見出し画像

【GERAラジオ「ボケ学」書き起こし #2配信分】「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん」を検証してみた

このnoteの楽しみ方

本記事はお笑いラジオアプリGERAで配信中の特別番組「ボケ学」の内容を書き起こしたものです。
「もう少し手軽に「ボケ学」を楽しみたい!」「分からなかった部分をじっくり確認したい!」「知り合いに布教したい!」など、皆さんのスタイルに合わせてお楽しみください。

▼#1の書き起こしはこちらから

オープニングトーク

高木:
どうも、お笑いコンビストレッチーズの高木です。
福島:
ストレッチーズの福島です。
高木:
よろしくお願いします。

高木:
ボケ学ということで、この番組は、ツッコミで訂正されてしまうボケが、本当に間違った発言であるのかを専門家の力をお借りして真面目に検証する番組でございます。
福島:
怖い…。
高木:
とんでもない番組なんですよ。
福島:
本当に怖いんだよこれ。
高木:
しなくていいのよ。ボケは真面目に検証しなくていいのよ。
福島:
誰も幸せにならない気がする...。
高木:
この番組、収録前の独特の緊張感がたまらないんですよね。
少しややこしいので説明しますと、《ボケを辞書でひくと「間の抜けた態度や発言を指していたが、今ではそれを意識的にすることを指す」つまり、ボケは間違っていなければならない》
福島:
かたい…。
高木:
《しかし、一般人から見て間違っていても、専門家から見たら間違っていない可能性があるはず。そのボケは本当にボケと言えるのかを真面目に検証していくという番組でございます》この番組説明も全芸人を敵に回しているようで、「意識的にすることを指す」というのがね、すごい恥ずかしいんですよね。
福島:
そうだね。

テーマ発表

高木:
でもちょっと、今回も検証していきたいと思います。今回のテーマとなるボケは、こちらでございます。
福島:
べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん。
高木:
いやこちらもベストセラーですよ。
福島:
これは使わせてもらいますよね。
高木:
もはや真正面から俺らが使うことはないけど、でも「ボケといえば」じゃない?
福島:
そうだね。
高木:
ボケ界のリーダーじゃない?
福島:
だから、これで笑ったことある人一番多いよね。
高木:
だと思うよ。ハリーポッターじゃない?ボケで言うところの。
福島:
うん。
高木:
これが今日ボケ不成立になる可能性があるということよね!?
福島:
ベストセラーが…。
高木:
まずいよ…。まあこのボケも説明させていただきます。《「今日は綺麗なお客さんが多いですね」に続くことが多い。お客さんを一人一人指定して容姿を評価していき、1人飛ばすことにより、その人だけべっぴんさんではないということを暗に指摘する失礼ボケ。また、そんなわけないとお客さんが捉えて冗談となっているボケ》野暮だって。
福島:
俺容姿を評価したことないけどな、これ言ってる時に。
高木:
そんなつもりでやってないからさ。でも、検証する企画なので、このボケを一回これだけ噛み砕かさせてください。
福島:
そうですね。なるべくは戦いたいですよ。
高木:
《現在はあまり使われることはないが、古典的な漫才のボケとして有名。元祖は岡八郎師匠》そこから続く、古来から続く伝統的なボケでございますので、そちらの方を専門家の方を交えてボケ成立か不成立か検証したいと思います。ということで今回のゲストは、成蹊大学文学部教授、社会学者の小林盾教授です。よろしくお願いします。
小林:
よろしくお願いいたします。

高木:
怖いなぁ。なんか、見るからに学者さんというか、大学の教授さんという感じなので、どんなボケも不成立にしてきそうな感じがあります。
福島:
そうだな。学者さん学者さん、一つ飛ばして学者さんだったら、飛ばされない方の。
高木:
早速今回の、べっぴんさんべっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさんについて解説していただいてよろしいでしょうか?

