フリジア語学習中
はじめに
フリジア語 Frysk ってご存知でしょうか?フリジア語はオランダのフリースラント州を中心に話されている言語でインドヨーロッパ語族ゲルマン語派西ゲルマン語群に分類されます。英語に最も近い言語と紹介されることも多くて知名度は高めだと思います。
最近そんなフリジア語を勉強しているので日本語で読める資料などを中心にどんなものがあるのか書いてみます。なお、基本的には西フリジア語についてです。また、偉そうに書いていますが、各コメントは完全なる素人の感想です。ご承知の上でお読み下さい。
※なお、以下で児玉仁士先生、清水誠先生は名字のみの敬称略とさせていただいています。
児玉『フリジア語文法』(大学書林、1992)
304頁、定価(税抜き)は5800円。
所持しています。後述するように一部問題点がありますが最初に入門するには良い本だと思います。
児玉『フリジア語辞典』(大学書林、2004)
1136頁、定価(税抜き)は42000円。
所持していません。古本でも20000円ぐらいする印象です。
児玉『日本語フリジア語辞典』(大学書林、2015)
704頁、定価(税抜き)は30000円。
所持していません。生で見たことすらありません。
★清水『西フリジア語文法』(北海道大学出版会、2006)
830頁、定価(税抜き)は19000円。
所持していませんが、これは著者の学位請求論文『西フリジア語文法:現代北海ゲルマン語の体系的構造記述とゲルマン語類型論構築のための基礎的研究』(北海道大学、2003)と大体同じ内容だと推測しています。これほど詳細な内容のフリジア語の文法書は日本語に限らずとも(少なくとも当時は)存在しないようです。
★清水『西フリジア語文法記述の問題点』(北大文学部紀要44-3、1996)
67頁。これを紹介するために今回の記事を書いたようなものです。児玉『フリジア語文法』を使うなら必須だと思います。児玉『フリジア語文法』では読者の知識を前提にしないためか、学問的にやや不正確・迂遠な部分(V2語順の概念を説明しない、順行同化を認める、動詞の区分など)があります。また、参照先の誤植に由来する誤りも存在します。例えば語頭の w の発音についての記述などは違和感を覚えるところですが、これは誤植によるものです。
その他、誤植・誤訳なども詳細に指摘されており、不可解な点が解決されることも多いと思うので是非参照しましょう。
★Wurdboek fan de Fryske taal (WFT)
これも今回の紹介の目玉です。フリジア語→オランダ語の辞書です。Instituut voor de Nederlandse taal の Historische Woordenboeken online から無料で使用できます。オランダ語をある程度読める必要はありますが、単著の本一冊だけで勉強すると著者の誤植や勘違いに引っ張られる虞もあるので重要だと思います。
北フリジア語について
清水『北フリジア語モーリング方言(1)』(北大文学部紀要40-3、1992)で V. Tams Jörgensen の Kort spräkeliir foon dåt mooringer frasch の邦訳が読めます。清水先生による註も詳しいです。
また町田健監修『ニューエクスプレス・スペシャル ヨーロッパのおもしろ言語』(白水社、2010)の IV 部、 清水『フリジア語の世界』(68~87頁)でも北フリジア語が扱われています。これは音声もついています。
その他
『言語学大事典第3巻』(三省堂、1992)、清水『ゲルマン語入門』(三省堂、2012)、下宮忠雄『ゲルマン語読本』(大学書林、1995)などなど部分的にフリジア語を扱っている本は他にも多数あります。
まとめ
清水『西フリジア語文法記述の問題点』と WFT を使いましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?