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#3 スキークラウンホルダーインタビュー 習い事として3歳から始めたスキー、中学生までは正直「やらされてる」感の方がが強かった【伊藤(旧姓:田中)亜実さん】

【今回のクラウンホルダーは…】

「高校生の時に、ばんけいスキー場でアルバイトを始めたんですが、そこでの出会いが大きかったですね。大会に出るような上手な先輩に出会えて、刺激を受けたんです。そこでスキーを本当に『楽しい!』と思えるようになったんです。」(一部抜粋)
そう語る伊藤さんのスキーの歴史そしてスキー観に迫ります!

【クラウンホルダーにこんなこと聞きました!】


①クラウン合格証(写真)を見せてください


②いまの年齢を教えてください。
31歳

③お住まいはどちらですか?
北海道

④初めてスキーしたのはいつですか?
3歳

⑤スキーを本格的に始めたのはいつですか?

→チームに所属し、大会に出始めたのが大学1年生から
 
Q:雪国ならではだと思うのですが、習い事としてスキーをやられていたという感じでしょうか?
→そうですね。三歳くらいからスキーは毎年冬に集中的にやってましたね。12月の末から3月くらいまで、ばんけいスキー場でスクール生として通っていました。
 
Q:習い事してスキーを子供に教えてたということは、ご両親はスキーされていたんですか?
→両親もばんけいスキー場でスクールに通っていた。父は2級まで取得している。当時小学生の頃、私と姉が1級を取ったらニセコに滑りに行きたいね、と話していて、中学生の頃に姉もわたしも1級を取得したが、部活動等の関係で実現せず。母はスキーがあまり滑れず、それで「子供にはスキーと水泳ができるようになって欲しい」と思ったみたいで、それでスキーを習わせてくれましたね。

⑥-1 2級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→小学6年生頃、ばんけいスキー場

⑥-2 何回目のチャレンジですか?

→5年生で何度も挑戦したが合格せず、6年生でやっと合格

⑦-1 1級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→14歳中学2年生、ばんけいスキー場

⑦-2 何回目のチャレンジですか?

→2回目

Q:その頃の年間滑走日数はどれくらいだったんですか?
→冬休みが12/23から始まって、1/18に終わるまでほぼ毎日やってましたね。それ以外もオンシーズンの土日、祝日は通ってたと思います。そんな生活を高校生まで続けていました。高校生になってからはナイターまで行くようになりました。
 
Q:他のスポーツや部活はやられていたんですか?
→ベビースイミングから小学校4年生頃まで水泳もやっていましたね。選手コースの研修生だったんですが、遊びに行ってる感覚の方が強かったです。中学校の時に、バスケ部に入っていましたね。なので、中学時代は冬休みくらいしかスキーに行ってないです。土日も基本的には部活に行ってましたね。でも、バスケはスタメンでなくサブの選手でした。
 
Q:高校生の時はいかがですか?
→高校ではスキー部に入ろうとしたんです。でも、高校が特別進学コースと普通科の2つがあって、私は特別進学コースだったんですが、普通科と授業時間が違ってたんですね。それでスケジュールが合わなかったので部活は止めました。その代わりにばんけいの方で練習をすることにしたんです。
 
Q:大学受験のタイミングの時はスキーはどうしていたんですか?
→私は推薦で決まっていたので、12月くらいからはやりたい放題でしたね(笑)
 
Q:北海道だとそれくらいスキーを一生懸命する人っていうのは多いんですか?
→そういう人が学校にたくさんいたかというとそんなことはないんですが、スキー場にはそういう子が多くいたなという感じですね。私の周りには、冬になると休みの間は集中的に通ってという感じの子が多かったですね。
 
Q:習い事としての「スキー」を楽しめていましたか?行きたくないとか、遊びたい、という気持ちはありませんでした?
→「行きたくない」という気持ちはありましたね。中学くらいまでは「やらされてた」という感覚でした。「寒いし、楽しくないな」って思ってました(笑)

⑧-1 テクニカルとったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→高校2年生、ばんけいスキー場

⑧-2 何回目のチャレンジですか?

→2回目

⑨-1 クラウンとったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→大学3年生、朝里スキー場

⑨-2 何回目のチャレンジですか?

→1回目

⑩年間滑走日数は何日ですか?

→当時は90日程度

⑪ホームゲレンデはありますか?/どこのスキー場ですか?

→ばんけいスキー場

⑫スキーにはどうやって行きますか?車/電車/バス?

→両親の送迎かバス、免許取得後は自分で運転して

⑬定宿はありますか?

→月に1回、1泊2日で合宿

⑮クラブやサークルには入っていますか?