ルックスの良し悪しを決める要因

小林:
はい。私、社会学とか統計学の立場から、容姿やルックスの研究をしております。
高木:
なるほど、容姿とかルックスの研究をされている。
小林:
今までですね、日本で全国調査で2000人ちょっとにですね、ランダムサンプリングをして、ルックスがその人の恋愛、結婚、仕事、収入、さらには幸せにどう影響するのかということを分析してきました。まずですね、ルックスの良し悪しを判断する基準はなんなのかということですね。
高木:
は...!すごいところから入った…!ルックスの良し悪しを判断する基準から攻められてる…!まあ、確かにそうか。まず、どういうルックスがいいとされるかということよね。まずは。
小林:
基本的には個人の判断基準によるわけなんです。ただ、これまでの研究、特にアメリカの研究によりますと、一つの社会の中では概ね同じような基準が共有されているであろうということはわかっております。じゃあ、今の日本社会ではどうかというと、私は美容の研究をしているので、美容医師とか美容師の方にもよくインタビューをします。そうするとよく言われるのは、やっぱり左右対称が良いよねとか、肌で言うとあまりムラがなく凹凸とか色が濃いところ、薄いところがない方が綺麗と一般的にはみなされるとか。あと、日本の場合だと、目が二重であるとか、特に女性の場合は色白であるなんてことが重視されているようです。
福島:
顔の大きさとかはあまり関係ないですか?
小林:
あんまり聞かないですね。
福島:
えー、そうなんだ。意外。
小林:
確かに言われてみればそんな気もしますけれども。
福島:
僕1番そこ気にしますけどね。どんなに左右が非対称であったとしても、顔がゴマだったら...。
高木:
データとしてはそんなに大きなデータじゃないのかもな。
小林:
そうですね。意外と専門家からは顔の大きさはあまり聞かないですね。
高木:
なるほどなるほど。
小林:
まあ実際には、その顔の小ささなども含めて総合的な印象で決まるのかなとは思います。
高木:
はいはいはい。

0から10の11段階で容姿を評価する研究

小林:
私が実際全国調査をした時には、調査員の方々には0から10までの11段階で調査をした対象の人を評価してくれとお願いをしました。
高木:
そんなえげつない調査が…。
小林:
かなりえげつない…。
福島:
ゼロ!?
高木:
0と評価された人がいると言うことですよね!?でももちろん本人にはお伝えしないというか。
小林:
それはとても重要なところで、おっしゃる通り、調査終わって必ずその場を離れて見えないところに行ってから書き込むようにしてくれと伝えてます。トラブルになりかねませんので。
高木:
そうですね、大事なところです。
小林:
で、そのうち0から10なので真ん中が5なんですね。この前後の4,5,6くらいが大体平均的というふうにみなしています。そうすると、上位と言えるのが7以上。7,8,9,10のこの4つかなと思います。私の調査によりますと、そういう人たちが16.8%おりました。どうでしょう、多いと思いますか?少ないと思いますか?
高木:
でも7から10って評価で聞くと、ちょっとやっぱり少ないのかなという感じはしますね。
小林:
もうちょっといてもいいかな?って感じですか?
高木:
そうですね。
福島:
僕は100%10だと思ってるので。
高木:
え、なんでそんなみんなに良いと思われたいの?今そういう話してないのよ。女性は等しく綺麗よ。だけど、一回データだやらせてもらってますから。お前だけ抜け駆けするのはずるいよ。
福島:
そうかそうか。
高木:
小林先生は0から10で評価してるんだから。
小林:
そうですね、無理矢理評価させていただいてます…。
福島:
誰かがやらなきゃいけないから。
高木:
そうですよ。

