テイカフリーダム!!~新幹線発射します~
戦争。惨いものです。経験したことがあるわけじゃないけれども、言わずもがな惨いものだってわかるでしょう。
戦争なんていけない。戦争なんてだめだ。そう思っていたのも束の間、まさか戦争を経験してしまうなんて、、、とほほ、、わっちゃあまだ20代だというのに。
ここで君たちは「戦争だって!どこでだ?逃げろーー!!みんな武器と枕を持てぇい!!枕とPSPをもって外に出るんだ!!ソフトは一本だけ選んでいいぞ!何がいい!ん?言ってみろ!!何でもいいぞ!はっはっは遠慮するな!ん?え?、、、みんなのスッキリ?」
と考えたかもしれない。でも安心して。血はびた一滴も流れなかったよ。流れたのはカラメルみたいにドロっとした汗だけだ。甘くも苦くもない体中の獰猛な塩分を含んだ濃厚なカラメルのような汗がじっとりじっとりと染み出してきただけだ。
出遅れた者たち、勇気のなかった者たちの憎しみと悲しみが舞う中、遂に開戦してしまったのだ。
第1次新幹線自由席争奪戦争の火蓋が切って落とされた!!!!!!!
第1章 過ち
みんなは新幹線で隣に人がいたら嫌かね?僕はものすごく嫌だ。何というか常に緊張状態になるし行動もある程度制限されるので極力避けるようにしてる。というか大半の人間はそうすると思う。
当たり前だ。がら空きの中、わざわざ人の横に座る奴なんて十中八九やましい気持ちがあるだろう。きっと。断定はしない。何故ならやむを得ず座る人もいるかもしれないからだ。その人のためにここで予防線を張っておく。大人なので。
とは言っても私はものすごく嫌だ。人が近くにいるとうんこもまともにできない自分にはとても耐えられない。
ある日曜日のことだった。日曜夜、東京から京都に帰ってくるときのことだった。正直、日曜の夜に京都に帰る奴なんていないだろうと高を括っていた。座席の予約もせず品川駅へと向かった。
案の定、席は空いていた。「ソォダ味の~アイスキャンディ~ぎらぎらなお日様の下~~~」頭の中でかみちゅのEDが流れていた(←嬉しいと勝手に流れる脳内プレイリストに登録されているため)
しかし、すぐに曲は鳴り止んでしまった。「ない…。どこも、、、フルで空いている席がない。」どの列も誰かが座っていた。
このとき私は最悪の選択をしてしまった。そう。自由席を取ってしまったのだ。「言うて空いてるっしょw」額からは嫌な汗が流れていた。(かみちゅのEDも流れなかった)
第2章 的中
拭いきれない不安を抱えながら。新幹線のホームへと足を運んだ。不安すぎていつもだったら崎陽軒のシウマイ弁当を買うのだが、今回は買わなかった。不安だったので。
そして自由席ゾーンをみて驚愕した。人の列。ちょっとした龍より長い列。
終わりだ。
もう座れへん…これでしまいや。ワイはこれでしまいなんやな。ほな、ばいならや。
待って!!
な、誰や!
まだ可能性はある!諦めたらあかん!
なんや誰かわからんが信じるで。あんたの言葉信じるで!!
無理だった。。電車がホームに入ってきた時点で窓から残酷な景色が見えた。まさか東京駅から乗ってきて品川で降りまい。覚悟を決めろ。
本当は席を探してみたかった。あがいてやりたかった。席を探せば誰かが譲ってくれるかもしれない。しかし、そんな行動に出られるわけがない。座れたやついわば勝者。座れなかった敗者がうろうろしている様を肴に酒でも飲んでいるのだろう。与えるものか。きゃつらにエンターテインメントは与えん。私はいや、俺は乗った瞬間そそくさとドアの前に立ち尽くした。
ふふあがいてる。あがいておるわ。大人しく地獄を見ようや。
俺たちは仲間だろ!!!
ルフィくん!!!!失ったものばかり数えるな!!!
仲間がいるよぉ…
3章 裏切り
新横浜に着いたときには俺はすでに覚悟を決めていた。こうなったら京都までずっと立ってやる。少し動くだけでウインウインと開くドアを開けないように気を使いながら。『スターウォーズ episode1』のダースモール登場シーンが如く。立ち尽くした。トイレに来る勝者たちの邪魔にならぬよう。
その場にいる敗者たちは仲間だ。縁は愚か、名前も出身地も知らないが、この場にいる敗者はみんな仲間だ。この戦争に敗れた大切な。心なしか心が繋がっている気がした。それだけで俺は頑張れる。
そんな淡い思いは男の行動によって見事に打ち砕かれた。一人の男が座席の中に入っていった。
「ふっ笑われに行くつもりかい?やめときな。な、、何をしている?バカな!やめろ!!!まさか、、、」
「すみません、ここ座ってもいいですか」
?!?!!!??!?!?!?
嘘だ。裏切り者!みんなで誓ったじゃねぇかよ。こういうやつが『ゼルダの伝説 四つの剣』とかで一番足引っ張るくせに一番得をするんだよなぁ!!!!ったくよぉ!!!!!お前はそういうやつだよ!!!!!返せ!!!!!ルピー返せ!!!!!たけちゃん!!!!!!!!
まさか、二人席を荷物を使って一人で独占しているタンクに声をかけに行くとは思えなかった。すごいよ。へへ、、僕にはそんな勇気はとても、、。いいさ、結局、戦争には敵も味方もいなんだね。みーんな敵。
最終章 帰還
名古屋で人がドバっと降りて座れる状態だった。しかし、そんなことはプライドが許してくれませんでした。俺は虎殺しの目でただただ立ち尽くした。
「すみません」
この一言が言えたらこんなことにはならなかったのに。こんな疲れを残さず済んだのに。もっと言えば指定席に座っていればこんな思いせずに済んだのに。
後悔と憎悪を抱えながら。
京都へと帰ってきた。
一つの大きな戦を終えた。俺は最初から戦ってすらいなかった。
戦闘機に乗り込む前に下痢かなんかで死ぬような奴だった。
これはいい教訓だった。
また一つ成長しちまったな。
新幹線は指定席を取れ!!!あと荷物を座席置くな!!!!卑怯者!!
♪アイスキャンディー うた MAKO
↑この曲を聴きながら読んでね!
完
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