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すんごいテキトーな文章

標題通り。すんごいテキトーな文章書いてみよう。目的もなく、だらだらと。
暇な方は暇つぶしに読んでください。僕も暇つぶしに書くので。

・今日は何をしたか。蓮實重彦の『ショットとは何か』を読んでいた。去年出た本。僕は昔の蓮實重彦のことは全然知らない。仄聞するところでは、とてもおっかない文章を書く人だったそうだ。まあ、それはテレビで見た感じとかからもわかる。三島由紀夫賞の授賞式で喋っている蓮見氏を見たことがあるが、厄介なじいちゃんだなという感じが溢れ出ていた。あの感じで文章書いてたら、そりゃおっかないわなあ。
だけども、この『ショットとは何か』は全然そんなことない。インタビュー形式で書かれているが、まあ言ってることはけっこう怖いが(「あいつは私の好きなあの映画を正しく評価していないのですぐさま殺人リストに入れた」みたいなやつ)、それも心地よいぐらいの怖さ。とにかく自分の感性を信じている感じがすごく良い。周りの評判に流されない。頑なに自説に固執する。素晴らしいことだ。
ただ、紹介される映画を僕は全然見ていないので、あまり楽しめない。理論編みたいなところはもう少し抽象度が上がるので(といってもバリバリの現代思想みたいな、そういう抽象的理論ではない。いたって普通の言葉で書かれている)読めなくはない。そのへんは面白い。

・なんでこんな本を読もうと思ったかというと、前に同じ蓮實重彦の『見るレッスン』(光文社新書)を読んで非常に面白かったから。この本も割と最近出た本で(2020年)、読みやすい。新書で本を出すのはこれが最初で最後とあとがきで書いていた。蓮見が苦手な人や、批評の言葉とか現代思想のいかつい言葉が苦手な僕のような軟弱な人は、これを読んでみるとよいかもしれない。
何が面白かったかと言うと、それは僕にとって面白かったということを当然意味しているわけだが、僕が映画について思っていることと蓮見が言っていることが意外にも近かったからである。もちろん僕は映画を見た量も圧倒的に少ないので、蓮見のような巨人と意見が一致するなどと言うと殺されてしまうに決まっているが、共感できるところが多かったのはたしかだ。
どういうことかというと、たとえば僕が良くないと思った映画(で世間的には評価されている映画)は蓮見も良くないと言っている。たとえば『タクシードライバー』。あれ、そんなに良かったかなあ。僕にはよくわからなかった。と思っていたら、蓮見もあれは駄作と言っている。
それから、映画において物語はどうでもいいと思っている点。蓮見が具体的にどういう言い方をしていたかは忘れてしまったが、とにかくそんなことを言っていた。僕も、前にも書いたと思うが、物語にばかり注目して映画を評論している人がとても嫌いだ。映画体験は物語理解に回収されてしまうものではない。むしろ、それを超え出てしまうものを体験することが、映画を体験することだ。と思う。蓮見の場合はそこで「ショット」に注目するわけである。僕は、難しいことはわからないが、とにかく映像を見てハッとさせられる何か。そういう瞬間があるかどうかがその映画の評価基準になる。映画は視覚の快楽のためにある。物語がわけわかめでも、そういう画に遭遇することさえできれば、僕は満足だ。それは、文学でも味わえない、音楽でも味わえない、映画でしか味わえない何かである。


・他に何したかな。適当なこと書くとなるとどうしても日記のようになってしまうが、まあいいか。実験だ。
シラスのクサデウス回第二弾のレビューを書いていた。明日には投稿するだろう。そして近日公開されるだろう。

・そういえば、この土日は一歩も外に出なかった。今日はアマゾンで本も届いていたのだが、寒いし外に出るのは嫌だったので、出なかった。
しかし、外に出ないと一日中パジャマで過ごしたりしているわけだが、これは良くない。身体にというより精神に良くない感じがする。だらける。まあだらけたかったんだけど。
祖母が、コロナが始まって外出ができなくなった頃、毎朝起きて化粧だけはするようにしていると言っていた。人に会わなくても、化粧だけはちゃんとするのだと。それで気が引き締まるのだろう。僕は祖母のそういうところを、とても偉いなと思った。考え方がしっかりしていると思う。見習うべきだと思う。よし、僕も化粧していこう。

・ラインにスタンプで反応できるの知ってました?僕は昨日教えてもらって知りました。文字のところを長押しすると、顔文字スタンプみたいなのが出てくる。これまで僕の周りでこれを使っている人、見たことなかった。ということは、全然知られていない機能なのではないか。