小林:
一方で、私の大学のゼミ生に世の中に美人やイケメンの人って何割くらいいると思う?って聞いてみたんですね。そうすると、多少幅ありつつも、大体1割、2割、3割くらいかなということでした。
高木:
あー、でもそれくらいか。
小林:
多分これくらいが多くの人のイメージかなと思います。これらと、先ほどの16.8%というのを考えると、概ね2割くらいの人が美人・イケメンと言えるのかなと思っております。
高木:
うわー、今もう美人とイケメンの割合がなんとなく出たんだ…。
福島:
じゃあ40人クラスだったら、8人イケメンか美女。
高木:
わー、それくらいだったかも!クラスでイケてるやつって!
福島:
だから男女比が一緒だったら、かっこいい男は4人まで。
高木:
そうだな。だから、F4くらいってことだよね。花より男子でいうところのな。
福島:
そうね。
高木:
確かに、2割くらいかもな。まあ、これが前提条件ということで、べっぴんさんの割合ですね。今べっぴんさんの割合が決まりました。


べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさんになる確率を導く

小林:
そこでですね、実際に「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん」、こうなる割合を計算してみたいと思います。
高木:
劇場の前列が、「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん」になる確率ってことですね。
小林:
そういうことですね。
福島:
まあ実際にそこに目掛けてやりますからね。
小林:
まず、個人ごとにバラバラに座るというふうにここでは想定してみたいと思います。確率的にいうと「独立である」という仮定になります。その時にですね、順番に「べっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさんじゃない、べっぴんさん」こういう順番で座る確率というのを計算できます。これは確率論で言うところの『順列』と言うものになるんですね。そうすると、1/5 × 1/5 × 4/5 × 1/5。これがですね、0.64%と。
高木:
えー。
小林:
とっても少ない。

高木:
少ないですね。
小林:
今、4人の順番がこの通りだったと仮定したんですけど、今度は順番を無視して、1番前列に座っている4人の中に3人べっぴんさんで、1人べっぴんさんじゃない。そう言う組み合わせも計算できます。
高木:
なるほど。
小林:
これは確率論で言うところの『組み合わせ』と言うものになります。多分お二人も高校でもしかしたら出てきたかも…。
高木:
ああ、ありましたありました。PとかCとかのやつですよね?
小林:
まさにそうです。理工学部ですよね?
高木:
理工学部です。(慶應義塾大学理工学部出身)
小林:
ご存知だと思います。あれです。そうするとちょっと確率上がりまして、2.56%になります。大体まあ、2,3%ということになります。
高木:
はいはいはい。
小林:
今回最初に、個人ごとにバラバラに座ったら、というふうにしたんですけど、仮に友達同士で座ったとしても大きな違いにはなりません。ということで、この確率は大体2,3%というふうに計算できます。
高木:
なるほど。
小林:
では、それが果たしてどれくらい起こりうることなのか。一般的に統計学では、確率が5%より小さいと現実には起こり得ないことであるというふうにみなします。
高木:
あ、そうなんですね。
小林:
5%は20回に一回ですね。無くはないんだけど、まあまあ現実的にはほぼほぼないよね、というふうにみなします。なぜか5%がマジックワードなんです。
福島:
確かにビールとかも5%くらいで、あんまり飲んでも酔わないですもんね。
高木:
知ってる弱い知識で対抗しようとしなくて良いのよ。
福島:
ほろよいの3%はゼロだもんな。
高木:
そんな話してないのよ。統計学の5%はあまり起きないこと。
小林:
そういうふうにみなされます。今回計算したところ、大体2,3%だった。そうするとこれは5%より小さいので、現実には起こり得ないことと統計学的にはなります。従いまして「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん」、こういうふうな事が起こる確率というのは現実にはほぼない。起こらないことであるとなるんですね。
高木:
なるほど。
小林:
そういうことをお客さんは計算したわけでもなく、おそらく直感的に理解されているんだと思うんですね。そこで、「そんなことないよね」とお客さんが捉えることで、これは冗談じゃないかなとすぐ伝わるのではないかな、と思います。
高木:
なるほど!じゃあ、ボケ成立?
小林:
はい、統計学的にはそういうことになります。
高木:
おお!やったー!!!あぶねー!
福島:
え、でもこれってさ、「失礼だろ」ってボケだよね?
高木:
そうだよ。
福島:
だから、「そんなことは起こらないんだよ」っていうツッコミになるってことか。
高木:
これすごく難しい話になってるのよ。これ組み合わせとか順列でやってるから、本当は、「皆さん綺麗なお客さんですよね」って言って1人だけ飛ばすっていうのを「失礼だろ」って言ってるのよ。でも、これって今、“一番最初に指したべっぴんさんが不細工である確率”とかも含めてるとは思う。『綺麗な人を1人飛ばす』というボケなのに、『綺麗ではない人をべっぴんさんだと言っている』と言うボケも含めた確率になっちゃってるから。
小林:
まさにそういうことになりますね。
高木:
だから観客の皆さんは「失礼だろ」というボケだけじゃなくて、「いや、あいつべっぴんさんじゃねえだろ、一番最初のやつ」っていうので笑ってるっていうのも含めた上での、ボケ成立。
福島:
まあ、ボケは成立したけど、ウケない…。
高木:
でも無意識に観客もそういうことがわかって、笑ってるということですから。

