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あなたは相手から届いたメールの「!」に気づくことができるか?

『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で脚光を浴びた、ブランドプロデューサーの柴田陽子さん。最新刊『勝者の思考回路』は、さまざまなプロジェクトを成功に導き、名だたる企業のトップから指名される彼女の「成功の秘密」に迫った、まさに「決定版」といえる内容です。迷えるビジネスパーソンの羅針盤になるであろう本書から、柴田さんの心に刺さるメッセージをお届けします。

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小さなことにすべてが宿る

私は普段から、実に小さなことにこだわります。

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というのも、「小さなことにすべてが宿っている」と考えているからです。

成功の理由も失敗の原因も、あるいは1人の人間の真の姿も、すべて小さなことに宿っています。

そもそも、将来の成功の可能性があっても、最初はほんの小さな芽の部分しか表に出ていないものです。その芽の奥、地中に眠るでっかい実を掘り当てられるのは、小さなことを大切に観察している人だけです。

小さなことにこだわる態度は、成功を手にするチャンスを増やすだけでなく、失敗を避ける意味でも重要です。将来の失敗もまた、今はほんの小さな芽しか表に出ていないからです。それを注意深く見ることができなければ、地中に隠れている地雷を踏み抜いてしまう危険もあるでしょう。

だから私は、シバジムの社員にも、しょっちゅう小さなことをあれこれ言っています。たとえば、朝出社したときにゴミが溜まっていたとします。そんな些細なことでも、スタッフの仕事に対するストイックさが欠けているのではないか、掃除当番の仕組みに穴があるのではないかと、心配になります。

そのことに、誰も気づかずにいたのは、重大な問題だ。これでは、成功の芽も失敗の芽も見つけることができない社員を育ててしまうことになる……と。

先程までテーマにしてきた「感想」も同様です。感想を持ち、その数を増やしていく、というのも、とても小さいこと。そもそも小さな部分を注意深く観察して拾い上げなければ、感想を数多く持つことは難しいですし、そうやって「良い感想」をひとつずつ増やしていくことは、とても地味で小さい作業です。

成功のカギは目の前にある

たとえば、普段のメールでは語尾に「!」をよく付ける人が、今回のメールではひとつも付けていなかったとしたら、今その人は怒っているかもしれない。この件に対して不本意なのかもしれない……。これは大変な事態だと思うべきです。

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そこで私は、「いつものメールと様子が違うけれども、何かありましたか」「まだ、こちらがちゃんと把握できていないかもしれません。違和感があったらいつでもおっしゃってくださいね」と、すぐ聞き返します。

でも実際には、それに気づかない人もたくさんいるし、「それくらいのこと」とスルーする人もいる。しかしながら、そこに気づく人と見逃す人とでは、同じ1時間、仕事をしたとしても、30個分も50個分も感想の数に差が出てきてしまいます

たったの「!」一文字。そんな小さいところに相手の本音がくっきり表れ、やりとりの本質が宿っています。「良い感想」と「普通の感想」の差がつくのは、その「!」一文字をとらえることができるかどうかだったりするのです。

ほかにも、相手の言葉遣い、言葉選びに対しても、意識を持ちたいもの。ちょっとした言葉の変化の中に、たいへんな情報が隠れています

その人の表情やしぐさを観察することはもちろん大事ですが、表に出ている情報のみを漫然と見ているだけの人は、だいたい誤解をしています。「言葉」という小さく地味なものを疎かにしてはいけません。

逆も真なり。相手の言葉に敏感になると同時に、自分が使う言葉にも、大いに意識を働かせなくてはなりません。たったひとつの言葉が、相手の心に刺さり、大きく物事を動かすことはあるものです。実際私も、ある言葉をメールでいただいて「ありがたい!」と思い、大きな決断をしたこともあります。

成功のポイントは、そんなふうに、目の前のとても小さいものに宿っているのです。


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