【GENT'S STYLE】リヴェラーノ&リヴェラーノ インタビュー後編 エレガンスを身につけるには？

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Text & Picture by Yoshimi Hasegawa

Y:以前のインタビューでアントニオさんはいつも新しいことを考えているとお話されてましたね。この新しい挑戦を楽しんでらっしゃいますか？

A：その通りです。いつも頭の中で新しいことを考えています。常に構想があるのですが、あり過ぎて全ては実現化できません（笑）。絞りながら徐々に実行に移している感じです。

Y:Covid19によりクラシックなメンズウェア業界でも、さらにカジュアル化が進んでいます。これに対してはどう思われますか？リヴェラーノ&リヴェラーノのスタイルは変化したのでしょうか？

A：うちの基本は伝統的なテーラーです。基本のスタイルは変わっていません。
敢えて言うなら、既存のものに新しいものを加えています。
例えば、これはタカ（大崎氏）の課題ですが、リサーチしながら若い人向けに、なにか新しいプロダクトを考えたりしている。

いつも先をみて考えながら進む。うちではいつもなにか進んでいるようにしています。
止まったら限界のある人間になってしまうから。
先を見ていると、さらに違うものが見えてくるものです。

Y: Covid19後は新しいメンズウェアのスタイルが求められているという声を良く聞きます。今は機能性素材が流行ですが、どう思われますか？

A:お客様からのリクエストとしてあるのは理解できます。レインコートやスポーツウェアに使うのは理解できますが、クラシックなスーツ、タキシード、オーバーコートとかには、今はまだ違うと思いますね。

Y:最近気になっている、もしくはお勧めの素材(ファブリック)や製品があれば教えてください。

T：最近ちょっと面白いと思うのは、VBCがウールでも様々な機能性のファブリックを製造していることですね。これは宣伝とかリップサービスじゃないですよ（笑）。それを使ってサンプルを作っています。例えばトラウザーズでウォッシャブルといったようなものです。

Y: そうそう、意外だと言われるのですが、VBCのウォッシャブルはこれからアジアで需要があると思うんです。

T:ウォッシャブルも含め、改めてCOVID 19の期間中に色々と試しているのですが、RTWのスポーツウェア、カジュアルラインのスポーティーなものをあえてコットンでなく、VBCのウールのフレスコでサンプルを作っています。あれは強撚で良いですね。

A：今のタカの話のように、うちでは若い世代が伝統的なテーラーに新しい風を加えているんです。若いテーラーだけでなく、タカもコマーシャルチームもまだまだやることはたくさんあって、成長しないといけない。こんな時くらい、たまにはゆっくりしてくれと皆から言われるけれど、止まったら錆びちゃうから止まれない（笑）。

私はいつも歩き続けています。昔のように走ることはできないが、止まらずにゆっくりと歩いているんです。

Y:アントニオさんの着こなしには素材使いや色使いに、古く感じない、いつも新鮮なものを感じます。今日お召しになっているものは昔に作られたものということですが？

A:このジャケットの素材は昔のゴールデンセレクションです。もう随分と前のものです。

T：それが僕は本当のテーラーだと思います。何年経っても古く感じない。

A：美しいものは何年経っても美しい。女性も同じです（笑）。
綺麗な女性は年齢を重ねても美しい。
服だけでなく家具も本当のアルティザン（職人）が作ったものは古くなっても美しい。
ヴァン・ゴッホの絵には流行り廃りはない。いつ見ても美しいでしょう。