小林:
ただしですね、成立しない場合があります。というのは、少ないんですけれども2.56%の確率でこれは起こりうることなんですね。ですので、本当に万が一、20回にいっぺん、もっと少ないですかね。40回にいっぺんくらいは、「べっぴんさん、べっぴんさん、そうじゃない人、べっぴんさん」が集まってしまうこともあります。そういう時に限っては、ボケは成立しないということになります。
高木:
確かに。
福島:
「そりゃそうだな」っていうしかなくなるってことか。

高木:
本当にその並びになった時に、ダラッダラよ、漫才師。ただ言っただけだよ、状況を。
福島:
「そうだよ!」ってことだよね。「そうだけど!」って。
高木:
その状況恐ろしいわ…。だから、40回に1回くらいは本当にボケが成立しないパターンがあるという。
小林:
起こってしまうということですよね、確率的には。

『予言の自己成就』が『美容・ルックス』にも影響する

小林:
じゃあ今度は少し違う、人間形成の視点から考えてみたいと思います。
高木:
はい。人間形成…?
小林:
アメリカの実験でですね、小学校で特定の子どもだけをターゲットにして「君は優秀だ」と。本当かどうかは関係なく「君は優秀だね。君はよく勉強ができるね。」というふうに生徒に繰り返し言ったんですね。そうするとどうなったかというと、どうなると思います?
高木:
どっちかですよね。図に載っちゃうか、俗にいう褒められて伸びるタイプか怒られて伸びるタイプかによって違うような気がするんですけど。
小林:
実際に何度も何度も「君は優秀だね」と言ったことによって、元々の成績とは関係なく本当に勉強をするようになった。自信がついて勉強するようになった。そして期待に応えるように成績が上がったということなんですね。
高木:
じゃあ、調子乗ってあんまり勉強しなくなる奴とかはいないんですね。
小林:
のようですね、この実験では。これ社会学では『予言の自己成就』とか『マタイ効果』というふうに呼ばれております。
福島:
僕ら高校一緒なんですけど、茂木健一郎先生が講義に来られたことがあって、その時にそういう自己肯定とか。あれ、覚えてない?
高木:
俺覚えてない。俺は最後にクラスメイトの誰かが言った「その髪は自分で切ってるんですか?」「自分で切ってます」っていう質疑応答しか覚えてない。
福島:
でも、褒めるというのはすごくいいことだって言ってましたね。
小林:
これは学校の成績の話なんですけど、今度はこれを美容とか容姿について考えてみると、私自身は容姿についても『予言の自己成就』というのは起こりうるのではないかな?と思ってます。まあ例えばですね、「綺麗だね、素敵だね、今日も美しいよ」と言われることによってその人の美容への意識が高まって、もっと頑張ろうかなって思う。これはあり得ると思うんですよね。そしてその結果本当に綺麗になるというのは十分あると思っております。私がこの『美容資本』という本で出した結論というのは、“美容の本質は投資である”ということなんですね。投資することによって見た目やルックスが良くなっていく。そしてその結果、さまざまな良いことがあるのではないかということをデータに基づいて分析したわけなんです。そうすると、褒められることによって美容により投資するようになれば、さらに本当に綺麗になる。そういう良い循環があるはずだろうなというふうに考えております。
高木:
はいはい。
小林:
実際ですね、私毎朝起きると、妻に最初に会った時に必ず「今日も綺麗だね。今日も素敵だね」って言います。
高木:
素晴らしい…。
福島:
もっと綺麗になってほしいから…?
高木:
いや、変なこと考えないで。もっと綺麗になってほしいからってことじゃないよ。「あー、今日朝言ったのにまだ足りないな、またこいつに綺麗だねって言わなきゃいけないな」じゃないのよ。
小林:
ではないです。
高木:
本当に思って、「綺麗だね」って言ってたら、そのまま綺麗になってるのよ。
福島:
ここまでわかってる人が?
