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同姓同名 │ 下村敦史

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大山正紀が殺された。 犯人はーー大山正紀。 大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て 練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒り… もっと読む
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記事一覧

インターネットの世界だけが全てで、人との繋がりを実感できた。

5 大山正紀は女友達とカフェで向かい合っていた。彼女は世の中の理不尽に対する愚痴を喋り続…

事件の風化を手助けする法律に何の意味があるのか。

4 テレビの画面では、スペインリーグの『リーガ・エスパニョーラ』の試合が流れていた。 「…

ツイッターによくいる『説教おじさん』や『説教おばさん』かよ

3 大山正紀はコンビニの制服に着替えると、レジに立った。バイト仲間の女性に挨拶する。 「…

本当の自分をさらけ出せるのは、匿名のSNSだけ

2 大山正紀は女友達からメールを貰い、待ち合わせ場所に向かった。約束の時間より二十分早く…

「勝手に推し本、紹介します」vol.6

この連載では、電子書籍事業部メンバーが毎日触れている幻冬舎の本の中から、独断と偏見のみで…

いつか自分の名前がスタジアムで轟くのを夢みていた

1 雲一つない青空にサッカーボールが弧を描き、落下してくる。グラウンドに掛け声が飛んだ。 …

大山正紀が殺された。犯人は、大山正紀。

登場人物全員、同姓同名! 著者最高傑作、2020年最高の社会派ミステリの呼び声高い話題のノンストップミステリ『同姓同名』のプロローグを抜粋してお届けします。お楽しみくださいませ。 プロローグ九月のIOC総会で東京での開催が決まったオリンピックの話題に世間が沸く中、大山正紀(おおやままさのり)は他人に知られるわけにはいかないどす黒い感情を押し隠し、血の色の夕日に照らされた公園の草むらに潜んでいた。 大山正紀は影と化して公園内の様子を覗き続けた。呼吸するたび、白い吐息が湿った