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巧みにバランスを取る「良品計画」

知らぬ間に、良品計画(7453)が優待制度を導入した。言わずと知れた「無印良品」の運営会社である。

件の優待は、一単元で5%割引となる「優待カード」が進呈されるというものだ。どうやら、この優待でちょっと株価が上向いたらしい。知らんけど。

僕は、今年の4月18日に、1420円で800株(約100万円分)購入していた。現在は、業績が低迷しているようだが、今が業績の底だと感じて参入した。この「良品計画」について、自分なりの考えを纏めておきたい。

まず、足腰が凄く強い。ここで言う足腰というのは、ブランドコンセプトと名称、そしてマニュアル経営である。

良品計画が目指しているブランドイメージは、「これがいい」ではなく「これでいい」。消費者の必要十分を満たす、ということであるが、これはとてつもなく難しいことだ。

(コストを度外視して)品質を高めていくことは、ある意味で、戦略としては「簡単」なことだ。頭を使わなくても猿でも出来る。(消費者不在のまま機能だけ追求した日本の大手電機メーカーがその好例だ。)コストを最優先することも同様である。

ことほど左様に、「コスト」と「品質」という矛盾する二点のバランスを探ることは、とてつもなく難しいが、無印はそれを明確に目指している。それは、名前にも刻まれていて、高級品でも、廉価品でもなく、「良品」。この言葉は消費者に刺さりやすい。(明確に無印が目指すブランドイメージを伝えやすい。)

さて、無印のように、品質とコストのバランスを追求すると、必然的に消費者心理に深く迫らなければいけない。だから、手間もかかるし、時間もかかる。こういった面倒な作業を創業以来、積み重ねてきた「習慣」が無印の強みだ。これは他社が簡単に真似できるものではない。まさに企業に染みついた「特有の匂い」である。

一方で、無印は現場(店舗)レイヤー・マネジメント(本社)レイヤーの両方で、物凄く精緻なマニュアルを作っている。例えば、店舗運営では、商品毎の陳列方法や客との応答なども含めて、全て「あるべき形」が定められている。新人の店長でも、店舗の運営に困らないようになっているのだ。

これは、無印が拡大する上で、ものすごく強みになる。無印は現在、海外売上比率が40%程度だが、今後はもっと大きくなるだろう。

さらに、現社長が「個展経営」を打ち出しているのも、興味をそそられる。これは各店舗が地域に密着して、各々の色を出そうという趣旨だ。

言うまでもなく、これが可能なのは、マニュアルによって店舗がある程度、統一的に運営されているからだ。無印は店舗運営においても、「各店舗の独自性」と「チェーンストアのブランドイメージの統一性」という二律背反の課題において、巧みにバランスを取ろうと試みてる。

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