高木:
確かにちょっと疑っちゃうな。小林先生に言われたら。「かっこいいね」って言われたら「まだまだかっこよくないのかな?」って思っちゃうな。
福島:
かっこよくない人にこそ言わなければいけないという。
高木:
そういうことじゃないです。
小林:
でも、これは良いサイクルなんですよね。逆に悪いサイクルもあると思うんですよね。つまり「べっぴんじゃない」とか「綺麗じゃない」とか、なかなかいうことはないと思いますけれど、仮にそういうことを言われたとしたらどう思うか。おそらく「ああ、あれだけ頑張ってもしょうがなかったのかな」とか、「やっぱりそうなのかな」とか思って、帰って努力や投資を放棄してしまうかもしれない。その結果本当に綺麗じゃなくなるかもしれない。そういう負のスパイラルというのもあるのかなと思っております。
高木:
なるほど、確かに。
福島:
こういう褒める人が増えていったら、一番最初の確率とかが増えるかもしれない。
小林:
あ、もしかしたらそうかもしれませんね。
福島:
それは素敵な世界。
小林:
ただそうすると、ボケとしては成立しなくなっちゃいますけど。
福島:
そうか、ボケの方が大事か。
高木:
確かに。定期的に「可愛くない」とか言った方が良いのかもしれない。
福島:
半分半分でやっていかないと。

社会学的に正しいボケ・ツッコミ

小林:
ですので、『予言の自己成就』の効果という点から考えると、ちょっと今の令和の日本社会においては「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばして」という、この『一つ飛ばして』のところは、もしかしたら悪い効果を持ってしまうかもしれない。なので令和にふさわしいのはもしかしたら「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ば…、さないで、やっぱりべっぴんさん」。こっちの方かもしれないなという気がしてます。
高木:
そっちの方ではないです!それはお笑いとか漫才じゃなくて、『予言の自己成就』のやつです。
小林:
これは、社会学的にです。
高木:
社会学的に!?笑うかな?それ。
福島:
「べっぴんさん」って4人言うわけじゃん。逆に4人しか言わないとかね。
高木:
それ言ったら、100人入ってるライブだったらグルーって回って全員「べっぴんさん」って言っていかなきゃいけないわけだから。
福島:
逆に「その96人をべっぴんさんと言っていない」というボケになる?
高木:
それはならないよ。「綺麗な人多いですね」って言ってるんだから。
福島:
ああ、そうか。
高木:
だから、人間形成の視点から言って、「べっぴんさんではない」と言うこと自体が失礼なボケというのは、ボケな訳じゃん。だから、もしやるとしたら、「べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん」って言った後のツッコミで、「いやお前、人間形成の視点から『予言の自己成就』っていうのがあるんだから、べっぴんさんじゃないって言うと、この人どんどんべっぴんさんじゃなくなっちゃうから、ちゃんとべっぴんさんって言えよ!」まで言えばいいんじゃない?
福島:
ああ、そうか。「ほら、どんどん綺麗になってく」みたいな。
高木:
それでいくしかないんじゃない?ツッコミ側がいっぱい喋る。
福島:
小林先生にも来てもらって。
高木:
これ全部喋ってもらって。
小林:
今のは社会学的には正しい。
高木:
正しいツッコミ!うわあ、嬉しいな。今まで色々ツッコミやってきて、面白いとかつまらないとか言われたことあるけど、「社会学的に正しい」は初めて言われたわ。
福島:
これは褒めてるわけじゃないですよね?正しくないから、正しいと言ってあげようという…。
高木:
ややこしいのよ!小林先生の褒めをストレートに受け取れない体になっちゃってるのよ。天邪鬼な人ではないから!
小林:
とても素直ですので…。

