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出会い、そして別れ

正課オンラインレッスンも形になり、課外レッスン、そして小学生英語の流れも出来上がってきていたこの頃。

またも、新たな課題が浮かび上がってきた。

出会いは別れのために

マダガスカル人メンバーのミアが、どこでもWorldKidsメンバーから脱退することになったのだ。

理由はというと、

滞在のビザだった。

ミアはこの時、東京の某有名大学院を卒業後、大学で学んだ業界に就職するための就活期間中であった。

その間は大学がビザのサポートをしてくれ、定められた時間数であればアルバイトという形で仕事をすることは出来たため、就活の合間を縫って幼稚園に来てくれていた。

しかし、ある日、ミアからあるお願いをされた。

今後のビザのサポートをしてほしいとのことだった。

ミアが大学院を卒業したのは、2019年。

すぐに就職活動を始めたが、次の年、2020年にコロナが蔓延し、世界中の経済に大打撃を与えた。

その影響も重なり、ミアの就職活動は思うように進んでいなかった。

そのため、今後大学院からこれ以上のビザサポートを受けることは厳しそうだということで、他にひとまずビザサポートしてくれる企業への就職を考えているということだ。

ミアは僕のプロジェクトをとても気に入ってくれていた。

僕もミアとはとても気が合う仲間という感覚でなんでも話が出来たし、今後も一緒にプロジェクトメンバーとして働いてほしかった。

しかし、この時点での僕のプロジェクトはあまりにも小さく、ミアを雇用してビザのサポートをしてあげられる余裕がなかったのだ。

一応外国人雇用ビザに関して一通り調べてみたところ、個人事業主であってもビザサポートが出来るということはわかった。

しかし、この時はまだ契約出来ている幼稚園は一社、日進まこと幼稚園のみ。

しかも、正課レッスンに関しては、スタジオ部屋をお借りすることと、お試しレッスンを行うモニター園になってもらうことを引き換えに、無料で行っていた。

そのため、正直全く利益は出ておらず、課外レッスンと、突然行うことになった小学生英語レッスンで何とかお小遣いレベルの小銭が入ってくるだけであった。

そんな状況なので、ミアに与えられるシフトの数が少なく、ビザの供給に必要な時間数を満たすことは非常に難しかった。

ということで、残念ながらミアを引き留めることは出来なかった。

さて、ここで僕も困った。

どこでもWorldKidsのコンセプトは、異文化交流を園児たちの日常にすること。

ただの英語レッスンではない。

そのため、常に数名の国籍の違う外国人が必要である。

これまでは月曜日がGeshiのみ

水曜日がGeshi & アンドレイ

金曜日がGeshi &ミア

といった形で何とか回していた。

しかし、ミアがいなくなったら早急に他のメンバーを探さなくてはならない。

もちろん予測はしていたが、こうなるのが結構しんどい。

というのも、レッスン内容がユニークなため、初めの頃は教育も大変だ。

リモートレッスンと言えど、ただパソコンをオンにして、Zoomを開いてヘッドセットをつけたら家からでも出来る、という単純なものではない。

リアルで会っているかのような臨場感を出したいので、映像や、音の遅延もあってはならない。

そのため、専用スタジオにて映像と音楽を別のアプリで同時配信して行う。

そして何より講師陣人には、事業コンセプトを理解してほしいという想いがあった。

そのあたりを考慮したときに、せっかくプロジェクトに関しての理解が深まってきて、レッスンにも慣れてきたところで辞めていかれるのは結構つらいのだ。

また新しい講師をはじめから教育していかなければいけない。

しかし、辞める人間を引き留めることは出来ない。

今後も協力してほしいとは伝えたものの、その代わりに与えてあげられる環境が十分でないのは承知である。

始めて雇用する側の気持ちが少しだけ分かった気がした。

高校生の時にバックレてしまったアルバイト先の皆さん。

もちろん届くとは思いませんが、今この場をお借りして謝らせてください。

その際は、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

ニワトリタマゴ問題ジレンマ

この問題は様々なところで議論されている。

ニワトリタマゴ問題。

これは、

「卵が先か、ニワトリが先か」

という、2つの関連した物事の「どちらが先か分からない」「どちらが原因か分からない」という意味で使われたり、「一方が生まれるにはもう一方がすでに存在していなければならない」という辻褄(つじつま)の合わない状況を表すたとえとして使われる言葉だ。

