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教育は主目的ではないが成長する機会とは

鳥取でNPO法人bankupを経営している中川げんようです。主に若者の社会参画の場づくりを中心に事業を行なっています。前回の記事ではチャレンジを投資として見て欲しいという話をしたのですが、教育的効果について少し言語化に挑んでみたいと思います。

1.チャレンジを通して成長していく若者たち

先日、農業系の学生プロジェクトがお世話になっている人と、プロジェクトについて振り返る機会がありました。大学の研究の一環で調査協力についていったときの話です。

農業系のプロジェクトは”米作りを生産から販売・加工販売までやる”、”農業ボランティアを県内各地に派遣する”や”果樹に関わる生産から加工・販売まで実践する”などいくつかのテーマで動いています。

大学生でチームをつくって議論して運営していきます。bankupとしては、現地にいくための交通手段の提供(レンタカー代金の負担)、活動環境(事務所)の提供、あとは相談されたら返しますが、基本的に決定権は学生たちに持ってもらってます。鳥大の農学部生が多いという事情もあって幹部学年は2年生。19~20歳のリーダーがチームを引っ張ります。3年生になると研究室、卒論など忙しくなるので、フォロー側にまわってもらいます。

”米を作って売る”など目標があることで、それを成し遂げるために、工夫したり悩んだりします。その過程において成長が生まれています。

一つ目は視野、特にリーダーになると全体を把握しないといけなくなるので、目線があがります。4月の新歓をやっているころは、大丈夫かなと思うメンバーも5月中旬には目線があがってて頼もしくなります。1年でぐっと伸びる瞬間です。チーム人数が多いので、役割分担はありますがリーダーは必然的にみる範囲が広がるので、意識もかわりますし、吸収することも増えます。主体性が視野を広くしていることもあります。ここはリーダーミーティングを通じて、自分たちがメインで回していくのだという意識づけができているのも大きいです。

二つ目に、理論や専門性の大事さを学ぶ部分。現実と理論の間を行き来しているので、大学の学びへの意識が高まったり、一方で現実との違いや似ている部分なども実践的に学んでいます。

理論という基本があることで、乖離したこと、理論通りのことなどの意識ができます。最近は、専門の先生に相談したりするスタッフも増えてきているので、僕よりも大学生という環境をうまく使っていると思います。結果として前回も書いたように、卒論などに挑むときの姿勢が変わってきます。

三つ目はマネジメントノウハウです。非常にOJTなところもありますが、記録することや会議運営、google等必要なIT環境を活かした情報共有など、効率的なチーム運営のための経験値を積んでいます。また、サークル的な組織なので、ボランタリーベースの参加者をどう動かしていくか、一緒にやっていくかについては、人材活用の観点では深い学びになっています。

☆キーワード
視野・専門性や理論と現場・マネジメント

2.教育を目的とした企画ではない

こういう事例を書いていくと「bankup(旧学生人材バンク)は教育の団体ですか?」と聞かれることがあるのですが、教育は目的にはしてなくてあくまでもオプションです。

実戦経験を積む機会の中に教育効果があるという状態で、あくまでも実践の先に地域の担い手としての機能(農村ボランティア)だったりを大事にしています。地域に還元するものもないと、場を消費してしまうので。

僕が初期の頃に「でも数年でいなくなるんでしょ」と言われて、地域にも何か返せる動きにしなきゃなと思ったのも、動機の一つになっています。教育を前面には出さないようにしています。

現場で教えてもらうばかりでは良くないので、自分たちでも調べたり、学んだりすることも多いです。農学部じゃない子もいるので、知識として必要な土台は勉強しています(必要なことは学ぶ)。

NPOとして運営する企画や受託事業の中には教育的要素が多いものもあったりします。1回だけだと良いのですが、同じようなことが続けるには、教育の先をもっと設計して共有したり、別の意味も加えていかないと難しいと感じています。

またお勉強・教育機会ではなく、実践から生み出すことが大事という部分を大学生たちと共有することも大事で、そこまで意識してもらうことでお客さんにしないという状況が生まれるのではないかと。

キーワード
教育を全面に出さない、必要だから学ぶ

3.お客さんにしない工夫、当事者意識

与えられること、正しい答えがあることに慣れてしまっている場合が多いので、何かを与えてくれる場と捉えて参加する学生もいます(僕はお客さんと呼んでます)。

地域の方からも、「活動が知られるようになって、地域への大学生の目も向くようになったのは良いこと、一方で『就職に役に立つから参加している』と言ってる子が出てきて、それ自体はキッカケだから悪くはないのかもしれないけど、動き方は歴然だから難しいね」という話も出ていました。

本当の意味で就職に役に立つのは、自分で考え動いて悩んで進んだ事実であって、「○○プロジェクトにいました」だけではないので、主体性をもって参加することをメンバーに届ける工夫が必要になります(受け身だと得るものは少ないよって話)。一緒に作っていくメンバーという意識で、お客さんにしない。人数が多くなるとどうしても現場が遠くなる(参加頻度が分散するので)。適正なプロジェクト規模はあるのかもしれません(ここはまだうまい答えが出せてない)

段階的に役割があることが、当事者意識を徐々に高めていくポイントじゃないかと思っているので、議事録作成・写真撮影など、小さな役割を担っていくことを経験していくようにはなっています。

一年生には一年生の役割、二年生には二年生の役割、三年生には三年生の役割。学年があがるということで、必然的に立場が変わるので、ここはわかりやすくなっているのもよいのかも(切り替えのキッカケ)。

プロジェクトの外部評価や、コンテスト的なものに出すことも進めています。自分たちで言語化していく作業は客観性を持たせたり、プロジェクトや個人の活動の意味づけをしていく上では良い動きになります。書類のブラッシュアップはつきあうようにしています。

キーワード
主体性を持って参加、段階的な役割(例:学年ごと)、外部評価

4.まとまらない、まとめ

地域の方や大学の先生と話して、プロジェクトを通じて学びがあり、成長も生まれる。最初から学びの場ですって言わない方がよくて、成果や目標に目線を合わせて、主体性をもって取り組むと、結果として成長がついてくるって話なのですが。

まったく要素が自分の中で整理しきれてない(理論が圧倒的に足りてない)のが良く分かりました。現場の方はなんとなく、このモヤモヤがわかったり、それって○○じゃない?と思われていると思います。何か、これ読んだら良いよとかあれば教えてください。

そんな感じで今日はここまで。

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