高木:
じゃあ、まあ一応ギリギリボケとしては、確率の統計学的にも、人間形成の視点からも、まあ一応ギリギリボケとして成立してるってことで…
小林:
はい、そういって良いかと思います。
高木:
うわ、よかった。危ないよ。今日も危なかったよ、結構。
福島:
でもツッコミの仕方を変えないといけない。
高木:
ツッコミの仕方はもちろん変えないといけないし、令和はもう飛ばさない方が良いという意見も出てます。飛ばさない方が良いっていう時代に突入していく可能性も全然あります。
小林:
それか、飛ばした後はちゃんとケアしていただきたい。
高木:
確かにな、もうそういう時代か。

ルックスの自己評価と他者評価のズレ

高木:
ちょっと折角なんで、いくつか質問させてもらいましょうか。
福島:
まずやっぱあれじゃない?0から10で俺らがどの数字なのか。
高木:
小林先生的に?
福島:
そう。
高木:
でも確かに、小林先生もご自身で結構評価をしてきたわけじゃないですか。とても多くのお顔を評価してきたってことですよね。だから俺らがたまにやる、人の卒業アルバム見てせーので指差す見たいのあるじゃん。あれみたいなことを延々にやってるっていうこと。
福島:
めっちゃ楽しいじゃんそんなの!
小林:
ノリとしてはそういうことです。

高木:
俺らは別にいいんですけど、言えるのかな?こういうのって。言っちゃダメか、立場的に。俺らの顔評価するのは。
小林:
私は大丈夫ですよ。お二人とも10ですよ。
福島:
ほらー!!
高木:
また出ちゃってるよ!言わないんだよ小林先生は!
福島:
10ってことは、まあ、ゼロ。
小林:
いえいえ!ご本人も10っておっしゃってましたよね。
福島:
そうか、全員10って…。いや、男はそんなですよ。女性は全員10。
小林:
私、別の研究で、本人に自己評価してもらったものと、他の人に評価してもらったものの、その平均を取って比べるってことをやってみたんですね。
高木:
うわ、恐ろしい…。
小林:
どうなると思います?
高木:
でも基本日本人だから自己評価の方が低いとは思います。
小林:
それが、大体一致しました。幸いなことに。
高木・福島:
えー!?
小林:
大体ですけど。
高木:
すごいですね、そのデータ!
小林:
多少上下はあるんですけど、大体一致していました。
高木:
じゃあ割と自分が何点だって思ってるのと、周りが見てる何点は一致してるんだ。
小林:
そんなにズレないってことですね。
福島:
そうなんだ…。それはちょっとラクになりますね。
高木:
でも、それにしたって自己評価低すぎる女の子とかいるけどな。
福島:
いますね。
高木:
あー、でもそれはややこしいか。可愛いって言ってほしいみたいな。
福島:
そうそう。実際に小林先生のアンケート、紙に書くとかだったらちょっと高いのかもね。
高木:
あー。
福島:
人との会話だと下げていって。
高木:
「私なんか全然ブスだから」って言ってるくせに、自己評価8とかありそうだな。
福島:
ありそうありそう。
高木:
えぇ、すごいなこの研究!