正に、この時僕も、このニワトリタマゴ問題を抱えていた。

それは、

「雇用が先か、契約が先か」

である。

上でも言ったが、

どこでもWorldKidsのコンセプトは、異文化交流を園児たちの日常にすること。

常に複数の外国人と日常的にコミュニケーションが取れるという状況を作っておかなければいけない。

しかし、この時点では契約先は1件。

無料モニター園のみ。

そう、率直に言うと、

売り上げがほぼないのだ。

僕はこの時、家族の貯金を崩してこの事業にチャレンジしていた。

この事業のコンセプトは、異文化交流。

様々な文化の外国人と日常的に触れ合えるというもの。

なので、本来であれば、外国人メンバーを十分な数集めて、教育を行い、目標としている幼稚園数と契約をするために営業活動を始めることが出来るのがベストである。

しかし、この売り上げが立つ前に支払う人件費が痛い。

必要経費と分かってはいるもの、この時僕が外国人メンバーに支払っていた時給は¥1,500。

そして月水金とレッスンがあるのだが、ミアがいなくなってアンドレイのみ水曜日に来てくれている状態で、一日約6時間。

そう、一日¥9000支払わなくてはならない。

そしてさらに交通費もある。

しかし、実際に必要なのは本当は一人ではない。

レッスンは取り急ぎ、月水金と週に3日間。

毎回別の国籍の外国人メンバーと触れ合えるというのが売りである。

ということは本来は現時点で3名必要になる。

しかし、まこと幼稚園にも相談し、僕が一人で月曜日にレッスンを行うことを承諾いただいたので、現時点で必要なのは2名。

そうすると、単純に¥18,000+交通費で約¥20,000の人件費が週に必要になり、その計算で行くと、月約¥80,000必要である。

現時点での売り上げはというと、課外英語レッスン+小学生レッスンで数万円。。

そして、このプロジェクトとは無関係だが、以前の働いていた会社の貿易営業を業務委託で行わせていただいている分からの収益。

しかし、こちらに関しては案件ごとの報酬なので、毎月決まった収益が見込めない。

そう考えると、この時点で僕の事業は完全に赤字である。

しかも、この状況は現時点でのまこと幼稚園だけの状況である。

この状態で僕が行おうと思っていることは、他園での営業活動。

そう、リモート異文化交流を広めていく活動である。

その場合、やはり、月曜日も僕ではなく外国人であることが望ましいので、最低でももう一人は必要になる。

もっというと、一番お勧めしたい週5日毎日レッスンを行ってくれる園が見つかった際には、火曜と木曜も稼働になる為、さらに3名必要ということになる。

しかし、売り上げもないのに5名も雇用したら、ある意味切羽詰まって行動力は上がるかもしれないが、まあ破産する方が先であろう。

だから先に売り上げを確保してから雇用したいが、上でも言ったように、このプロジェクトのレッスンには事前の練習が必要で、今日着ていきなりすぐに出来るわけではないので事前に雇用することが必要になる。

まさに、

卵が先かニワトリが先か

このジレンマに悩まされているのであった。

この時始めて思うことがあった。

資金集めとはこういう時に必要なのか。。。

ということだ。

これまではただただ資金集め=ただの借金のようなイメージだった。

まあ、実際にそんなに変わらないとは今でも思うが、それでも金を借りる意味合いは全く異なる。

資金があれば。。

そんな悩ましい思いを抱えながらも、ないものはない、とにかく今できることをやるしかない。

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