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M男向けが増えるくすぐり作品、そしてM向け作品の増加が業界を衰退させる理由



・M男作品が増え続けるくすぐり作品

M男向けのくすぐり作品が増えた。
昔ならあり得ない光景だったし、販売されても「タダでもいらねぇ」と拒絶されていたものだ。それが今では当たり前のようにM男作品が求められて市場に並んでいる時代である。あの「いらねぇ」と言っていた時から四半世紀も経たぬうちにここまで状況が変わるのかと驚く。
正直言って、くすぐられて笑い悶える全裸の男なんて興奮できない。ただでさえ「くすぐり」は数が少ないのに、M男向け作品ばかりで界隈を席巻されていくなんて普通に迷惑だ。発売される作品がM男向け一色になるなんて、S向けを待ち侘びている身からすればとんでもない話である。
しかし、今では男がくすぐり責めにされる作品が一番売れている。
現代のM向け作品の売り上げは半端ない。DLsiteでもM向けのくすぐり作品の販売数が1万を軽く超えていることがある。くすぐりフェチはこんなに多くない、大半はM男作品を好む人だろう。その中には男を虐めて楽しみたい女もいると思う。それが販売数1万以上という成果をあげたといったところだろう。
この成功例を見てしまうとクリエイターは猫も杓子もM向けのくすぐり作品に着手するはずだ。M嗜好の客を取り込めば、ニッチな「くすぐり」でも大儲けできる可能性がある。


・日本の男にドMが増えた

一昔前ならM嗜好の男は責任とストレスで疲弊した上司のオジサンに多かった。仕事でボロボロになったオジサン達は日々のプレッシャーから解放されるためにSMクラブに通い、M奴隷となってストレスを発散させていた。そういう人は主に政治家や会社の役員など重責に苦しめられる身分の高い人に多かったものだ。
今の下り坂の時代では、若者から中高年、役員や平社員やフリーターまでがM奴隷を望むようになった。皆が疲れて鬱屈している。そんな男達は現実逃避を願い、常に癒しを求めて女に虐められるドMの道を選んでいく。
そして、同性愛者でもないのに女から虐められる男の姿に男が欲情するという訳のわからない事態となっていった。


・女に服従して虐められたい男たち

かつて、エヴァがテレビ放映されていた当時はヒロインの綾波レイが好きな男が多かった。理由は「右も左も分からない怪我した女を俺が守ってやるんだ」というものだ。この時代は女を守りたい、自分が女より力の強い存在でありたいと考える男が多かった。
しかし、現代の男はアスカを選ぶようになった。女を守るのではなく、自分が女から守られたい。強い女にグイグイ引っ張ってもらって何から何まで自分を世話して欲しいと願う幼児性の表れた男が大量に発生している。
そこにSNSが追い打ちをかけた、同じ思考のコミュニティに入りさえすれば全てを認めてもらえる。リアルで発言すればたちまち変態扱いされることでも全肯定してもらえる都合のいい空間。手軽に承認欲求を満たせられるうえに、どれだけの変態発言や戯言もネットの世界なら評価してもらえる。今ほど簡単に他人に依存しやすい時代はないだろう。なんの努力もせずに甘ったれた妄言を吐いても非難などされない、自分にも仕事にも無責任な男たちが容易に逃げ込める世界がM男向け作品だ。


・M男は優しい人たちではない

正直言って、M男はS男よりタチが悪い。S男は攻撃的で野蛮だと思われがちだが、実際はM男の方が利己的でタチが悪い。
M男は基本的に「待ち」の姿勢で自分から行動を起こさない。与えられることだけを待ち続け、他人に要求ばかりする。それでいて勘違いを起こしやすく、自分が女から一方的に愛されている妄想に取り憑かれ、相手が自分のことに何の関心も持っていないとは考えない。風俗やパパ活にハマったり、配信業の女に金を貢ぎまくっているのもそれが理由だ。
露骨なコーン営業のアイドルや、パパ活女子なんて本当はガチの男嫌いだし、男を見下して嫌悪していることも分析すればわかる。よしんば男が好きでもその対象は中性的な外見であって普通の男に興味はない。M男はそれについて頭が一切回らず、女が考える単純なトリックに騙されていく。やがて自分が女を征服しているというトンデモない妄想を抱き、裏切られたと感じたら暴走して今まで貢いでいた女に報復したり、被害妄想から来る一方的な逆恨みからでも粘着的な嫌がらせを始めていく。M男は非生産的なだけでなく、危険思想の持ち主になりやすい。
S男が減ってM男が増える事で平和な社会になると分析する人がいるが、それはあり得ないだろう。


・最後に

女から虐められたいドMの男が激増していて、男が責めを受ける光景を好む女も参入してきている。奇しくもM男が好きな男と女の利害が一致して売り上げに貢献している。他人がどのような趣味趣向を持つのかは自由だが、自分からは動かず要求ばかり繰り返すM男が増えることはマズい。作品や業界にとっても良い影響を与えないからだ。
M男作品は基本的に待ちの一辺倒だ。女が一方的に寄ってきて男を虐める展開は、頭の悪いラブコメ漫画と同じで何の工夫もないワンパターンの量産品だ。そんな作品から波が起こるはずもなく、幼稚で同じ話を延々と続けていくバカな事しかできなくなってしまう。
M男が「なろう系」ばかりを求め、訓練なしで最強になれる世界に惹かれるのも、ひたすら逃げ続けた結果だ。量産された中身のない物をねだり続け、甘えた世界に逃げ込みたがる人間は自分の失敗をすぐに他人のせいにする。
被虐嗜好の男が増え続けるのはエンタメにおいて損失になる。なぜなら昔から面白いものを作る者は、負けん気が強くて正しい道を迷わず選択するS男だったからだ。与えられることを脳死状態で待ち続けるM男では作品を作るプロセスすら無理だろう。
くすぐり作品に限らず、作品全体がM男向けばかりになっていくと最後に待つのは衰退だ。自分に課せられた使命から逃げ続けて癒しを求める真性のM男が好む物語に将来性や可能性など無い。M男作品で楽に商売をしようと企むクリエイターは創意工夫する知恵が育たず、いずれは年齢とともに劣化するセンスや画力を立て直すこともできずに朽ち果てていく。
現実に向き合わず、現実を正面から受け止めない作品は甘ったれた他責思考の人間ばかりを量産してしまい、有能なクリエイターが生まれなくなる。そんな業界はやがては衰退していくだろう。


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