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ビジュアル実証経済学5 教育経済と公共投資(水泳)

何だかんだと言われながらもオリンピックが無事に開催されました.見ていると,何となく近代五種をやってみたくなりましたが,馬も足首も,自分の体重を支え切れない可能性が高いので,今年は水泳だけ始めることにしました.
数日ほど,泳ぎ方の参考にドレセルとフェルプスを見ていましたが,フィジカルが強そうすぎて全く参考になりませんでした.しかし不思議なもので,水泳の動画を見ているとYoutubeが他の水泳の動画をレコメンドしてきます.

どこなのでしょうか?ちなみに,なぜ中学生?かと言うと,参照動画の後半にコメントがありますが中学校には推薦がありません.高校からはいわゆるスポーツの強豪校・名門校からプロ入り,あるいは大学へのスポーツ推薦などはよく聞きます.スカウトがいるという話も聞きます.
確かに,中学校のスポーツ強豪校と言うとあまりイメージがありません.しかしオリンピアンともなれば,一握りの超人です.では,彼/彼女らは,人生のどの段階からスポーツの英才教育が始まるのでしょうか.

あるいは,高校や大学ともなれば,設備も指導者も揃うかと思います.一方,中学校ではよほどの名門私立を除き,公教育としてのスポーツ(体育)は平等を担保できているのでしょうか.筆者は一応,大学にも在籍している教育者でもあり,専門が経済(都市経済/宇宙経済)でもあるため,都市間格差など地理的条件が左右する問題に関しても単純に興味深いです.

早速,データを参照してみましょう.また,動画内では決勝戦に進んだ人数をカウントしているようでしたが,ここでは予選出場者(スタートリスト)を参照します.参照先は,SEIKO社が公開元のようでHTTPで公開しています.しかも昨今では呪詛のごとく書かれている著作権を主張しません.さすが技術力と精神性を備えた名門優良企業です.

都道府県別

2021年度(第61回大会)は,出場者は神奈川県がトップです.次に,東京,埼玉,愛知,大阪と続きます.いわゆる都市圏で,ここまでであれば,競技者人口が多いから,出場者も多くなると考えることが可能です.次に,学校別に確認します.

中学別

中学校には推薦はないと言っても,やはり上位校と言うのは存在するようです.TOP3校は6人選手が出場しています.この時点で,おそらく強い中学校というのはあると言えるかと思います.これは複数年分の調査が必要ではありますが…ではその全中水泳の出場選手輩出数,それは,何が決めるのでしょうか.エリア内の人口でしょうか,仮にそうだとすれば,野球やバスケのようにエリア別に出場枠を設ける方が,公平な気はします.

公私

次に確認したいことは,いわゆる体育施設の分布です.日本最大の通信系会社の電話帳から抽出したもので,この会社は元公社なのですが著作権を主張しておりますので,引用元参照自体を自粛します.日本全体を雑駁に確認すると,地方ではかなり不便な所に公共の体育施設があることが分かります.これは,体育のための施設ではなく,施設を建てること,維持すること自体に意味があり,公共事業としての意味合いが強いためであると筆者は考えます.

この中で,特に水泳用設備を持つ体育施設はどこに,どのように分布しているのでしょうか.そもそも,日本は水資源が潤沢であるために水泳が授業の中に組み込まれています.しかし,世界標準では水泳はかなり贅沢なスポーツです.その理由は,大量の水とその大量の水を温めるボイラー設備にあります.アメリカ出張の時に水泳をしようと思うとホテルのジムか,かなりの高級ジム以外にはありません.出張回数が少ないのですが,これはEU圏でも同様のように思われます.

水泳公私

関東にフォーカスを当てると,全中水泳の出場者数の最も多い神奈川も,いわゆる東神奈川(都市部)に民営の水泳施設が多いことが分かります.同様に東京も都心・住宅地部に民営の水泳施設が多いことが分かります.

公私水泳北海道

反対に,北海道は水泳施設自体は公営にならざるを得ません.当然です,冬季は水も氷る北海道では,プールの維持に莫大なコストがかかりますから…そうした意味では,冒頭にあったスポーツの英才教育はいつ始まるのか?と言うのは,いつ始まるのか?だけではなく,どこで(地理的)が大きく影響するように筆者は考える.北海道であれば,スキー・スノーボードなどの冬のオリンピック競技の方がメジャーとなるのであろう.神奈川や東京でスイマーとして頭角を現すためには,いい指導者や民営の施設にお金を払える富裕層なのであろう.

そしてそれは,さながら受験勉強と同じようでありながら,受験よりも圧倒的に厳しいのではなかろうか…

本文はここまでです.

最後に,SEIKO社さんの公開している水泳情報のデータをコンピューターで読みやすい形に処理するプログラムを有料公開します.

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