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大量生産 アパレルの闇?

先日、とある動画で、大量生産アパレルの闇、、、というのを拝見しました。私は、生産国として、バングラデシュのアパレル工場とは深いつながりがありますので、是非noteしたいです!

まず、動画を見て思ったのは、情報が少し古いのでは?ということ。

動画では、主にファストファッションをはじめとしたグローバル企業(いわゆるZARAやH&Mなど)をメインにお話していたと思いますが、バングラデシュのアパレル工場の管理は近年、コンプライアンスが非常に厳しくなっています。

ヨーロッパの企業はコンプライアンスのない工場とは取引をしない方針の会社が多いので、工場がどうこうというより、発注先が、人権問題など含めてコンプライアンスを重視ししてくれます。

その先には、ヨーロッパのマーケットの消費者がそれを強く求めているという背景があります。

動画でもあったように、そういう意味では確かに、欧米に比べて、日本では、こういった消費者の意識は低い傾向にあるかもしれません。

動画では、日本のアパレルがバングラデシュに大量発注して安く仕入れているような話でしたが、どのアパレル会社を指しているのかはわからないですが、日本のアパレル業界を指しているなら、それは少し違うかなと思いました。

マーケットがグローバルな企業なら、アメリカだけでも5000店舗など、あり得るかもしれませんが、中国でも、バングラデシュでも、日本のロット数は、そんなに大きな数字ではないです。だから大量に作る=安く というのは、便宜上はそうかもしれませんが、正しくはそうではないように感じます。動画はグローバル企業に向けての話なのかもしれませんが、アパレル全体がそうだという誤解を与えてしまいそうですね。

特にバングラデシュの場合、中国と決定的に異なることは機械の導入率です。まだまだ人の手を使う仕事が多いのと、最近ではマーケット思考にはなりつつありますが、中国ほど原材料の価格調整ができないという事情があります。

もう少し掘り下げてみると、素材を良いものを使って、コストカットできるノウハウが中国ほどないんです。

ですから、バングラデシュ製は、単価は中国より高いですが、質が良いものが出回っています。また、これは文化的なものかもしれませんが、良いものを分け与えたいという精神を多く持つ商売人が多いのも特徴です。

ですから、コスト調整をするとなると、やはり人件費が削られるということになります。機械を使ってコストカットするのではなく、ただ労力の賃金カットですから、これは人権問題に直結します。

中国ビジネスで、当たり前にしていたことをバングラデシュでしてしまうと、人権問題に関わってしまうので、これはバングラデシュの背景を理解して取引する企業が増えると良いなと思います。

ですので、動画でも紹介があった、2003年に起きた事故のように、バングラデシュ側のオーナーが利己主義であった場合、労働者への人権問題やアパレルの闇というのは十分あり得ると思います。

そういう面では、多くのヨーロッパ企業が参入していることで、バングラデシュは日本よりも、グローバル社会だなと思うことが沢山あります。どちらかというと、日本マーケットよりも、ヨーロッパマーケットに強いつながりがあるので、親日国ではありますが、輸出に関していうと、先進的です。

コロナ禍の際も、H&Mなどは注文を遅らせたものの、発注のキャンセルはしないと真っ先に宣言した会社でした。

逆に別の企業は何億もの発注をキャンセルしたと騒がれていました。発注をキャンセルした会社は売上が低迷していたようです。逆に、注文をキャンセルしなかった会社などは、売れ行きが良かったということも関係しているのでしょうか。

消費者がきちんとコンプライアンスを守る企業から商品を購入し、応援する、そしてそういう企業が、工場に商品を倫理をもって発注する、そういう世の中であってほしいです。

この流れが誤るとき、サプライヤーや工場は、非常に苦しい立場に立たされて、守るべき職人を守ることができなくなってしまいます。

日本では値段やデザインばかりが重視されて、そのオリジンがどこから来たのか、会社の理念はどうか、、あまり気にしないこともあるかと思います。

動画であったように、値段が異常に安い製品があれば、まずはその生産背景はうたがった方が良いのかもしれないです。

けれど、それと同時に、企業から発注をもらって、多くの職人も生活が支えられいるという背景も知っていただけると幸いです。













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