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あわてんぼう共の"THE 5"〜現れた救世主〜

12月22日。

この日、代官山のライブハウスSPACE ODDで、我々GET BILL MONKEYSのワンマンライブ THE "5" winte showが開催された。

皆さん、来てくれて本当にありがとう。

ビルモンのワンマンと言えば、毎回楽屋やリハーサル中に発生する、数々の『ハプニング』『珍プレー』『裏エピソード』が定番だ。

(主に主犯は、パーマン4号ことノロナオキ)

今度はどんな事件が起きるんだろう?

ここ最近はKONG自身も、新しい『とんでもエピソード』が爆誕するのを密かに期待していた。

さて。

ワンマンライブ1週間前の最終練習日。

文字通りこの日が最後のリハーサルとなり、この日に全てのクオリティを上げて、ワンマンライブ当日の3日前に行われるゲネプロ(※通し練習)を残すだけとなっていた。

湯口翔平が口を開く。

湯「ノロちゃん大丈夫?」



ノ「ん?何がっすかぁ?」



湯「SEの準備」



ノ「……………あっ!w はぁい!」



お気付きの通り、最終リハーサルの時点で『入場SE』はまだ完成していなかった。

因みに、ここ1ヶ月でこのやり取りを聞いたのは、もうかれこれ3度目である。

事前に2人が密に連絡をとって、SEのイメージを伝え合ったりしている筈だが、ノロナオキがノロナオキである以上、最高の結果も最悪の結果も、どちらも予想が出来てしまう。

シュレディンガーの猫…いや、シュレディンガーのノロである。


そして4日後のゲネプロ当日。


湯「さぁ!通しますか!」



機材のセッティングも終わり、湯口がニヤニヤしながら言う。

ふと見ると、ノロナオキのパソコンが音響の機械と繋がっている。

(ふっ。流石ノロナオキ。なんやかんやでSEを完成させて来ているな…)

本番同様、入場から『通し』でやるこのタイミングまで、SEを一切聴いた事がないメンバー達。

この時点での気持ちは、会場のお客様達と一緒だったのである。


ノ「じゃあ、流しまあす!」



ドキドキしながら再生された音源を聴く。

するとどうだろう。

…なんと最高に素敵なSEじゃないか!!!

これは早くお客さんに聞かせてやりたいぜ!!!

そんな感動とフレッシュな気持ちに満たされたビルモンメンバー達。


湯「Alright!行くぜェッ!」



こうして、ゲネプロは始まった。

ゲネプロ終了後。

KONGはノロに声を掛けた。


コ「SEすげぇじゃん!!やるじゃん!!」



半笑いのノロが答える。

ノ「ありがとうございます!
でも、まだ完成じゃないです!
ぶっちゃけ50%ぐらいっす!w」


コ「50%!?…つーことは、普通の人なら20%じゃねぇか」


ノ「なんでだよwそこは逆に高いんじゃねぇのかよw」


カワコウ「つーことはもう、間に合わないっすね…TUBEでも流しますか…。」


ノ「なんでだよwあとは微調整だけだよw」


ブ「・・・・・・・・クスッ」


そんな軽口が飛び交う程、メンバーのテンションは高まっていた。

この調子なら安心だ。

和やかな雰囲気でその日は幕を閉じ、あとは当日のリハーサルで照明含めしっかり確認すれば万全!

しかも、当日のリハーサルはサウンドチェックの時間込みで約2時間もとっており、余裕を持ったワンマンライブとなった。


ワンマン当日。

KONGとノロは、『13時』にKONGの家でドラムセットをピックアップして、一緒に会場に向かう予定だった。

入り時間から考えると、かなり余裕を持った出発時刻である。

ノロナオキが前日に

「会場着いて少しゆっくり出来るぐらい余裕があって良いと思います!」


と張り切っていたからであった。

KONGは自宅の前で腕時計を見た。

時刻は13時30分。

既に30分の遅刻である。


「すみません、ちょっと遅れてて、13時30分頃に到着します」


事前にそう連絡が来ていたので、そろそろかと思って外に出ていたのだが、一向にノロがやって来る気配がない。

そこで携帯が鳴った。

「すみません!事故渋滞でもう少しかかります!」

結果、ノロが到着したのは14時15分。

事故渋滞で足止めを喰らっていたは事実であり、誰のせいでもない。

しかし確実な事は、“もう入り時間には間に合わない。もっと言えば、リハーサル時間の準備時間も少なくなってしまった”という事である。

大丈夫か?

