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「新しい資本主義」と「人材育成」

新政権の政策に関して100%ネガティブな見方ではないが、岸田総理が掲げる「新しい資本主義」の部分が、いまひとつよく理解できない。
分厚い中間層を作るために、賃上げを行う企業に対して税制面の優遇を行うとのことである。

この「分厚い中間層」と言うのは、私には、高度経済成長期の「1億総中流」と重なって聞こえる。
「え?終身雇用、年功序列、企業内労働組合で下支えしながら守ってきた1億総中流を、超高齢化とグローバル競争力急降下中の日本がもう一度目指す??」が、瞬間的に私の頭に浮かんだ。

そもそも、高度経済成長期が、ここ数十年は起きる可能性が限りなく低い中、少し位の税制面の優遇で大手も中小零細企業が賃上げに動くのだろうか?

苦しい中小企業の社長であれば、これを機に社員数を減らし、残った優秀な社員の賃上げを行うと考える可能性が高い。
これは失業率の増加につながるわけで、もぐらたたきのような状況だ。

「高い給料=生産性が高い」でないと、瞬間的に賃上げが達成ができるかもしれないが、数年後にはまた元のところに戻り、「分厚い中間層」は実現しないのではないか?

そこで政府としては、「人材育成」というキーワードを使ってきている。人材の能力は変わらないのに、賃上げだけすることに人々は当然違和感を感じることへの答えだろう。
この辺は、メッセージとしてはなかなかうまい。

本気で取り組もうとしているのかもしれないが、官民の一体感もないし、「どんな日本のためのどんな人材育成」が見えない。

日々企業のグローバル人材育成に携わる私から見ても、その中身がさっぱりわからない。
どんな人材育成をすれば日本企業が、「グローバルサプライチェーンの中で絶対にはずせない、なくてはならない企業」のポジショニングを確立することができるのか?
そして、政府はどのようにそこに関わって支援してくれるのか?

日本企業においては、日本市場や日本国内でのサプライチェーンに従事する社員は、とても優秀で信頼のおけるロイヤリティの高い人材が揃っている。

ただ昨今の状況の中で、他国の企業が、グローバルでの高い技術やサプライチェーンをより高いレベルで俊敏に事業展開する中、そこに対応できる人材があまりにも少なすぎる。

ここ数十年、「グローバル人材の必要性」は、形を変えてますます高まっている。グローバル人材と言うのは駐在員のことではないし、英語のできる人材のことでもない。

「世界中の価値観の違う優秀な人材と協働し価値を創出できる人材」のことである。

コロナをきっかけとして、リモートワークがごく普通のものになった現在、仕事はどこにいてもできることが明確になってきた。

今後の仕事の仕方は、日本人だけで必ず出勤するやり方から、多国籍のチームがそれぞれの自宅で仕事をする選択肢も間違いなく増えてくる。

個人としては、そんな働き方に自分自身が適応できるのかどうか、真面目に考える必要がある。

なぜなら、外国人など価値観の違う人と協働するのは、face-to-faceでも難しいのであるから、リモートでズームなどを使って行うのはさらに難易度が高い。

新しい資本主義、分厚い中間層、賃上げの文脈の中で、この新しい「新日本人ビジネスパーソン像」も提示していただけると私としては納得度が上がる。

そんな世界と協働できる人材であれば、大幅な賃上げをしても企業としては充分投資効果が得られるのだから。

写真は、日本企業がそして日本人がグローバルで再び輝くことをビジョンに日々奮闘しているグローバル・エデュケーションのメンバーたち。
現在そのビジョンに共感できる仲間を募集中!

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