見出し画像

ジョージア料理に恋して ⑫ジョージア人は豆を食べる

主食ってなに?


あなたの主食はなんですか?
「日本人だもん。米だよ」
多くの人がこう答えるかもしれない。

主食の定義は実は曖昧だ。

カロリー補給を主に担っている食材なのか、頻繁に食べられているものなのか、はたまた「これがなくてはこの国の料理とは呼べない」と食文化の土台になっている食べ物のことなのか?

ここ10年以上、糖質制限を実行している人が増えていて、白飯でお腹をいっぱいに満たすことはまるで罪悪だ。その人たちは「肉はいくら食べてもいい」と主張する。
彼らの主食は肉なのか?プロテインドリンクなのか?

農林水産省は「主食とは、人々が日常的(にちじょうてき)にもっとも多く利用する食べ物のことです」と定義している。

「ジョージアの主食はなんですか?」と聞かれると私は迷うことなく「パンです」と答えている。
どこのご家庭でもおそらく三食パンを食べることが多いし、街にはショティという塩味のパンを焼きながら売っている店がそこここにある。もちろん家庭でもパンを焼く。

ジョージア各地でその土地のお食事をご馳走になりながら、パンと匹敵するぐらい「いつでも必ずテーブルに鎮座している料理」の存在に気付いた。

それが豆料理だ。

豆の煮物ロビオはこんな料理

各地で出された豆の煮物「ロビオ」

東はカヘティ地方、西はサメグレロまで(つまりほとんど全部の地方)でお邪魔したお宅やゲストハウスの食卓に並ぶのがこのロビオという豆の煮物だった。
「よく食べる料理を何か教えて」とお願いしてもやはりこのロビオが登場した。
「ジョージア料理の中で一番のお勧めはなんですか?」と尋ねられると実は私はこのロビオを挙げる。
でも地味な見た目から進んで食べたいと言ってくれる人はなかなかいない。

日本のウズラ豆によく似ているこの豆がロビオの材料。
日本の人は「なに豆ですか?」とすぐに豆の種類を特定したがるんだけど、ジョージアの人にとっては「豆は豆」。質問してもそれ以上の答えは返ってこない。

ここから先は

2,393字 / 26画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?