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【夏の文庫フェア】【講談社文庫ミステリーフェア】『新装版 8の殺人』我孫子武丸


講談社文庫創刊50周年ということで、ミステリーフェアが開催されている。対象の本を1冊購入すると、「よむーく文庫ポーチ」を1ついただけるということで、ポーチが全3種類あることから、3冊選ぼうと考えた。


『十角館の殺人』や『46番目の密室』は読んだことがある。読んだことのない本の中から、どれにしようかな、と本屋さんの棚の前で立ち止まって、まず1冊目は、『新装版 8の殺人』(我孫子武丸 著)を手に取った。



8の字屋敷で起こった悲劇


数字の8、いわゆるデジタル表示の「8」の形をした屋敷で、ボウガンによる殺人事件が発生した。この屋敷の主人の息子で建設会社の副社長、菊一郎が殺害されたのである。


状況から考えると、雇人の息子である雄作にしか、実行はできないように思われた。しかし、捜査に当たった速水警部補には、彼が犯人とは感じられない。


そのような中、次の悲劇が起こってしまう。


お話の緩急が絶妙


屋敷の構造はシンプルだが、犯人の行動はなかなか読めず、面白い。


真相に迫っていく緊張感の高い箇所は、わくわくしながら読み進めることができ、もちろん魅力的なのだが、一方で、くすっと笑える箇所も多く、そちらも素敵だ。


速水警部補の淡い恋、個性的な弟妹、身体を張っては怪我に見舞われる部下の木下。ユーモアたっぷりのやりとりが楽しい。


ぴりっとした部分とふっと力を抜ける部分の対比が絶妙で、とても良かった。


初読み作家さん


我孫子武丸さんというと、私は『殺戮にいたる病』のイメージが強い。twitterの読書アカウントで紹介されているのをよく見る。


怖そうだな、と思って、我孫子武丸さんの本を読まないままここまで来てしまったので、今回が初読みだった。


すごく面白かったので、他の作品も読んでみたいと考えている。今回も、キャンペーンのおかげで、世界が少し広がった



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