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人は何を魅力的だと思うのか

大げさな感じで書き始めていきます。今日は日頃から何かを企画したり作ったりするときに意識してることを書いてみようかと思います。

魅力的にみえることはなにか

展示の仕事をよくやってますが、そういう展示なんかでは何かを見てもらいたくて展示をするわけですので、見てもらうために必要な魅力が不可欠だと思います。魅力が足りないと誰も立ち止まらない。見てもくれない。

そういう魅力の要素ですが、自分が考える良いタイプのものをいくつか書いてみます。

デザインがかっこいい

バカみたいな感じで書いてますが、まじでそういう感じで考えてます。すいません。「カッコイイやつ」は魅力があります。まずは見た目という意味で。

Sony Park展 「⑤半導体は、SFだ。」 with YOASOBI
のなかで吉田真也さんにデザインしてもらった懐中電灯

上記の吉田さんにデザインしてもらった謎の照明なんかそうです。通常展示体験のためのアイテムをここまでこだわって作ることはないですが、かっこいいのは普遍的な魅力であり、そして本物感を漂わせます。

なんか面白そうなやつ

実は「カッコイイ」というのが単独の要素だとデザインの魅力に惹かれないタイプの人にとっては、スカしてる感じに見えるかも知れません。それよりも、「面白そう」という見え方は魅力を放ちます。デザイン的にすぐれていて、かつ面白そうというのもあるので、相反する要素ではありません。

娘のプレゼントシリーズ、次女1歳のビジーボード

上記のビジーボードなんかは、スイッチとかたくさんついててなんか面白そうですよね。小さい子どもでもそう思うようです。大人なんかは、「押したらなんかなるんかな」という目で見ると思います。

変化があるもの

いわゆる「インタラクティブなもの」とかも含まれますが、それに限りません。変化があるものっていうのは気になります。それは、「動いてるもの」とかもあると思います。

とにかく変化というのは「見逃せない」感覚になるのだと思います。「仕組みが気になる」というのもあるかも知れません。

不思議な宿のたまに動く喫茶店

上記の「たまに動く喫茶店」は、動かないと思っていたものが急に動き出すということが魅力になっていると思います。

自然の魅力

仕事ではそんなに使えてませんが、作品の方ではよく使っています。自然の魅力というのは強いと思っています。例えば、「水」です。

水がどうして魅力的なのか、ということについては、人間は水がないと生きていけないということもあると思います。人が水を水と知覚するのはどこかというと、キラキラしていて、光を反射したりする要素が一つあると思います。透明度が高いと透過し屈折するので、屈折があるとさらに飲めそうな価値の高い水に見えるかも知れませんね。そして、それがさらに動きがあるとより強まると思います。

いろづくあわ
KAPPESで作ったMOMENTum

コンピュータの画面の中で物理演算の動きとかが出てくると、なんか魅力的に見えると思います。これは、いくつかの要素が重なってると思います。コンピュータの画面で描かれていることなのに、まるで物理の世界で起こっているような動きが再現されると、「おっ、すげー」という気持ちになると思います。コンピュータなのにリアルじゃんってやつですね。超リアルなCG見たときに「おー!」って思うのと同じだと思います。もう一つは、自然な感じっていうのはなんか魅力なんじゃないかと思います。

わかる魅力

表現しようとしてることがわかりやすいと、それは魅力につながると思っています。「わかる」と言ってますので、「あたりまえ」ではないんです。一見して、「これはなんだろうな?」と一回わからないときがある。でも見ていると「わかる」。すると、「わかった」という快感があるので、それは魅力になると思います。わからない時間が適度で、わかったときの感動がある方がいいですね。

田部井美奈さんの展示「光と図形」での照明を使った演出
壁にある左上の写真の構図が、ある時再現される

上記の田部井さんの展示での演出はまさにそうかもしれません。田部井さんの思いとしては、「影も含めて平面構成として作られていることを示すために、ある瞬間の写真であるという感覚を見る人に持ってもらいたい」ということで、動きのある演出を要望されました。そこで光をつかい、影の方を動かし、あるときだけ写真と同じものになる。

何気なく見ていると、これはなにかな?なんで影が動いてるんだろう。とか、なんのために置いてあるんだろうと思うかも知れません。でも写真のものと同じ構成要素だと気がつき、その写真と同じ状態になることに気がつくと、「あっ」っとなると思います。その時「おもしろい」と思うのではないか。

わからない魅力

逆説的ですが、わからないことも時には魅力につながると思います。

村田朋泰さんの個展「AMETSUCHI」での作品

上記の村田さんの個展での作品は、茅葺きの小屋の中に富士山の模型があります。屋根の下にあるのに雨が降っています。「なぜ?」とか「なに?」という感情が頭に出てくると思います。それについて明確な回答はありません。理由がわからないままにそれを眺めます。

わからないことはストレスになるような気もするのですが、不思議とそれはそれでいいという感じがしてきます。自分にはわからないけど、この作品を作った作家にはなにか明確に見えているという感じがしてくるのです。そうなったとき、「わからないけどなんか好き」というある意味わかってしまうよりも尊い感じ、崇高な感じというのがすると思います。


他にもいろいろある

人はなにを見たときに魅力を感じるのか、というのは実に面白いテーマです。自分がなにかに惹きつけられている時も「なぜか?」と考えてみる習慣があります。

子どもは何に惹きつけられるのか。テクノロジーに関心がない人は何に惹きつけられるのか。急いでいるときでも足を止めてみてしまうぐらいの魅力とはなにか。など、考えを深めていきたいテーマはこの周辺にいろいろあります。

ここ5年ぐらい考えている「高級感とは何か」というのも基本的にポジティブな意味での高級感なので、つまりは、魅力の研究の一環と言えます。

より多くの魅力を自分の感覚として理解して、うまく活用できるようになりたいなと思って毎日考えています。

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