→K&Hというチームと、大学時代は北大基礎スキー部に所属
 
Q:「やらされてる」感のあったスキーだったのに、大学ではスキー部に入られてますが、それはどういった心境の変化があったんですか?
→高校生の時に、ばんけいスキー場でアルバイトを始めたんですが、そこでの出会いが大きかったですね。大会に出るような上手な先輩に出会えて、刺激を受けたんです。そこでスキーを本当に「楽しい!」と思えるようになったんです。
 
Q:大学時代のスキーの大会成績について教えてください。
→岩岳学生スキー大会は、1年生の時が6位、2年生の時が4位、3年生の時が6位で、4年生の時は管理栄養士の資格試験のためにスキップしていますね。北海道の技術戦は1、2年生の時は決勝にはいけなかったですね、3年生の時に決勝に進んで、順位は20~25位くらいだったと思います。
 
Q:大学入学時点でテクニカルを取得されていたということで、大学の同級生と比べるとかなり上手かったですか?
→だったかもしれないですね。やっぱり本州から来て大学でスキーを始めた人よりは上手い部類に入ってたかと思いますね。
 
Q:幼少期からスキーをされてた方からすると、大学からスキーを始めた人達を見て「この人ハの字なの?!」みたいに思ったりするものですか?
→そういうのは全然ないですね。やっぱり本州の人はスキーにいくの大変だから、みんな北海道にいるうちに沢山スキーを滑りたいんだろうな、とかそんな風に見てましたかね。
 
Q:同期の方とはいぶんスキーの実力が差があったと思いますが、すぐに仲良くなれましたか?スキーの実力が人間関係にも影響してきたりしますか?
→スキーの実力差とかは特に関係なく、普通に仲良かったですね。上手いからどうとか、下手だからどうってことはなかったです。もしかしたら私の態度はデカかったかもしれませんが(笑)
 
Q:(伊藤さんは#2のインタビュイーの嶋田さんとはスキー部の同期の間柄)嶋田さんは凄くスキーに熱心だったんですか?
→めちゃくちゃ熱心でしたね。一緒にスキー場に行けば、(一緒に滑ってアドバイスをもらうために)リフト降り場で私を待ってるくらいでした。ビデオを撮って「もっとこうしたらいいんじゃないか?」とかってアドバイスをして、そんな風に一緒に練習していましたね。もう本当にとにかく熱心で、「上手くなりたい」という気持ちを凄く感じたので、自分が協力できることは協力しようと思いました。
 
Q:当時はまだハの字を卒業するくらいのレベルだった嶋田さんがその後クラウンを取得されるまでになることを、伊藤さんは予想できましたか?
→できましたね。毎回ビデオを撮ってあーだこーだ言いながらよく研究して、そのビデオをコーチに送ってアドバイスもらって、家でもよく練習してたみたいなので、上手くなるだろうと思いました。

⑯レッスンは受けていますか?特定のコーチがいますか?

→特定のコーチがいた。月に1回程度の合宿時や、平日の夜の練習会で練習していた

⑰年間スキーに使うお金は?

→用具で多くて年間20万程度、プラス大会出場費や合宿費で10〜20万程度

⑱スキーをするために仕事や家族の理解を得るように工夫していますか?

→学生の頃は両親が全面協力をしてくれていた。仕事を始めてからは職場の方に休みを頂いて、協力して頂いていた。
 
Q:社会人になってスキーを続ける上での環境の変化はありましたか?
→ありましたね。朝、早朝から夜中まで仕事をしていて、週休2日だったのですが、仕事が早番の時は夜ちょこっとナイターで滑るという感じで、行けて土日+平日2,3日くらいでしたね。
 
Q:就職活動でもスキーを継続できる職場かどうかは考えましたか?
→1社だけスポーツ会社を受けた。もしこれに落ちたらあきらめて管理栄養士として生きようと思ったんですが、結局そこは落ちちゃいましたね。
 
Q:結婚/出産はされていますでしょうか?また、それによってスキーへの取り組み方は変わりましたか?
→私は25歳の時に結婚して、28歳の時に上の子を、30歳の時に下の子を出産しています。上の子を妊娠したタイミングでスキーを引退しています。
 
Q:旦那様もスキー関係の方でしょうか?
→そうですね。スキーをやっている人で、彼もクラウンホルダーですね。出会いのきっかけは、オーンズスキー場で大学の同期とかと滑ってた時に話しかけられたんですよね。
 
Q:恋愛対象の条件として「スキーをやっていること」は重要になってきますかね?
→うーん、そうかもしれないですね。やっぱりスキーをある程度のレベルでやってると、一般の人からするとちょっと変な人というか、変わってると思われることが多いと思うんですよ。だからお互いにスキーをやってる人同志じゃないと、厳しいんじゃないかと思う部分はありますね。
 

⑲クラウン取ってからスキーへの取り組み方や楽しみ方は変わりましたか?

