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『魂を大激震させる文章』~【レ▪ミゼラブル】

少年版を12歳で読んだときには特になんにも感じなかった。

30年後、私は人生に疲れ果て、すべてに行き詰まってしまった。

そのとき、たまたま目にしたこの名作(集英社版全3冊)を何の気なしに手に取った。

ストーリーも知りすぎるほどよく知っている。ところが、どうしたことか、気がつけば、次から次へと涙がこぼれ落ちてきてどうしようもない。

中年男がくる日もくる日も嗚咽した。


なんということだ!…これが人生の真実なのか!

という叫びが何度も胸にとどろきわたった。

日本や世界の文学作品にはほとんど目を通してきたつもりだが、こんなことはあとにも先にも一度きりである。

人生を変えた一冊、ではない。

ただ、せっかく人として生を受けながら、「レ・ミゼラブル」を読まずに死ぬなんて、温泉地に行って温泉に入らずに帰ってくるようなものだ、とは思う。

ただし、順風満帆なときに読んでも「レ・ミゼラブル」はあまりピンとこない内容なのかも知れない。

しかし、ある程度、人生を生き、侮辱やみじめな気持ち、どうしようもない淋しさや悲しみを多少なりとも経たあなた!

そして、なによりも今、この瞬間、逆境や深刻な絶望に苦しんでいるあなた!

そういうときにこそ、「レ・ミゼラブル」の底力が発揮されるのだ!


あなたの魂がひっくり返され大激震させられることは疑いない!



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