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Spectrum Tokyo Design Fest 2022 現地参加レポート(2日目)

この記事は GMOペパボデザイナー Advent Calendar 2022 の10日目の記事です。昨日は Spectrum Tokyo Design Fest 2022 現地参加レポート(1日目)で、2日連続の投稿です。(枠が空いてたから)


みなさんこんにちは。GMOペパボ EC事業部でデザインリードをしているりんです。
昨日に引き続き、Spectrum Tokyo Design Fest 2022にオフライン参加したレポートになります。(私がフェスに参加した理由は昨日の記事にて

<Report1>身体知から日常を体験する、人の行動を追体験するワークショップ(ワークショップ)

ゆめみ CXO / デザインストラテジストの栄前田さんによるワークショップ。
冒頭に仰ってたように、今までにない感じのワークショップでした…w
日常において、私達は何かを思い出そうとするときに頭の中や感情による記憶から想起しがちです。ですが、日常的に習慣になっていること=身体が思えていることもあり、それについては無自覚であることが多いです。それをあえて自覚しよう!というのがこのワークショップの目的(と認識しました)。
具体的に行ったことは、ペアでお互いの「朝、目を覚ましてから5分間」の行動を演じるというもの。お互いに情報交換をし、細かな演技指導まで行いましたが、実際演じると5分間って意外と長いな〜とか自分こんな感じなのか〜という気付きがあり、不思議な感覚になりました。
自分の行動を意識してメタ的に俯瞰することで、普段と違った気づきが得れるという良い学びになりました。身体や頭をたくさん動かせて楽しかったです!(ペアを組んでいただいたべぢまきさん、ありがとうございました!)

<Report2>エシカルデザインとわたし

Classi シニアUXデザイナーの松本さんによるセッション。
エシカル(ethical)=倫理的という意味であり、エシカルデザインは非営利団体ind.ieによると以下のように定義されています。

サービス提供者側の利益のみを動機としてデザインするのではなく、ユーザーの「人権」「人的労力」「人間の経験」の3つを尊重してデザインする考え方です。

https://ind.ie/ethical-design/

今回すべてのセッションを通して感じたのは「サービスやプロダクトを通してユーザー(人)に良い体験を届ける」ためにみなさんがデザインに取り組んでいるということ。もちろんその土台には人への尊重があることが伺えます。
松本さんはサービスやプロダクトに触れる人の体験を通して良い経験・笑顔(Delightful)を生むこと、それはユーザーにとっての本質的な価値につながるとお話されていました。
昨日のエモーショナルデザインのお話にも通じるところがあるなぁと思いました。

<Report3>デザインのリファクタリング(慣れを大切に)

エクサ シニアサービスデザイナー / Design Sprint Masterの安藤さんによるセッション。
早速資料が公開されていました!ありがたや〜。

デジタルプロダクトにおいてソースコードのリファクタリングは身近ですが、UIデザインやUXデザインにもリファクタリングを取り入れていこうというお話でした。
デジタルプロダクト領域は進化が早く、新しい技術を都度取り入れていくことができれば良いのでが、プロダクトの規模感やリソース状況など様々な理由から理想通りにいかないこともあります。やろうやろうと思ってたけど、気が付くと使い勝手の悪いプロダクトになってしまい、このままではいけない!と意を決してリニューアルに踏み切る。ですが、リニューアルもかなりの時間と労力がかかります(経験者は語る…)。結果としてやって良かったけど、大きな変化は既存の操作に慣れているユーザーに混乱を招きます(経験者は語る…)。
そこで、少しずつ良い方向に改善を重ね、結果として大きな変化を生み出すことで、ユーザーが変化に気づかないほど緩やかなアップデートが実現できます。
リファクタリングのポイントは以下の3つ。

  • 速く感じるUI設計。ユーザー体験に大きく影響する。

  • UXライティングの改善。文言はコスト対効果が高い。

  • ユーザーが感じるちょっとした引っ掛かりを細かく改善する。

3つめの細かい改善は、ユーザーが期待する反応と大きくズレない体験設計が重要ということで、昨日の学習体験のデザインのお話にもあった「ユーザーも無意識に期待のPDCAを回している」という話とつながるところがあるなぁと思いました。

AMAでは、どうしても限られたスケジュールで一気にリニューアルをしないといけないときはどうしたら良いか?と質問をさせていただきました。その場合は、変更をした箇所を丁寧にユーザーに伝える(マニュアルやレクチャーなど)、またはユーザーを絞って段階的に提供していく(βリリース)ことでユーザーの混乱を最小限に抑えることができるとアドバイスをいただきました。
また別の方の質問では、UXライティングの改善を行う日を決めて一気に対応するのが良いということも言われていました。

自分のこれまでの経験でリニューアルの進め方について反省することもあったので、強い気持ちで日々のリファクタリングを心がけようと思います!

