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#12 Happyな障害者ケアの在り方とは?~福井のオレンジホームケアクリニックの見学で学んだこと~

障害者のケアをきくと、どんなイメージがありますか?

先日、福井のオレンジホームケアクリニックを見学に行きました。
私は普段、訪問診療を行っているのですが、医療的ケア児の診療については経験が少ないため、小児の在宅医療や地域でのケアについて勉強したいと思い、訪問させてもらいました。

今回は、見学を通して学んだ、生活者の目線で多職種が関わることの大切さと、地域でBe Happyに暮らすための障害者ケアの取り組みについてご紹介します!

・オレンジホームケアクリニック~フラットな多職種連携~

1日のスケジュールで、診療カンファレンス、訪問診療、ケアラボ(医療的ケア児の一時預かり)、訪問リハビリと、在宅医療の様々な現場を見学させてもらいました。

今回一番印象に残ったことは、「白衣を着ているスタッフがいないこと」「医師と一緒に多職種が訪問診療に同行すること」でした。

・カフェのようなクリニック、だれもユニフォームを着ていない!

クリニックがとてもスタイリッシュだったため、今回私は、なんと入り口を間違えて、テラスから入ってしまいそうになりました。
そして、中に入ると、吹き抜けで薪ストーブがあり、おしゃれな椅子やテーブルがあり、まるでカフェかと思いました。


クリニックの外観や中のオフィスは、オレンジホームケアクリニックのホームページで見ることができるので、ぜひご覧になってください!

このカフェのようなラウンジは、訪問診療のスタッフがカンファレンスなどを行うオフィスとなっています。
朝は、このオフィスでZOOMでの診療カンファレンスが始まりました。

そこで、ん?と気になったのは、

「白衣やユニフォームを着ているスタッフがいない!」ということでした。

カンファレンスでの発言でも、医者、看護師、言語聴覚士など職種の区別があまりつかず、それぞれのスタッフが患者さんの病状の変化やケアの方針について意見を交換していました。

・医師と一緒に多職種が訪問診療に同行

カンファレンスのあと、訪問診療に同行しました。
訪問診療では、医師と一緒に、医療クラークとして言語聴覚士、薬剤師など様々な職種のスタッフに同行していました。
そうすることで、オンコールのときにも、医療クラークが患者さんの状況を把握して、24時間365日対応できる体制になっているとのことでした。
さらに、1人1個タブレットが支給され、その場で入力して、残業がないよう、スムーズに情報共有ができるよう工夫されていました。
電子カルテも見せてもらいましたが、1つの画面で、病歴や治療のことだけでなく、申し送りや患者さんの意向(ACP=アドバンス・ケア・プランニング;意思決定支援)がすぐに見ることができました。

医療的ケア児が在宅ケアを行っている際は、急な入院対応が必要な場面も想定されるため、このような情報共有の工夫は非常に重要だと感じました。

・オレンジキッズケアラボ

ケアラボは、医療ケアが必要な子どもたちの一時預かりを行っており、未就学の障害のある児童への療育や放課後等デイサービスを行っています。
建物内は、木のぬくもりのある、壁のない内装となっており、森の中を探検するようなワクワクする空間でした。

診療の場面を見学させてもらいましたが、久しぶりにけいれん発作が起こったお子さんがいた際、マスク換気と酸素投与で対応したということを共有されていました。
けいれん発作などの突発的なことが起こった際は、一般的には救急車を呼ぶことも多いと思いますが、ケアラボでは、事前に小児科の医師、訪問診療の医師と対処の仕方を共有しておくことで、現場の保育士さん、看護師さんが冷静に対応しているとのことでした。
医療ケアが必要な子どもたちとその家族にとって、このような受け入れの場があることは、地域で暮らす上でとても大事なことだと感じました。

・近所のお兄さんのような訪問リハビリ

訪問リハビリでは、筋ジストロフィーの方の呼吸リハビリを見学させてもらいました。リハビリ中は、障害者サッカーのことやお父さんの手作りの車椅子の話など、ざっくばらんに話しをしながらケアをする様子は、近所のお兄さんがお話にきて、リハビリもしているという感じの雰囲気がとても心地よいなと感じました。リハビリの最後に、雪で通院が大変なときの交通手段について「介護の通院支援の制度を使ってみては?」という話題がすっと出てきて、リハビリテーションのスタッフも介護サービスに精通していることに驚きました。
患者さん1人ひとりに必要なケアを考え、行動していく姿勢は、まさに、職種の枠組みにとらわれないTPW(Trans-professional work)だと感じました。

・まとめ~医学生さんの実習発表を聞いて感じたこと~

今回の見学を通して、各職種の一人ひとりが生活者の目線、Be Happyの理念を大事にしていることを患者さんとの会話やスタッフ間のやりとりの中から感じることができ、大変勉強になりました。

ケアラボの子どもたちが作ったアート作品

実は今回の見学は、地域実習を行う医学生の実習先の視察を兼ねて訪問させてもらいました。

その5年生の医学生さんの実習発表では、「オレンジホームクリニックでは、歩行が難しいお子さんが、地元の小学校に通うことで、歩くことができるようになった」というエピソードを紹介し、リハビリテーションにおけるICF(国際生活機能分類)の「身体機能」の制限が「参加」によって改善されるというケアの在り方の大切さを学んだということを発表の中で触れていました。

障害をきくと、どうしても、「そんなことして大丈夫なの?」「問題が行ったらどうするの?」と考えてしまいがちですが、「やりたいことをやったみよう!」「うまくいかないときは、どうすればいいか方法を考えていこう!」と柔軟に対処していく姿勢は、これからの医療、ケアに欠かせないと感じました。

今回、子連れでの出張でしたが、温かく迎えてもらえ、見学中はクリニックのシッターさんにお世話になりました。
オレンジホームケアクリニックの皆様、本当にありがとうございました✨

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