→クラウン取得後は、大会でより上位を目指したいと言う気持ちになり、全日本スキー技術選手権大会へ出場出来るように努力をしていた。
 
Q:伊藤さんがスキーをやってきた中で最大の壁はなんでしたか?メンタル、技術、生活環境…etcどんな側面でもいいので教えてください。
→全日本の壁が大きかったですね。技術の面とメンタルの面で苦しみましたね。私は本番が弱くて。大会になると実力を発揮できないというか。緊張しいなんですよね。それがメンタル面での大きな課題でした。
技術面でいうと、クラウンを合格する滑りの技術と大会で点数が出る技術は違ってて、クラウンホルダーの方が大会で必ずしも上位に来れるわけではないというのはそういうことなんですね。で、私は大会で求められる技術面の課題は色々あったかなと思います。その背景としては、私は大会に出始めたのが遅い方なんですね。選手権の常連は中学から出て、子供の頃からバンバン大会に出てたと思うんですが、そういう子と比べると、大会で求められる技術では劣ってましたね。
 
Q:スキーを継続する上でのポイントは何だと思いますか?
→やっぱり環境が1番大事ですよね。環境といっても色んな側面があって、金銭的な問題もありますよね。ゲレンデにいくのには車が必要でガソリン代もかかるしと。そこら辺をどう整えるかは大きなポイントですね。で、私の場合は、信頼できるコーチとの出会い。これが大きかったなと思います。
ただのスクール生で通うだけなのか、クラウンを取ったり、大会に出るとなるとレベルがグンと変わるわけですが、どこまでやるか何を目標にするかでスキーとの関わり方は変わってきますよね。かなり上のレベルを目指すのだとしたら、スクール生として通ってるだけだと途中で辞めちゃう人も多いのかなと思います。私もばんけいでのアルバイトでの人との出会いが無かったらここまで続けられなかったと思うんです。
 
Q:伊藤さんの周りで、高校生でテクニカルまで取得されていながらスキーを辞めた人もいますか?
→いますね。就職のタイミングで辞めたのかな?彼女は高校卒業後に就職しているんですが、そのタイミングだったかなと思います。そういう意味では、大学進学と就職って大きな違いがありますね。一概にそうというわけではないとも思いますが、大学に進んだ人の方が続ける人多い気がしますね。
 
Q:スキー部以外の友達スキー素人の友達とスキーに行かれたことはありましたか?
→大学の時とかはほとんどないですね。ゲレンデにいる時間の全部がもう大会に向けて練習している時間なので、他の人と楽しく遊んでって余裕はなかったですね。社会人になってからは一回、結婚してから夫と共通の後輩がいて、その人と3人でナイターに行きましたね。彼はスノーボードで、一般のレベルでしたね。でも、私達とはスピードが違ったっていうんですかね、しんどいと思ったみたいで、「また一緒に行きましょう」みたいな話にはならなかったですね (笑)
 
Q:レジャースキーを楽しむことはできそうですか?
→今上の子が三歳なんですが、去年からスキーを履かせて、リフトのせて一緒に滑りました。でも、その時にもう1日に2本くらいでいいかなと思いましたね。子供が同じ学年のお母さんにもスキーをやらせたいから教えてほしいと言われているので、レジャースキーがこれから増えるかもしれませんね。今はゲレンデ以外の要素を楽しみたいと思ったんです。そう思えるようになったことに少し自分自身ビックリしている部分もあります。
 
Q:選手に戻りたいという気持ちはありますか?
→多分、大会に出ることはもうないかなと思っています。もうそこまでのモチベーションがないんですよね。子供たちのこともあるし、家のこともあるし、「朝から晩までスキーを滑る」とはならないので、 大会に出ることはないんだろうなと思うんです。これからは、息子をスキーに連れてった時に何本か滑る感じですかね。
 
ちなみに、夫は私と同じくらいのタイミングでスキーを辞めてるんですが、最近「また大会に出たいなぁ」と言ってます。なので、彼は復帰するかもしれないですね。
 
Q:「アナタだけ復帰してずるい!」という気持ちはないんですか?
→それはないですね。ただ、スキーはやはりお金がかかるので、そこがなんとかなるのなら「行ってもいいのでは?」と思いますね。とはいえ、北海道大会だと2泊3日になるので、その間の家事と育児の分担はどうするの?とは思います。そこら辺がクリアになればですかね。
 
Q:スキーの初心者が「私も今からスキーを始めて伊藤さんみたいにクラウン取りたいんですけど」と言ってきたらどうします?
→ひとまず、大丈夫、がんばって!と言いますね。チャレンジすることに対しては良いことだと思うので、そこは応援するだけですね。でもお金と環境のことは伝えますね。信頼できるコーチを見つけることが大事だよ、とかそういう事は話すかと思います。

【スキークラウンホルダーのアンケート回答まとめ】※年齢は2022年12月時点

【スキークラウンホルダーのキャリアまとめ】

【スキークラウンホルダーの話を聞いて…】

#1の筒井さん(兵庫県)、#2の嶋田さん(大阪府)とは異なり、雪国・北海道で生まれ育った伊藤さん。スキーが身近にあり親しみやすい環境にあった一方で、「習い事」としてスキーと向き合うがゆえの難しさもあったという話がとても印象に残りました。そして、例えスキー場が近くにあっても長くスキーを続けるためには、「スキーが楽しい!もっと上手くなりたい」という気持ちと、それを芽生えさせる人との出会いが大事だということを感じさせられました。

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