<Report4>Brush, Ink & Code – The Making of a Font

昨日ワークショップをされていた、タイプデザイナー Ulrike Rauschさんによるセッション。
Rauschさんは手書きフォントに価値や魅力を感じると仰っており、私も温かみや人のクセのような面白みを感じます。
味のある手書き風フォントも世の中に沢山ありますが、アルファベット毎に1つのデザインしかないため、同じアルファベットが連続すると急に機械的な印象になってしまいます。そこでOpenTypeのフォント特性を利用すれば、より自由度の高いフォントが作成できます。
Rauschさんはフォントを作成されるとき、紙に沢山文字を手書きし、その中から気に入った文字を選びフォント化されるそうです。そうして作られたフォントの1つ「LiebeHeide」は、フォント特性を利用すれば本当に紙に手書きしているような印象になります!
フォントってここまで自由にできるんだ!と、昨日のワークショップも含めて良い学びとなりました。

<Report5>これからの組織とデザイナーの関係、そして新しいデザイナーの姿とは?

A.C.O.  COO / アートディレクターの沖山さんと、さんぺいさんによる対談形式のセッション。
グローバル組織での働き方や、アートディレクションからマネジメントや経営に携わるようになった経緯やモチベーションについてお話されていました。その中で特に印象的だったのがデザイナーのキャリア・未来についての話でした。ここ数年でデザインが求められる範囲はどんどん広がっていますが、デザイナーは万能ではなく各々得意不得意な領域もあります。それぞれが得意なことを生かしてデザインすることが必要で、その中でも技術的なスキルだけでなく、その人の特性にも注目してキャリアを考えられると良さそうと仰っていて、ちょうど来年のデザイン組織について考えている私にとって大きなヒントとなりました。
とても和やかな雰囲気のセッションで、会場の窓から射す西日の感じと相まって良いお話を聞きながらなんとなくエモい気持ちになった時間でしたw

<Report6>minneのブランドを反映したイラストができるまで

我らGMOペパボ シニアデザイナーのまいどんによるセッション!
良いブランドは一貫性を持ち、体験を通してユーザーの心に残り、選ばれ、結果としての利益を生みます。そのブランドのメッセージを視覚的に正しく表現しユーザーとコミュニケーションを取るために、ハンドメイドマーケット「minne」では各タッチポイントで使用されているイラストのアップデートを行いました。
ただそれっぽいイラストを属人的に作るのではなく、そうなった理由を明確にし、ガイドラインやアセットを用意することで誰でも同じクオリティのイラストが作れるように工夫されています。
詳しくは、以下の記事で同じテーマが語られている&面白いのでぜひご覧ください!カラーパレットのお話もぜひ!

私が携わっているECプラットフォーム「カラーミーショップ」もイラストアセットを作成中なので、今回のminneの事例を参考に進めていく予定です。(その話もまたいずれ…)

<Report7>「銀行らしくない銀行」ができるまで

みんなの銀行 プロダクトデザイナーの河田さんによるセッション。
私、みんなの銀行のデザイン大好きなんです…!ほぼモノクロなのに、親しみが合ってワクワクするあの感じ、すごくないですか??? でも使えるカラーの成約とか、デザインするときにどのようなことを意識しているんだろう???と、色々お訊きしたいことがあったのですが、AMAの参加人数がすごかったので行けなかった…w
テーマの「銀行らしくない銀行」ができるまでのプロセスについて、ぶつかった課題と、解決に向けて銀行員と新メンバーが所属する組織の意識改革を行ったお話をされていました。みんなが考える「新しい銀行のイメージ」を集め、ミッション・ビジョン・バリューへ落とし込み、それを浸透させるための行動指針となるマインドセットやグッズを展開された点が興味深かったです。
また、周囲が考える「デザイナーの役割」のアップデートも必要だったそうで、ステークホルダーとコミュニケーションを取る中で役割を知ってもらうプロセスはさすがデザイナー!という感じでした。
河田さんの「デザインには組織を変える力がある」ということをデザイナーではない人にも実感として持ってもらうことが大事というお話は、まさに自分の組織でももっともっとやっていきたい部分だなと感じました。

<Report8>「つくりたい体験」からはじめるプロダクトデザイン

Nucumo サービスデザイナーの野崎さん、デザインエンジニアの三橋さんによるセッション。
課題にだけフォーカスしてしまうと解決策の軸がブレるので、まずは「つくりたい体験」を考え、それを実現するための課題を解決しようというお話でした。その事例を、お二人が作ったサービス「Hidane」の開発プロセスから紹介いただいたのですが、よくできている…!またその解決策の確からしさを測るために1,000人のユーザーテストを行ったとか。す、すごい!
お二人ともお若く(三橋さんは学生さん)、え?人生n回目?転生人?と思ってしまうくらいプロセスもプロダクトもしっかりしていて本当に素晴らしいです。現在「Hidane」はベータ版として提供されているそうです。私も使わせていただきます!
(スライドが公開されていたのですが、Speakerdeckがメンテ中だったのでリンクはまた後ほど…)

さいごに

本当に楽しい2日間でした。フェスに参加した目的はすべて達成できた。

お話させていただいたみなさんありがとうございました!これからもよろしくお願いします。
最後に、こんなにもステキなフェスを開催してくださったさんぺいさんを始めスタッフのみなさま、本当にありがとうございました!そして2日間お疲れさまでした!!!(子どもがもう少し大きくなったらスタッフとして参加してみたいな〜)

朝のワークショップで栄前田さんが「ふりかえりは言語化するまでが大切」と仰っているのを聞いて、早めのアウトプットを心がけてみました!

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