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[Bellator] ウスマン・ヌルマゴメドフの禁止薬物陽性反応

常勝軍団の不覚

AKAに所属するBellatorライト級王者のウスマン・ヌルマゴメドフに禁止薬物の陽性反応が出た。

MMAを見ている人なら誰もが知っているであろうハビブ・ヌルマゴメドフの親族であり、常勝軍団であるダゲスタンの戦士だ。

出身地を元に組んだ団体戦を世界対抗で行った場合、ダゲスタン勢が集うチーム・ロシアが世界No. 1になり得る可能性が高いのではないかと思う。

MMAにおいてそれくらいの実力を彼らは披露している。

ライト級という階級で括ったとしたらほぼ間違いなく世界一になるだろう。

それだけの実力を世界に示して来た彼らだが、今回Bellatorのベルトを持つ無傷の王者が禁止薬物の検査で陽性反応を出してしまった。

これは彼が所属するチーム、または彼に関係する一族の看板にも傷をつける出来事になってしまうだろう。

あのウスマンがドーピングを行っているのならば、他の選手はどうなのか、あの時の試合も怪しいなど、自身以外の他の選手のキャリアや結果にまでケチをつけられる可能性もある。

「負け」と一体のドーピング行為と罪

個人的にドーピングを行って勝利を手にする選手は、結果がどうであれ自分の力で臨むことが出来なかった「負けている選手」だと思う。

努力する自分を裏切り、相手選手との勝負以前に自分に負けてしまった選手が運動能力向上の薬に逃げて勝利を掴んだとしても、それは所詮「臆病者」が掴んだ空虚な結果に過ぎないだろう。

自身の力で試合に臨み、あらゆるものを削りながら戦いの舞台に立っている選手の結果こそが賞賛されるべきものであると思っている。

自分の努力だけでなく不正な行いで他人の努力まで無駄にしてしまうドーピングは全てを台無しにしてしまう。

スポーツにおける結果や、その瞬間には人生が掛かっていることも多いけれど、ドーピング行為はそういった巻き戻すことが出来ない貴重な瞬間も簡単に踏み躙ってしまう。

そういったところからもドーピング行為が如何に罪深いかが分かる。

また、それを行ってしまうとこれまで積み上げてきたキャリアの説得力も失ってしまうので、本物の強さがあったわけではなかったのかと見られてしまうことにもなりかねない。

海外では禁止薬物によるドーピング行為が行われるケースが多いと耳にすることがあるけれど、UFCの人気選手が過去に何度も処罰を受けているところを見ると、そういった行為を考えている選手が一定数存在し続けていることが分かるので、強い規制を敷き続ける必要があると感じる。

その中でナチュラルに勝負に臨み、勝利を重ねているファイターは本当にすごいと思う。

それこそが真の強者であり、ファイターなのではないかと思う。

勝利を渇望する余りに薬に逃げてしまう「気持ちの弱さ」を克服できなければ真の強者とは呼べないだろう。

どうなるウスマン・ヌルマゴメドフ

だからこそ、これまで世界で素晴らしい活躍を見せてきているダゲスタン戦士の一人であるウスマン・ヌルマゴメドフにこのような報道が出るのは非常に残念だ。

ただ、現時点でウスマンサイドは今回の陽性反応は医師から処方された薬の成分から出たものであり、運動能力向上の薬を使用した訳ではないとしており、確かなところは分かっていない状況でもある。

しかし仮にそうであったとするのならば、Bellatorという大きな団体で王座を持つチャンピオンや、そのチームが処方薬による陽性反応のリスクを考えられていないというのは問題なのではなのではないかと思う。

また、ウスマンは治療使用するための事前申請を行ってもおらず、後に提出した書類にも物質名の明記はなかったということなので、医師の処方薬から摂取されたものという言い分も依然疑わしい。

仮にその主張が本当であったとしても、非常に杜撰な管理体制に問題があるということになるので、どちらにせよウスマンサイドが信用を損なう問題を起こしてしまったことには変わりないということになるのではないだろうか。

その上で現在、ライト級GPからの除外や前戦の結果をノーコンテストに変更、王座の剥奪や6ヶ月間の出場停止など、今後取られる処置についての情報が出ているが、Bellator側が今回の件に関して最終的にどんな判断を下すのか、そこに注目が向けられている。

PFLに買収されるという話が出ているBellatorで王座を失い、出場停止期間を設けられたとしたら、復帰後の王座戦までに掛かる時間などを合わせて考えると、明確な王座に復帰するのは難しくなるかもしれない。

その上でこういった問題をおざなりにしない為にも、Bellatorが日本のMMA団体のように危機意識がまるでなっていないような甘々な判断を下さないことを祈りたい。


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