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ビジュアル実証経済学7 都市からスノーリゾートまでの距離によるスキー・スノーボードの認識差

スキー・スノーボードにおける主観採点に関しては,前回の記事のとおりである.

では,この主観採点は,何が基準でどのように変化するのか?という点に関して取り上げてみたい.それは,端的に都市までの距離によると思われる.リゾートにおけるレジャーとしてスキー・スノーボードを認識するエリアと,そもそもスキー・スノーボードが日常生活の一部と認識されるエリアは,それぞれ都市までのアクセスが大きな要因となるように思われる.

北海道内テクニカル・クラウン検定会場

仮に,このスキー場の全てにおいて,同じ基準で採点されているのであれば,受験者が一様な水準を前提とすると,合格率も同様に一様でなければならない.また,年度によっても受験者数に対して合格率は一定の水準で変化するはずである.
だが,実際はそうではなく,下記図のようになり,下記式で近似される.
合格者数≒0.1受験者数, R^2 ≒ 0.231, p-value < 0.0001

テクニカル・クラウン検定合格率
テクニカル・クラウン開催地スキー場ごと合格率時系列

R^2≒0.2は,もはや無相関と言って差し支えないであろう.つまり,検定に対して明確な基準などないに等しいのである.ただ,スキー・スノーボードの検定合格にはエリアごとの特性が大きく影響していると一般に言われている.そこで,この検定開催地のスキー場のそれぞれを,札幌・旭川・函館の3都市からの距離で分類する.

マルチプルバッファ

バッファ演算は,花粉などの飛散物の近似を行う際には利便性が高い一方,二点間を距離で算出するため,計算はかなり誤差が大きくなる.

道のり距離
移動時間距離

また,一般に距離と言われるとき,本来的には道のりを指すと思われるが,文化圏的な意味合いでは,移動時間の方に影響を受けると思われる.次に,移動コストを計上すると下記図で表される.

ODコストマトリックス

このコストマトリックスに基づき,テクニカル・クラウンの開催地のスキー場を移動時間に応じて30分圏内・60分圏内・90分圏内・90分以上に分類すると,図(テクニカル・クラウン開催地スキー場ごと合格率時系列変化)は下記のようにあらわすことが可能となる.

テクニカル・クラウン開催地スキー場ごと合格率時系列移動時間別

データ取得可能であった4シーズンに関しては,毎シーズン60分を一つの境界として合格率が大きく変化するようである.下記図を確認すると,毎年の平均合格率以上の合格率となるスキー場の半分以上が60分圏内であることからも明らかであろう.

テクニカル・クラウン検定開催スキー場における合格率変遷

おそらく,都心からアクセスしやすいほど,レジャー色が強くなり,離れた地域ほどスキーが日常生活の一部として認識されるのであろう.結果,難易度が高いものになるのではないかと推測される.

本当は本州のスキー場で解析したかったんだけど,そういうデータは特になかったし,もうシーズンが終わるので,何となく来年以降の参考にでも…


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