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迫る井上尚弥の防衛戦

9月3日に行われる井上尚弥の防衛戦、その決戦の時が刻一刻と迫って来ている。

今回チャンピオンに挑戦するのはアイルランドのベテランボクサーであるTJ ・ドヘニー

元IBFスーパーバンタム級の世界王者であり、現WBOスーパーバンタム級2位のボクサーである。

年齢は37歳とすでに大ベテランと言える域に達しているが、それでも尚世界2位のレベルに位置しているというところから、フィジカルやパワーに優れ、経験と技術を豊富に蓄えていることが伺える。

なので、当然一発あたればチャンピオンからダウンを奪うことも可能であり、前回のネリ戦で井上がダウンを奪われたことで、ドヘニー自身もそのイメージを持ちやすくなっているのではないかと思う。

「判定決着は許されない」



大金星を狙って歴史的な衝撃事件を起こしに来るベテランのドヘニーを迎え討つ王者・井上尚弥は自身でも「判定決着は許されない」と語っており、その内容に王者らしい高い基準を課している。

これまで多くの強者を打ち倒してきた井上尚弥だが、それでも常に高いハードルを求められ、その難題を毎試合クリアし続けてきた。

そして今回の防衛戦も同様に、多くのファンから期待を寄せられるが故に越えるべきハードルは高まっている。

そんな期待をも超える高い基準を井上尚弥は自分自身に課しているのではないかと思う。

井上尚弥の実力を考えると、どんな相手にも勝てるだろうと感じてしまうが、タパレスやネリがタフで緊張感のある戦いを展開したように、今回のドヘニーも思っている以上の内容を見せてくる可能性がある。

フィジカルが強くパワーがあるドヘニーを倒しにいくということはそれだけのリスクを伴うことになるので、一発を警戒する井上尚弥にとってそれは危ない要素を孕んだ作業になるはずだ。

しかし、その上で4団体統一王者はその瞬間をハイクオリティな内容にして届けようとしている。

ただ、そのことに捉われて焦ってしまうと不用意に一発をもらうなんてこともあり得てしまうので、しっかりと勝つことを前提とした動きを大切にしながら試合を作っていくことは重要な要素となってくるはずだ。

そういった不安要素となる小さい隙間が埋まってしまえば、いよいよ対戦相手は成す術が無くなって来てしまうのではないかと思う。

これまでも大観衆を沸かせ続けて来た「日本史上最高のボクサー」がベテラン選手を相手にして一体どんな内容のボクシングを魅せるのか。

個人的には長いラウンドを通して「井上尚弥のボクシング」を楽しんでいきたい気もするので、早い幕切れではない展開も「観客」としてはアリだと感じる。

捉え切れない規格外の王者


©︎松尾憲二郎/アフロスポーツ

ここまでタイトル挑戦から統一戦に防衛戦と、常にベルトが絡んでくる試合を多くこなして来た井上は、挑戦者となるボクサー達にその情報を与え続けることになっている為、数をこなせばこなす程に次をクリアしていくことが難しくなってくるはずなのだが、現時点でも井上尚弥の規格外ぶりは明らかであり、包囲網を敷いても捉え切れていない状況がある。

これからチャンピオンとして各階級のトップ選手を相手にしていき、それを打ち倒していくことで文句を言わせないレベルの支配をこのスーパーバンタム級で見せていくつもりの井上は、一人一人トップ層にいる選手を撃破していくことになるだろう。

4団体統一王者として階級に君臨し、挑むものを悉く退ける絶対王者としての支配を見られる日も近いかも知れない。

そのためにもまずは9月3日のTJ・ドヘニー戦をクリアして防衛を成功させなくてならない。

果たして今回はどんな戦いを見せてくれるのか、9月3日に向けて期待は高まる。

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