ドラムのセッティングって時間かかるぞ?

誰かに手伝ってもらうか?

そう脳内でKONG会議が行われていたところ、ノロナオキが口を開く。


ノ「いやぁ〜!!どーなりますかねぇ!!」



コ「まあ、遅刻はするけど大丈夫だろ。本番のリハで確認する所さえしっかりやれば!」


ノ「いや、そうじゃなくって!アフターパーティーっす!」

目をキラキラ光らせたノロナオキがハンドルを握っている。

この男はもうリハーサルどころか、本番終了後のアフターパーティーに心が奪われている。

アフターパーティーは、ワンマン終了後に別会場へ移動し、お客さんとビルモンメンバーが、朝5時まで和気あいあいとお酒や食事を楽しむ、ファン交流会のようなイベントだった。

実際、ノロはアフターパーティーの事もとても考えていた。

『食事だけじゃなくて、何か出し物的な事をやるべきじゃないか?』

『メンバーがDJブースで曲を流すだけでは、物足りないんじゃないか?』

『マジックは盛り上がるか?』『折り紙を披露するか?』『トランプは必須だろうか?』

お客さん達とせっかく一緒に過ごす時間だ。

『楽しくなかった』と思われないよう、彼なりに必死に考えていた事を思い出したKONGは、ノロに優しく答えた。

コ「アフターパーティーか。。。
まあ大丈夫だと思うよ。
いざとなったら俺、一応マッチ棒クイズとか用意してきてるし」



ノ「わぁ!!さすがKONGさん!!
それ最高っすね!!!
あぁ〜KONGさんごめんなさい!!
俺、マジックするっていってたけど、今日浮かせる物何も持ってきてないっすぅ!!」


なんともノンキな2人である。

  

ノ「そういえば実は俺、この間のお台場のライブから記憶がないんですう。。」


コ「え?マジで?」



ノ「あ、いや、記憶ないのは嘘なんですけど」



コ「もう、なんやねんお前ぇ」



アハハハハハ!

アハハハハ!

アハハハ

アハハ…

そんなこんなで会場に到着。

既に入り時間を大幅に過ぎており、機材搬入やらなんやらで、時間は押し押し。

ギリギリどころか、かなり危険な状態だった。

しかもそこからドラムを一からセッティング。

メンバーも一生懸命に手伝ってくれているが、ガチャガチャと機材を組み合わせるのは本当に難しい。

説明する時間も惜しくなってきて、無言でテンパるKONG。

さっきまでの車中のバカテンションは、もう何処かへ消え去っていた。

(こりゃやべぇ…
もう1人俺がいたら…誰か助けてくれ。)

そんな時、フロアにある声が響き渡る。


「お疲れ様でぇーす!」



聞き覚えのある声にハッとする。

ニコニコと立っていたのは、なんと…

【ウルトラ寿司ふぁいやー】のドラムの『翼』だった。

コ「なぜだ!なぜここにいる!」



翼「いや、会いたくなって。」



イケメンかよ。

なんてこった。

こんな事があっていいのか。

思わぬ救世主の登場に、会場は湧き立った。

神様ありがとう。

翼くんありがとう。

その後、ドラマーの彼はセッティングからさらにチューニングまで請け負ってくれ、リハーサルの準備が無事に完了したのだった。

スタッフさん「SE流しまあす!」

湯「Alright!行くぜェッ!」

そして迎えた本番。

ステージを暴れるノロナオキ。

ニコニコとそれを見守るカワコウ。

年上組のドタバタを黙って見守るブッチー。

何度も自分を奮いたたせる湯口。

SEが鳴る2分前までトイレに篭っていたKONG。

またも沢山のドタバタ劇がありながらも、支えてくれるファンの皆さんや仲間のお陰で、今回も最高のワンマンライブを遂行できたビルモンなのでした。


今年もありがとうございました。

それでは!


また来年!

p.s.
アフターパーティーでは、湯口による、映画『ボヘミア・ンラプソディ』のハイクオリティの再現Live。
ユグチーマーキュリーが登場したのであった。




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