まもなく三回忌 知床沖観光船事故 KAZU1🛥️

 11日後の4月23日は、知床遊覧船事故の3回忌です。運輸安全委員会による報告書を読みました。各文末は「考えられる」で結んばれていました。
報告書の注意書きによると「可能性が高い」とされるときの表現だそうです。
 しかしながら、生存者は一人もいらっしゃらないので、本当のことはわからないかもしれませんね。
 Wikipediaに、この事故のクロノロジーが詳細に記載されていました。
海上保安庁では、遭難を知らせる118番通報のあった時刻に対策本部は作られていたとのこと。事故現場に到着したのが3時間後。
 Wikipediaからクロノロジーを引用すると、
13時13分 118番通報(知床遊覧船事務所→海上保安庁)
  知床沖観光船中規模海難対策本部を設置
13時18分 118番通報(KAZU1船長→海上保安庁)
13時21分 運輸安全委員会の調査で確認された最後の通報(乗客→乗客の家族)
(3時間後・・・)
16時30分 海上保安庁のヘリコプターが現場上空に到着
17時12分 斜里町役場がウトロ支所に斜里町災害対策本部を設置
17時55分 巡視船が現場海域に到着(19分後に日没)
18時14分 日没(⇦日没時刻はWikipediaからの引用ではありません)
18時30分 斜里町地区消防組合消防本部が消防指揮本部を設置
19時40分 海上保安庁から自衛隊へ災害派遣要請
20時    北海道は道庁本庁に災害対策連絡本部を設置
20時29分 自衛隊機2機が現場上空に到着(要請から49分後)
24日(翌日)
国土交通省が現地対策本部を開設。

 事故発生日は土曜日だったということもあって、職員の招集に時間がかかったのか、海上保安庁以外の機関の災害対策本部の設置時刻は事故発生日の夕方や夜になっています。
 海上保安庁の場合は、土曜日であっても通報を受けた同時刻に対策本部ができるのですね。土曜・日曜関係なくそれだけの人が詰めているんでしょうか。

 消防庁の資料によると事故発生時刻(覚知時刻)は13時50分で、警察電話によると書かれていました。下記リンク。
https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/6b20c7c9f01bb6bf0e5eee8be693f985726c02ae.pdf
 乗客の方々の中に119番通報した人は発表されている資料によると居なかったようです。消防庁災害対策室の資料には警察電話と記載されているので、消防庁には警察庁から電話連絡があったのではないかと推測されます。
運輸安全委員会の報告書では、水温が4℃ということで、海に投げ出された場合にはすぐに低体温症になって助かる可能性は低かったとのことです。
 当初、救助船などが事故現場に到着するのが遅いという批判がありましたが、この報告書を読むと、たとえ救助船が早く到着していたとしても、遭難者の命を繋ぐことは難しく、結果は同じであったということを暗に示しているような気がしました(同じ国土交通省ですし)。考えすぎでしょうか。いずれにしましても残酷なことです。

 クロノロジーでは、乗客全員が救命胴衣を着用しているという連絡がKAZU1から陸上にいる人に発信されていたようですが、救命胴衣を着用していたのに未だに6名の乗客の方々が発見されないのは何故なんでしょう。国後島まで流された乗客の方もいらっしゃったので、救助活動の遅れは否めないです。
 先日ラジオを聞いていたら、GPS付救命胴衣が販売されているとのこと。東日本大震災で被災した南三陸町役場の職員さんがこのアイディアを出して開発したそうです。
もし、2年前にこの救命胴衣が存在していて、乗客の方々が着用していたらと思うと。
 悪天候が予想されるなか出航したことについて、色々な理由はあったのでしょう。理由のコアな部分はもはや知る術はありません。
 知床沖以外の南の地方で、海面水温が低い時(秋から春)に観光船にお客さんを乗せての航海は今後どうなるのでしょう。(北日本では秋から春までは休航だと思います)万が一のことがあって海に投げ出されたら絶対助からないということを改めて示したことになるのでしょう。映画「タイタニック」の最後の方を思い出しました(主人公が寒さに震えて漂流している姿)。
 沈没しそうな船から冷静に救命筏に乗り移ることは、練習をしておかないと難しいのではないかと思います。KAZU 1のような小型船舶や救命筏も悪天候の中では上下左右に揺れて不安定そうだし。
 海が荒れそうな時は出航しないのが一番です。しかし、北海道の東の端まで苦労して訪れた観光客が、天候不良による落胆させることを極力少なくするために、観光船の発着場近くに、VRで知床沖クルーズを体験できるコーナーを作ってみてはいかがでしょう。
 VRの場合は直接見聞するクルーズと異なり臨場感や醍醐味は失われますが、船酔いで辛くなることはないし(気分がすぐれなくなればVRゴーグルを外せば良いですが、クルーズの場合は入港するまで辛いし)、乳幼児などがいる場合や足腰に不安がある人などへの対応や、急な連絡が入った時などのことも考えると、なかなか良いアイデアではないかと思うのですが(すでに検討されているかもしれませんが)。
 VRの施設内では空調を効かせていれば寒すぎることもないですし、もし臨場感を出したいのであれば、VRゴーグルをしている人に対して、風を送ったり、スプレーで飛沫を飛ばしたりと演出するのはどうでしょうか。座席が揺れたり磯の匂いを送ったり・・・。

 最後に、どうか未だ発見に至らない行方不明となっている6名の方々の手掛かりが見つかりますように。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(続く)

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