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私の平凡な毎日

家を出る30分前に起きた。
眠い目をこすりながら顔を洗い、歯磨きをして、コンタクトをつける。
アイロンを温めながら10分で化粧をして、化粧が終われば、軽く髪の毛にアイロンの熱を加えた。ボワボワから解放だ。
朝一番の試練、着替えの時間になる。思わず寒いと声が出る気候になってきたので厚手の下着を着用した。
家を出る直前に、ポットで沸いた白湯を小さめの水筒に注ぐ。

急げ急げ、電車が来るまであと4分だ。

リュックの紐を握りしめ、朝から余計なランニング。
あと10分あれば走らずに済むのに、と思い早めに起きようとするが、アラームと睨めっこをした後は、ゔぅとひとり声を漏らし、眠気と葛藤しながらだらだらとしてしまう。
そんなでも未だに寝坊はしたことないのだからまぁ良しとするか。

電車に乗った後は、バスで40分以上揺られながら職場へと向かう。通勤ラッシュの時間なのか、いつもギュウギュウだ。
座席争奪戦に一喜一憂されないためにも、1本早めの電車に乗り、バスを待機するという流れがすっかり定着している。
無事に席を確保した後は、抗えない睡魔を受け入れ、コクッコクッと船を漕ぐ。
どんなに満員でも爆睡できてしまうのだから、慣れとは恐ろしいものだ。

職場に着くと、制服に着替えるため更衣室へと行く。女性社員が私しかいないため更衣室も独占できちゃう。
テーブルにドサッと朝ご飯用のパンやヨーグルトを広げ、着替えながら食べる。
下品だがなんて贅沢なんだろう、とちょっとした優越感に浸る。

その後、いつもと同じように働く。

え、もう18時?!と思う日もあれば、今日はどうやって時間を潰そうかと悩むほど暇な日もある。
だが、不特定多数のお客さんがやってくる場所での接客に比べると、量をコントロールできる私の仕事はやりやすい方だろう。

ちょっと前まで明るかった定時の時間帯もすっかり暗くなった。
バスを待つほんの数分が長く感じられる。
オレンジ色の文字で書かれた電光掲示板の文字が近づくとともに安堵感が大きくなる。
寒い、暗いは、人を弱くするようだ。

家に帰れば、待ちに待った夕食の時間。
だが、用意するのは自分。
自炊を頑張ろうと休日に買っておいた食材が冷蔵庫に眠っているのだが、その計らいにより気が重くなる。切って、炒めて、盛り付けて、油でギトギトのフライパンを洗って、シンクを綺麗にして…
想像するだけでため息が出る。
かと言って、休みの間に作り置きしても、あるだけ食べてしまうのだ。
不器用すぎて自分に同情する。
こんなとき、ドラえもんのひみつ道具「グルメテーブルかけ」を思い出す。料理を注文すると、美味しいご飯が出現するスグレモノ。現実を知った大人が誰よりも欲しいのではなかろうか…。 

至福の時はいつだって過ぎるのが早い。
もう少しゆっくり回ってくれよぉ…と私の思いと裏腹に、速度が早まっているように感じる時計の針。
いつの間にか日をまたいでいる。
ずるずると布団に潜り込む。

仕事に行くの面倒臭いな、早く休日こないかな、もっと寝たいな、とよく心の中でボヤいているが、毎日快眠できているだけでも、すごく幸せなのかもしれない。

代わり映えのない日々で気が付きにくいが、きっと私は幸せだ。

…もう少し睡眠時間は欲しいけど。


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