出会いを求めて大都会。それしか愛せぬわが社のS
彼の瞳には曇りがない
彼の名前をSとするならば、彼は外国人フェチだ。
今の若者でいう「外面より内面だよねぇ」という世界一内面のない会話に比べたら己の欲望を赤裸々に語れる彼は、少なくとも信頼できるといえよう。
彼に何故好きなのかを問いかけると
スタイルが良い。
そう答えた。むむむ、これは分からない。別に日本人でもスタイルが良い人物は多くいるし、外国人である理由が見当たらない。
「つまり、日本人でもスタイルよければOKなの?」
これには一瞬悩みを見せたが、「……いや、顔〉スタイルっすね」
彼の瞳には曇りがない
「なるほどなるほど、詰まるところ君は堀が深い女性を美しいと認識するんだね」
その問いかけに、「その通りだ」と答えた彼は、大都会広しといえど純朴さでは勝るものは少ないだろう。
彼は意中の人物を探すべく大都会をさまよい続け、出会い系アプリにはまる
彼はどうやって理想の女性に出会うのか。
そもそもそんな女性は探そうとも中々いない。
ここは日本で、彼もまた日本人であるからして、意中の相手を見つけるにもまず日本になにかしらの理由があって来ている人物+スタイル良く掘りも深く身長の高い女性となると、その遭遇率は果てしなく小さくなってしまうのだ。
まさに井戸の中の蛙大海が見えず。されど空の青さを知る者ことSは絶望的なまでの地理に苦しめられていた。
もしかれが神ならば、大地をつなげるか海を渡っただろうが、今の彼にはそのどちらも出来ないばかりか、人類がすでに用意した懸け橋すら利用するには懐に余裕がない。
そんな彼の境遇を知ってか知らずか、有象無象の社会はこんなものを作り出した。
「てぃんだー」
なる神聖な索敵機である。
登録し、気になる女性をスワイプし、見つける。
簡単な作業ではあるが肝心なのは次の段階であろう。
悔しいかな……彼には異性を留める知識を得ていなかったのだ…。
だが彼は絶望しない。
絶望ではなく希望を見出すタイプの人類なのだ。
志向し、思考し、試行し
錯誤し、覚悟し、タイトにコンタクトを送り続けた彼についに転機が訪れたのだ。
ハーフのモデル女性である
国までは伏せるが、確かにハーフで、確かにモデルである女性はなんと年上。
ピアスやタトゥーを完備し、正に彼の意中の相手と言えよう。
次回「彼のデートは何時になる!?」
なんとかコミュニケーションをとることに成功した彼は、次の段階に進むためにデートの申請をする。
一度は月一の日という事で断られてしまった彼は諦めずにそのタスキを握り住める。
「絶対に次のやつにタスキを託すものか」
かれの執着は一体どこまで成果を上げるのか!
次回「で、Sのデートっていつになるん?」
デュエルスタンバイ!!
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