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昼下がり・・・

ある昼下がり・・

俺はヒマを持て余し、仕事中にもかかわらず 事務所のパソコンで風俗情報を見ていた。

すると某店長が フラリとやって来た。

実は 俺の周りは店長だらけなのである。

みんな サラリーマンの出世競争などというものには無縁な 安易に自営業を選んだヤツばかりなのであった。

楽をして小金を儲ける事に長けた人種である。

頭がいいのかといえば その逆で ひと言で言うと「ナマケモノ」という言葉がピッタリのヤツラである。

どういう訳か そういう店長達は みんなサーフィンをやっていて、仕事をサボっては海に行っている。

そんなナマケモノ店長の1人が 久しぶりに俺の事務所に顔を出したのである。

何か悪いたくらみを持って来たに違いない。

某店長 「いや~ 暑いね!!」
俺 「夏だからね!(素っ気無い)」
店 「今日は いい話があってね!! それで来たんだ!!」
某店長は 事務所のソファーに腰をかけながら そう言った。
俺 「えっ!?(俺は身構えた)」

こいつの言ういい話というのは 大抵 自分だけにいい話であり、周りの人には迷惑な事が多いのだ。

俺 「いい話はいいけど、お前! 加齢臭がプンプンしてるぞ!! 何とかしろよ!!」
店 「カレイシュー!? 俺は昼飯にカレーは食ってないぞ!!」
たぶん また仕事をサボって 昼前にサーフィンをして来たんだろう!! 
シャワーも浴びないから、汗と海水で ちょっと匂っているに違いない。

俺は向かい合ったソファーに座りながら、気持ち 自分のソファーを うしろにずらした。

店 「実はさ! 俺 今度 新しい仕事を始めてさ! 仕事と言ってもアルバイトなんだけど・・」
俺 「またか!? (何度目だ!?) 今の仕事はどうする!?」
店 「な~に サイドビジネスだから 本業には影響しないよ!! それよりもケン!! お前の会社の前に 自動販売機を置かないか??」

俺 「置かない!!」
店 「そんなに素っ気無く言うなよ! 実は・・・」

そいつの話を良く聞くと、結局は 自販機を使ったマルチビジネスのようなものである。
紹介した人が 次の人に自販機を設置させるとバックが入り、また その人が他の人に設置させると・・・

俺 「お前! いい加減 そんな仕事はやめろよ!! 日本国中 自販機だらけになるぞ!!」
店 「まだまだ田舎には自販機が無いところが イッパイあるぞ!! 田んぼや畑の脇にはスペースが空いてるし・・」
俺 「その自販機で 誰がジュースを買うんだ!? 人がいないから 自販機を置かないだけだろ!!」
店 「ジュースが売れるか売れないかは関係ないんだ! 設置さえすればいいんだから・・」

俺 「その話 おかしくないか!?」
店 「どこが!?」

俺は話すのもバカらしくなり、またパソコンの前に座り直し 東京の風俗情報を見始めた。
その店長は 画面を覗き込んで、「いい女だな~! こんな女が風俗やってるんだ!?」と感心している。
店 「あれっ!? コレは東京のデリヘル情報じゃない!? お前 どうせ 東京なんて行かないだろう!?」
俺 「うるせえな! ただ見てるだけだよ!! 田舎に住んでるから ちょっとでも東京の匂いを嗅ごうと思ってるだけだよ!! 悪いか!?」

マルチを勧める店長と、絶対に利用しないデリヘル情報を見ている男・・
どっちも大バカ野郎なのは確かであろうが、それにしても某店長の加齢臭は臭かった。

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