・昨日は与那覇潤さんの『知性は死なない:平成の鬱をこえて』を読了した。とても良い本だった。与那覇さんは大学で歴史学を教えていたのだが、鬱になって退職。リワーク施設に通うなどしてうつ病を治し今は在野の研究者として活躍されている(うつを治すという言い方はもしかしたら語弊があるかもしれない。とにかく、普通に生活し研究もできるくらいには回復したということである)。
この本の中で、「頭がいいとはどういうことか」みたいなことについても書かれている。たとえば「地アタマ」という言葉があるが、そんなものが存在するのだろうか。知性や能力というものは状況に応じて発揮されるものなので、それを「地アタマ」などという抽象的な言葉で理解するのはおかしい。そういうことが書かれていた。その通りだと思う。東浩紀も「ゲンロン友の声」でそういうことを言っていた記憶がある。人はある局面ではすごく頭が良くても、べつの局面ではすごく頭が悪くなると。わかる。そういう人を見たことがある。そしてもちろん、僕もそうなのだと思う。ある意味では、これは救いでもある。「総合的に頭が悪い」ということはないということだから。得意分野に関しては、人は頭が良くなるのだ。トートロジーのようだが。言い換えれば、「自分は頭が悪いのではないか」という悩み方をする必要はないということである。
これは、知性というものは常に実地でテストされなければならないということも意味している。何もやらない人が「やればできる」と言って自分を過信しているのは滑稽だ。拙くても、とりあえずやってみることによってしか知性は磨かれない。

・与那覇さんの本は、その前に『中国化する日本』を読んで、とても面白かった。中国では明の時代から新自由主義的な体制が確立していて、現代に至るまでその基本は変わっていないという論旨だった。この場合、新自由主義的といっているのは要するに、政治的には強大な権力が頂点にあって、経済的には自由放任ということ。社会主義は計画経済ではないのか、と言われそうだが、そうかもしれないが、現実を見ればそうはなっていないことは明らかではないだろうか。つまり、このへんは与那覇さんがそう言っていたというより僕の解釈が入るが、中国における「社会主義」は、たまたま便利だからその言葉を使っているだけで(毛沢東の共産党が権力を取りに行くときにかっこいい言葉を使う必要があっただけで)、実際にはそれはうわべに過ぎないのだろう。いや、わかりません。たぶんそうではないかという、僕の勝手な印象です。

・本のことばかり書いてる。僕は本しか読んでいないのか。そんな生活は嫌だ。と言いつつ、どこか満足している自分もいる。

・そうだ、今日はWeekly Ochiaiの、東浩紀と落合陽一の対談を見た。すごく刺激的だったかというと、そうでもないが、この二人が対談しているという事実は意義があることだとぼんやりと思ったりもした。落合さんは最近「質量への憧憬」について考えているそうで、やっぱり質量を伴ったリアルなものに触れる経験が人間にとっては大事だという考えに傾いているようだ。僕もその通りだと思う。僕はサブスクで音楽を聴くようになり、CDを買わなくなってから、本気で音楽を聞くという体験がなくなった気がする。レコード時代の方は、「そもそもCDが音楽を堕落させた」などと言ってくる気もするが、それを言いだすと原始時代が最も豊かだったということになってしまうので、ご遠慮ください。
一時期は大量にCDを借りていたこともあった。借りに行く手間もかかったし、そこで探す手間もかかった。コスパもタイパも悪かった。しかし、それら全部ひっくるめて楽しかったのだと思う。
今ではサブスクで、目当ての音楽は検索すればほぼ一発で聴けるようになったが、何も聴いていない感じもする。

People hearing without listening

Simon & Garfunkel "The Sounds of Silence"

そうだね。本当に、そうなってしまった気がする。ライブにはたまに行っていたが、コロナ禍ではなかなか難しい。好きな海外アーティストも来れないし。
Weekly Ochiaiの話に戻ると、落合さんのノリにちょっとついていけないところがあった。あれ、素なのかな。照れ隠しなのかな。もっと落ち着いてじっくり話せば良いと思うのだが。やはり、あの時間制限に最適化しようとすると、ああいうノリになるのだろうか。時間制限といっても1時間半くらいは喋ってるのだが、シラス基準ではそれは第一部にも満たない時間なので、無のようなものである。

・これまで十数本のnote記事を書いてきたのだが、閲覧数(ビュー)と「スキ」の数は全然比例しないことに気づいた。
現在最もビューが多いのは「シラスレビューの先駆者たち」で、5スキ。第二位のビュー数が「心の相談室 5¢」で0スキ。もっともスキが多いのは「『観光客の哲学』から考えるレビューの極意(前編)」で22スキと桁違いだが、ビュー数では6位に過ぎない。
なんでしょうね。
まあ、あまり気にせず、書きたいときに書きたいことを書いていきたい。


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