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水の都にて①

結婚するとなかなか一人で旅に出るという事も難しくなるが、数年に一度、それが出来るタイミングが来ることがある

4年ぶりに訪れたそのタイミングはGWの真っ只中
しかも物価は上昇している上に、高騰する時期でもあるし、人出も多い

通院が終わったとはいえ、体調もいいわけではないし、寝ていた病魔が目を覚ましつつあるのも感じる

そして何よりも金がない
魔法のカードを使うことで、支払いが先延ばしになっているから気づきにくいが、なかなかどうしてピンチなのである

諸事情鑑みて、見送りの判断も頭には浮かんだが、得難いチャンスであることには違いない

結局、さほど悩むこともなく旅行に行くことに
そもそも妻の事情でもあるので、文句も出ない

いつもは秋葉原か歌舞伎町に泊まるのだけれど、今回選んだのは浅草
渋谷とどちらにしようかと悩んだ結果ではあるが、そもそも、どうして浅草と渋谷が候補に挙がったのかは、自分でもよく分からない

何にせよ浅草に泊まることになった以上、宿を探さないといけない
いつもはカプセルに泊まるのだけれど、さすがにコロナがちらつく中ではいささか気にはなるし、それ以前に、そもそも空きがなかった

そんな中、ようやく見つけたのは1泊2日のシングルで「実質」15000円の部屋
滅多にホテルに泊まらないので、相場が分からないが、少なくとも、この時に探した中では安い方だった

しかも元は70000円近くする部屋らしく、タイムセールで21000円まで値下がりし、なおかつ後日6000円のキャッシュバックがあるという

相場が分からないとはいえ70000円もする部屋に泊まったことなどない
よほどすごい部屋なんだろうと、ちょっとワクワクして予約を取った

先にこのホテルについて触れてしまうと、正直、ふつーのビジネスホテルと何ら変わらなかったし、アパの方がむしろ良かった
これで70000円もする方が正直、どうかしている
シングルサイズには違いないが、枕もパジャマも二つあるのがなかなか不思議なところではあった

口コミを見ていると7000円で泊ったことのある人もいるようで、ホテルの方も最初から70000円も取ろうなどとは思っていないのかもしれない
どちらかというと日本人よりは外国人を目当てにしているような雰囲気もあったので、もしかすると外国人からは70000円くらいもらっているのかもしれないが、とにもかくにも、私は15000円で泊れたので文句を言う筋合いではない

さて、出発の日
いつもなら車を駅前に停めて電車で都内に向かうが、今回は泊りなので駐車料金が気になる
私の住まいは最寄駅から車で30分近くかかる上に、バスの本数も少ないという陸の孤島ではあるが、幸いなことに高速バスのバス停が歩いて行ける範囲にあるので、今回はバスでの東京入りを選択

バスは電車と違い到着時間が読めないので、ちょっと使いどころが難しい場面もあるけれど、今回の様に一人旅で、時間的な制約もないのであれば、かなり便利に使える

経験的に高速バスは到着予定時刻よりも早く着くことが多いのだけれど、今回もその例に漏れず、予定より20分近く早く到着

バスを降り、東京駅の日本橋口(だったかな?レンガじゃない方)に立った時はちょっと感動してしまった

東京には何度も行っている
ただ上野、秋葉原、神保町など、下町的なところが多いので、高層ビルの数はさほど多くはない

しかし東京も都会的な場所になると、やはり漂うオーラが違う
同じ東京、しかも、さほど、距離も離れていないのに、こうも変わるものかと改めて実感する

早朝から田舎者丸出しで、ビルの写真を撮りまくる
私は写真を撮っている姿を人に見られるのがあまり好きではないので、結構、人目を気にしてしまうのだけれど、この時はそんなのはお構いなし
撮って撮って撮りまくった

3本進んで2歩下がり、5歩進んでは4.5歩下がる
それでいて道をかなりの頻度で間違えるので、いつまで経っても先に進まない

これこそが一人旅の醍醐味であろうと、今、振り返ると思う
誰かと一緒であれば、どうしてもこうはいかない
相手のペースも考えないといけないし、それによっては撮りたいものも撮れないこともある
旅も撮影も、一人が一番である

ビル撮影もお腹いっぱいになったところで、私のお腹もいっぱいにすることにする
地下街のアロマ珈琲店でモーニングとシャレこんだが、休日の朝9時台にも関わらずほぼ満席

幸いにしてすぐに座ることが出来たので、モーニングとプリンを注文
スタッフさんはニッコリ笑顔で注文を取って下さったが、わりとすぐにお戻りになって一言
「プリンないんです」
早朝からプリンの注文が殺到して品切れなのか、タマゴが高いから品切れなのか、こんな早朝からプリン食うなよということなのか、その辺はわからないけど、とにかくないらしい
いきなり出鼻を挫かれたが、そんな動揺はマスクの中だけに留めて、にっこりと笑顔で
「じゃあモーニングだけで!」
と爽やかに伝える

コロナもいよいよ5類に格下げになり、マスクのニーズも薄れてはこようが、目だけで表情を伝えられるというのは、こういう時になかなか便利である
コロナ禍以降、目力は強くなったが、口元の締りは悪くなったという人は、きっと私だけではない気がする

めちゃくちゃ分厚かったトースト
そしてここのコーヒーはものすごく美味しかった

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