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何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ⑪

アーティスト:ティアーズ・フォー・フィアーズ
名盤:ソングス フロム ザ ビッグ チェア

「Songs from the Big Chair」は、ティアーズ・フォー・フィアーズが1985年に発表したセカンド・アルバムです。
当時流行したエレポップと呼ばれる音楽性の範疇にありながら、歌詞の繊細さとよくマッチしたサウンド・メイクが特徴となって大ヒットしました。
1984年の12月にリリースされたシングル「シャウト」はMTVにおけるビデオ・クリップの頻繁なオンエアも手伝い、全英シングルチャート2位、全米Billboard Hot 100で1位を記録。
続いて「ルール・ザ・ワールド」が全英・全米1位、「ヘッド・オーヴァー・ヒールズ」が全米3位と立て続けにチャートインしました。
アルバム「Songs from the Big Chair」は世界中で1000万枚近く売れるなど、折からの第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの波にも乗り、TFFの名は世界中に知られることとなりました。

  1. "Shout"
    出だしからの無機質な感じが曲に独特の雰囲気を与えています。
    しかし、そうした独特の音世界が作られているものの、やはりヴォーカルがティアーズ・フォー・フィアーズの音楽を印象付けています。
    声は柔らかくも力強く、そして空中を漂うような情感たっぷりの声こそが彼らの最大の武器ではないかと感じます。
    また、サビの“Shout,Shout,Let it all out♪”の部分の繰り返しは、一度聴いたら忘れられない強烈な印象を残します。
    ギターソロもシンプルなメロディを浮遊感たっぷりに奏であげています。
    楽曲全体は重厚で荘厳な雰囲気いっぱいなのに、ポップスとしても成立している、80年代を代表する1曲になりました。

  2. "The Working Hour"
    サックスの音の周りをシンセサウンドが彩るイントロに続いてパーカッションが加わり、再びサックスが響き渡ります。
    サックスの音も、楽曲に溶け込んだ風に感じられます。
    暗めな雰囲気の歌なのですが、歌のメロディがいいので、つい聴きいってしまいます。
    アルバムの2曲目で、重たいのに聴き苦しくはないという、彼らの独特の世界になっています。

  3. "Everybody Wants to Rule the World"
    ギターソロはとっても気持ちよいサウンドになってます。
    アルバムの中では異彩を放ってはいるものの、80年代を代表するキャッチーな曲が世に出ることになりました。
    イギリスでは、この曲は3rdシングルとしてカットされ、第2位を記録し、世界中でも大ヒットを記録しています。
    しかし、アメリカでのヒット狙いという作りもあり、アメリカでは1stシングルとしてリリースされ、アメリカで大ブレイクを果たすことになりました。
    ちょうど第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン真っ盛りの時期でしたが、まさにその波に乗りアメリカの音楽市場を見事に侵略(インヴェイジョン)することができたのです。

  4. "Mothers Talk"
    ところどころに挿入されるオーケストラヒットも、非常にかっこよく効果的に決まってます。
    なかなかハードでエッジの効いたロックテイストのある曲になってます。
    この曲はイギリスではアルバムリリースの約半年前に先行シングルとしてリリースされ、第14位を記録しています。
    そしてアメリカでは、アルバムから3曲が大ヒットしたのを受けて、リミックスヴァージョンという形で4thシングルとしてカットされシングルチャートで第27位を記録しています。

  5. "I Believe"
    ここで静かなバラードがやってきます。
    曲のメロディがいいのと、伴奏のピアノの重厚感とがあいまって、なかなかいい感じに仕上がっていると思います。
    ところどころに登場するサックスも、目立ちすぎずちょうどいい具合に曲を盛りたててます。
    アルバムの中ではこれまた異質ではありますが、しっとりとしたいい曲で、いいアクセントになっています。

  6. "Broken"
    前の静かな感じから、この曲の動への流れがとてもいいです。
    激しいドラムと、ベースの組み合わせにエレキサウンドが加わるイントロはとてもかっこいいです。
    少しずつ盛り上がっていき、途中に次の曲のイントロのメロディが加わるところのアイディアはとてもいいです。
    歌が始まって間もなく再びヘッド・オーヴァー・ヒールズのメロディが始まり、次の曲へ入って行きます。

  7. "Head over Heels / Broken (Live)"
    短い前曲からのチェンジで、ゆったりしたポップロックが始まります。
    この曲はライヴでブロークンと共に切れ目なくつながった曲として発展してきた曲のようです。
    やはりメロディがいいですし、裏声交じりのローランドのヴォーカルが非常にはまってます。
    シンセの飾り方も80年代ど真ん中のキラキラ感があふれてます。
    ライブから少し激し目のサウンドに戻って、ここでもエレキギターが目立ってます。
    そして歓声と共に曲は終了。
    この曲のヘッド・オーヴァー・ヒールズの部分がアメリカで3rdシングルとしてカットされ、シングルチャート第3位、
    イギリスでは4thシングルで、第12位を記録しています。

  8. "Listen"                                                                                                          これは7分ほどに及ぶ大作になってます。
    イントロのメロディも、とてもいいですね。
    ダークな雰囲気にきれいなシンセサウンドで、ここでも浮遊感が心地よいです。
    途中から加わる、女性ヴォーカルがいいアクセントになっています。
    大きな盛り上がりがない曲ですが、7分の長さをあまり感じさせないほどの構成になっています。

以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。


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