海外から見て日本の容姿は〇〇...。

福島:
楽し…。あ、そういえば一番最初の方にあった「アメリカの研究で容姿の基準は共通している」って、世界でもそんな感じとおっしゃってたと思うんですけど、本当にそうなんですか?やっぱり僕ら的には海外の方って、鼻が高くて、すごく綺麗なイメージがある国もあったりするんですけど。日本っていうのは世界の中だとどれくらいべっぴんさんとかイケメンの方が多いのかな?と。
小林:
素晴らしい質問ですね。私この研究アメリカとかヨーロッパでも発表するんですね。そうするとやっぱり皆さん関心持ってくれるんですね。そして必ず言われるのが、「日本人は美人多いよね」なんです。
高木・福島:
えぇ!!!
小林:
そういうイメージを持たれているようなんですね。これ私自身もびっくりしております。
高木:
なんか、全然あれだけど、逆っぽいというか。こっちから見たらやっぱヨーロッパとかアメリカの方って美人ばっかりだなって。
福島:
だから自然と国単位で褒めているという。
高木:
あー、国同士がってこと?
福島:
そうそうそう。
高木:
だから、自己成就ってことでしょ。
小林:
(笑)
福島:
あー、そうなんだ。そう言われてるんだ。
高木:
まあ、アジアンビューティーみたいな。
小林:
そうですね。

高木:
これはじゃあ、日本人も自信もってほしいですね、みんな。褒めあってほしいですね。やっぱ、小林先生が言ってるってことにかなり説得力があるというか、「日本は美人が多いと世界から言われています」っていうのは、これは嬉しいこ

美人・イケメンは本当に幸せ...?

高木:
《解説の中で出てきましたが、小林盾教授著書の『美容資本』が発売中でございます。なぜ人々は内面が大切だと思っていても見た目を意識するのか。ハンサムや美人は本当にモテて幸せなのか、ということを数理計量社会学を用いて解説していますので、今回で興味を持った方はぜひお買い求めください》メチャクチャ面白そう。
福島:
マジでちょっと読みたいな。
高木:
《ハンサムや美人は本当にモテて幸せなのか?》これはもう相当興味ありますね。
福島:
どっちなんだ…。
小林:
どう思いますか?
高木:
いやー、モテて幸せだと思いますよ!
福島:
時と場合によるみたいなことなのか、結局。
高木:
ウエストランドの漫才が死ぬ可能性がありますよ。この本で。
福島:
自虐とかができなくなる可能性がありますね。
高木:
まあ答えは…、
小林:
是非、本を読んでいただければと思います。
高木:
ぜひお買い求めください。よろしくお願いします。ということで、今日は小林盾教授、ありがとうございました。
小林:
ありがとうございました。

📻音声版はこちらから

◇ ◇ ◇

小林盾さんのプロフィール
1968年生まれ。 専門は社会学、社会的不平等、家族。
主要著作に『美容資本』(勁草書房、2020年)、『変貌する恋愛と結婚』(共編、新曜社、2019年)、『ライフスタイルの社会学』(東京大学出版会、2017年)など。

ストレッチーズさんのプロフィール
太田プロダクションに所属する福島敏貴と高木貫太からなるお笑いコンビ。2014年結成。
慶應義塾大学お笑い道場O-keis出身。
2021年M-1グランプリ準々決勝進出。


国内最大級のお笑いラジオアプリ「GERA(ゲラ)」では
「ボケ学」の他にも芸人さんやお笑いに関する番組を配信しています。

ぜひお聴きください!

▼アプリダウンロードはこちらをクリック(登録不要・無料)

▼レギュラー番組一覧

この記事が参加している募集

わたしとポッドキャスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?