装置」がいますね。

左に書いてある回文ぐるぐるは、もともと松山が考えていたスーパーシンプル案です。コラボなんでこれを作る予定はないけどヒントにしました。

で、電光掲示板が回転するという思いつきとほぼ同時に複数の視点で展開するというアイデアがでました。

siro exhibitionメンバーへの共有時は以下のようにしました。

2方向で展開

設計

案件を多数抱えて超絶忙しかったので、割と実現性が高い案を採用したつもりですが、それでも回転する電気ものを作ることになります。

ポイントは以下の点です。

電光掲示板はRaspberryPiでドライブするものを作ったことがあるので、そこはイメージできてる。

MOTサテライト2020で高橋琢哉とコラボで作った作品の一つ

でもその電光掲示板部分が回転します。回転させるだけなら、スリップリングで電源を伝達してあげれば、無限回転しつつも電源を伝えられるのでクリアできます。RaspberryPiを上に置けばいいわけです。

上記のように色んなところでホビーっぽい感じのスリップリングが売ってます。

でも回転は制御したいです。止まったり動いたり。すると、モーターを上に入れれば、電源だけ伝達してOKってことになりますが、モーターはオリエンタルモーターのAZシリーズを使いたいし、歯車とか入れることを考えると、上の部分が分厚くなっちゃいそうです。それは嫌だ。

なので、モーターはやはり下です。下の部分に入れたい。すると、モーターコントローラーとRaspberryPiの通信もスリップリングを通すことになります。ここだけ不安要素。。

とりあえず、実験したところうまくワークしました。Modbusなんで、RS-485配線です。2極をねじって対策しました。スリップリングの内部だけねじれませんが。

問題はクリアしたので設計してしまいます。まずは、LEDパネルのサイズを決めるためにボリュームテスト。

横幅160mmのパネルで8個並べるとこういう感じ。悪くない。

でも、文字が入る量を検討すると、

32 x 32を10モジュールに32point文字

これではちょっと文字数が少ない。

同じパネル構成でもポイント数を下げれば当然文字数は増えます。

読めるっちゃ読める。なので、バランスを取って、ピッチ5mmの電光掲示板で32 x 64のパネルを5個並べて、32 x 320 pixelの画面とします。それが両面。

改めて検討。結構でかいけど、これが良さそう。

メカ機構を設計

中空シャフトを使って、ベアリングを使ってという感じで割りとシンプルです。スラスト方向の力をうけたいので、スラストベアリング入りのベアリングホルダを使ってます。

そして、今回はギヤです。ちょっと使ってみたかったし。

外装

今回の外装はこんな感じの設計です。

一番下ののっぺり部にラズパイ入れる

わかりますね。3Dプリント前提です。

BambuLabから出てきた様子

このプリンター買ったおかげで超助かりました。PLAマット使ってきれいな出力をハイスピードに得られました。

試しに2個だした
ピッタシ(この写真が展示開始の1週間前)

LEDパネルに磁石の皿ねじパーツをつけることで、磁石でマウントできます。

受け側のプリントパーツに鉄のネジをいれればそこにカチャッとつくわけです。3Dプリントを直接タップ切って入れちゃいました。

ベアリング、シャフト、外装、あたりが揃ったので組み立てました。

LEDパネル光らせてみましたが、モーターがこの時点では届いてません。。。この手で回転させてる動画が展示オープンの3日前の夜中ですね。

2日前にモーター届きました。ですぐ組み立て。

フォントの検証してますね。今回はフォント組み込みじゃなくて画像を表示してるのでライセンスは問題なし。

物語

物語は渡辺くんに書いてもらいました。こういう感じで原稿が上がってきます。

2つの目線で書かれた同じ行数の物語。1行13文字までという縛りのなかでうまいこと書くもんだなぁと感心しながら、プログラムしていきます。

あとはいつ回転させるかとか、そういう動きを組み込んでいきます。演出は渡辺くんがメインでコントロールするので、相談しながら実装です。現物を前に追い込んで行きます。ここが一番面白いところ。

作りながらわかりましたが、動きが止まって文字が出るとか、動きながら切り替わるとかで、全然雰囲気が違う。なので、動きを演出要素としてかなり積極的に取り入れました。

電光掲示板が回るだけでこんなことができるんだなぁと可能性をビシビシ感じる展示前夜。楽しかったです。

とかなんとかでいよいよ完成しました。搬入日に搬入せずに事務所で作業続けて完成したのが、夜中の2時とか?ここで作品完成したあと、「ご挨拶」の文章を再生するプログラムをAppleTV用に書いて、挨拶文を書きました。。。へろへろ。

そして、当日の朝に搬入しました。ギリッギリ!!

まとめ

今回は、OrientalモーターのAZシリーズのお陰でゼロだしとかが不要だったのが超楽でした。そして、BambuLabですね。3Dプリントで外装が作れ、しかも出しっぱなしの状態できれいだったおかげでかなり手間が省けました。十分製品ぽいクオリティ。素晴らしい。いい時代です。

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