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トミーが語る「カンタほど努力できる人に会ったことがない」 #4 ふたり。

YouTuberになりたかったんじゃない。ずっとふたりでいたくてYouTuberになったんだ……。チャンネル登録者数400万人超、大人気の水溜りボンドが放つ待望の初エッセイ『ふたり。』。

ガキ大将のトミーと、気にしいのカンタ。それぞれの幼少期から、ふたりが出会った大学での生活、毎日投稿6年間の舞台裏、そしてトミーの活動休止中のことまで、動画では見せられなかったふたりの姿が詰まった本書から、一部を抜粋してお届けします。

*  *  *

努力で才能と自信を磨いた相方(トミー)


あらためて言うが、カンタは本当に努力家だ。

毎日投稿を続けながら企画立案、トークライブ、企業案件、撮影の準備、そして大学の授業にも真面目に通っていた。そのうえ大学3年からは就活もやっていた。限られた1日の時間を、どうやって回していたんだろう?
 
1本の動画を編集するのに、3時間か4時間はかかったはずだ。毎日投稿していた頃は、1日に自由に動ける時間が2時間ぐらいしかなかったはず。そんな忙しい人が毎日、普通に登場している動画ってとても貴重なんだと思ってほしい。
 
あんなに努力できる人は、他に会ったことがない。水溜りボンドが早くに成功できたのは、運とかご縁もあると思うけれど、カンタの圧倒的な努力量のお陰だろう。
 
たまに取材などで、カンタってどんな人? と聞かれる。ひと言では語りづらいのだけど、あえて言うなら「努力で才能と自信を磨いた人」だ。
 
彼は、YouTuberにならなくても、どの分野でも成功したと思う。人当たりがいいし、衝突を避ける考え方をする。やらなくてはいけないことに、いくらでも努力を注げる。

会社員になっていれば、新入社員のうちから成果を出して出世しただろう。起業していたら、世のなかの役に立つ、革新的なサービスを生み出したに違いない。
 
ポテンシャルという表現は、あまり好きではない。でもあえて使う。カンタは、どこでも成功できるポテンシャルを、努力によって身につけた人だ。
 
お笑いでも歌でも映画製作でも、成功しているプロの多くは、その場所でしか成功できなかった、特殊な才能の持ち主たちだ。けれどカンタは、オールマイティだ。彼のどこまでも努力できる才能は、ジャンルに縛られることなく、いろんなところで発揮されていただろう。
 
彼は、心配性で「気にしい」なのだ。だから努力しないと、不安になってしまう。ある意味でビビりなのだろうけど、それが実績を積んでいくベースとなっているし、カンタ自身の個性でもある。
 
僕は10代で「努力の仕方」を学んだけれど、努力の才能は、カンタには及ばない。
 
だからこそ、カンタにできないことで水溜りボンドを成長させていく方法を、僕は僕なりに真剣に考えていくことが大事だった。
 
カンタの努力に匹敵する、僕だけの戦略を練りに練って、コンビの活動に落としこんでいく。それが僕の、水溜りボンドでの「努力の仕方」だった。

自分の決断を信頼してくれた父親(カンタ)


登録者数100万人を超える前に、僕は父親にすべて明かすと決めた。父親の部屋へ行き、「ちょっと話があります」と、敬語で話し始めた。

大学での勉強のこと。トミーとYouTubeを始めたこと。そして、これからどうしていくか真剣に考えた結果、YouTuberとしてやっていきたいこと。僕は真面目に、丁寧にこうしたことを話した。

少し前から家のなかで、撮影時の「はいどーも! カンタです!」の声が外に漏れていたりしたので、父親も動画には薄々感づいていたんじゃないかと思う。
 
父親は、口をはさまないで、うんうんと僕の話を最後まで聞いてくれた。
 
そして、まず僕は質問された。
 
「YouTubeは、趣味でやっていたんじゃないのか?」
 
ちょっと傷つく言葉でもあった。僕が真夜中まで、部屋に籠って動画を編集していた様子は知っていただろうに。趣味はないよな……と。
 
続けて、真っ当なことを聞かれた。「普通に働いた方が、いいんじゃない?」と。それは百も承知なのだけど、トミーとじっくり話し合って決めた、僕たちのたしかな進路だ。曲げるつもりは、なかった。
 
ホッとしたというか、安心したのは、父親の質問の穏やかなトーンだ。「どうせやるんだろうけど、親として一応、言っておこう」みたいな感じだった。
 
父親は、極めて堅実で常識的な人だ。心の底ではやはり、息子がYouTuberになることを大賛成するわけにはいかないだろう。
 
けれど、「普通に働いた方が、いいんじゃない?」という言葉以上に、強く反対する態度ではなかった。
 
あんまり勧めはしないけれど、カンタがやりたいというなら、やったらいい。僕の決めたことを最大限尊重してくれる父親の姿勢は伝わった。
 
僕は最終的に、「やらせてください」とお願いした。父親は、「わかった」とだけ返して、それ以上は何も言わなかった。
 
言葉は少なかったけれど、僕のことをたしかに信頼してくれている、父親の最低限の気持ちが伝わり、とても嬉しかった。

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ふたり。


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