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足元の個性

「靴が好きなんですか?」
と言われた。
ん?と思いながらも、そうですね、好きかも、みたいな曖昧な返事をする。

靴でも服でも、何となく気になると買ってしまう。
正直、そんなに種類があっても履く機会がないので、仕方なく会社に履いて行っている。
せっかくレパートリーがあるのならば、、、と二日連続で同じ靴を履くことはしていない。
ただ単にそれだけの話なのだけれど、見る人によっては、それがこだわりであったり、オシャレに映ったりするものらしい。

オシャレは足元から、などと言ったりする。
私自身はあまり人の靴を見る習慣がないので、その格言?には少々首を捻ったりするものだけれど、確かにそういうものなのかもしれない。

ただ、靴をほめられたことは何度かあるけれど、ほめてくれたのは、ほとんどが女性。
男性から靴をほめられたことはほとんどないか、あってもファッション感度が極めて高い人。

足下へのこだわりは女性の方が強いのかもしれない。
本当は職場にもオシャレをしてきたいけれど、どこまでやって良いものか分からないから、せめて靴だけは好きなものを履いてくる、と嬉しそうに靴を見せてくれた女性のことを思い出す。

なるほど言われてみると、確かにそうなのかもしれない。
職場の女性たちも、ぱっと見は動きやすい、座り仕事が苦にならない服装のスタイルを選んでいるので系統はそれなりに揃っているけれど、足下はと言えば、なかなかに百花繚乱。
意外な人が意外な靴をチョイスしていたりして、面白い。

転じて男性はと言えば、やはりというか何というか実務的。
靴へのこだわりを感じる部分はあるけれど、ひとつのものをじっくり使うタイプが多い気がする。
使いすぎて遺跡のような革靴になっている人も少なくはないけれど。

ファッションは個性であり、自己主張。
足下からその人となりを想像するのはなかなかに楽しい。

とはいえ楽しんでばかりもいられない。
私が想像するように、周りも私という人間を想像している。
まさに冒頭の質問のように。

少し靴の手入れをしておこうか。
そっと靴の汚れを払いながら思う私。

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