気象予報士試験 気象業務法 法規 観測その3 Vol.5
観測に使用する気象機器に関する規定は第9条に書かれています。
条文は少々ややこしいので、その意味するところを簡潔に書きますと、
⚪︎技術上の基準に従って行う気象の観測に用いる測器は、気象庁長官の登録を受けた者がが行った検定に合格したものを使用しなければならないということです。
具体的には、「風速計」「日射計」「雨量計」「雪量計」「気圧計」「温度計」「湿度計」の7つです。元々の順番は「温度計」「気圧計」「湿度計」「風速計」「雨量計」「日射計」「雪量計」ですが、あえて順番を変えて覚えました。
NHK第二放送で午後4時から放送している気象通報の通報順番に倣い風力、天気、気圧、気温+湿度の順に並び替えて覚えました。
(参考)
※アメダスで観測しているのは、「気温」「降水量」「風向」「風速」「日照時間」「積雪の深さ」「湿度」です。
令和3年度第2回(第57回)学科一般知識 問13
(1)気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が、研究又は教育のために雨量観測を行うときには、登録検定機関が行う検定に合格した雨量計を使用しなければならない。❌
👉研究又は教育のための場合は技術上の基準に従う必要はなく、検定機器を使用する義務もありません。
(2)予報業務の許可を受けている者が雨量の観測を行い、その観測データを発表せずに予報業務に用いる場合でも当該観測に用いる雨量計は登録検定機関が行う検定に合格したものでなければならない。⭕️
👉正しい記述です。
(3)気象測器の検定の有効期間は、測器の種類に関わらず全て5年間である。❌
👉原則5年となっています(気象業務法第31条)が、1〜10年に分かれています。具体的には気象測器検定規則に書かれています。下に引用します。検定実務をすることがあれば覚えるのかもしれません。具体的な機器については、学科専門知識の冒頭で習います。
また、登録検定機関の登録の有効期間は5年間です(施行令第11条)。余談でした。
(4)登録検定機関に対して検定を申請するときは、その手続きは当該気象測器の製造者がしなければならない。❌
👉製造者(メーカー)ではなく、利用者が申請します。自分で作る場合は別でしょうが、アネロイド型気圧計などメーカーが製作しているものの一部には「検定証付」で販売しているものがあります。無線機器などは総務省が行う「型式検定」を合格した製品ですと(改造していない限り)検査合格品として使用できるのですが、気象測器は違うのでしょうか。世の中で販売されているすべての気象機器が事前に検定を受けているわけではないからということなのでしょうね。山登りが趣味の先輩がハンディの気圧計をもっていました。数年前に購入したニコンのデジタルカメラにも気圧計がついていました。GPSとともに気圧も記録されるので、雲の写真を撮り溜めるといい写真集ができるかもしれません(ニコンのデジタルカメラの宣伝ではありません)。
将来、趣味の範囲を超えて観測データをウェブに掲載するような余裕ができたらこれらの規則に従って申請をしてみようと思います。
平成27年度第1回(第44回)学科一般知識 問14
(1)気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が、研究又は教育のための気象の観測に使用する温度計、気圧計、雨量計は、登録機関が行う検定に合格したものでなければならない。❌
👉令和3年度第2回問13とほぼ同じ。
(2)気象測器の検定の有効期間は、測器の種類に関わらず全て5年間である。❌
👉令和3年度第2回問13と全く同じ。問題文に「全て」と書かれているとまず疑いたくなってしまいます。正確な知識については上の引用表を参照してください。
(3)登録検定機関に対して検定を申請するときは、その手続きは当該気象測器の製造者がしなければならない。❌
👉令和3年度第2回問13と全く同じ。
令和3年度第1回(第56回)学科一般知識 問14
(1)農園で果樹の管理のために農園内の苗木の間に温度計を設置する場合は、その農園の運営者は温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。❌
👉気象業務法第6条第3号の国土交通省令で定める気象の観測に該当します。
具体的には、「畝の間又は苗木の間、建物又は坑道の内部等特殊な環境によって変化した気象のみを対象とする観測」なので技術上の基準に従って観測を行う必要はありません。この基準によった観測ではないので、届出も不要です。
(2)学会に発表する論文に掲載するデータを得るために大学が風速観測施設を設置する場合は、その大学は観測施設の設置について気象庁長官に届け出なければならない。❌
👉気象業務支援センター発表の回答では「❌」でした。「大学」が国公立大学ならば良いのですが、私立大学の場合はどうなんでしょう?私は、「大学」=「気象庁以外の政府機関又は地方公共団体」と思い込んで解答して「❌」を選択してこの問題を正解しました。気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が「研究のために行う気象の観測」は技術上の基準によらなくても良いという解釈して、届出は不要と考えました。
(3)スキー場を運営する事業者がゲレンデ付近の気温をホームページに掲載するためにスキー場内に温度計を設置する場合は、その事業者は温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。⭕️
👉事業者は、政府機関及び地方公共団体以外の者で、「その成果を発表するための気象の観測」を行う場合には技術上の基準に従う必要があり、設置した場合の届出も必要となります。
(4)鉄道事業者が列車の安全な運行に利用するために降水量の観測施設を設置する場合は、国土交通省令で定める技術上の基準に従って観測を行わなければならない。⭕️
👉「その成果を災害の防止に利用するための気象の観測」に該当するので、技術上の基準に従って観測する必要があります。
また、観測成果等の発表は第11条に書かれています。
第十一条 気象庁は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測の成果並びに気象、地象及び水象に関する情報を直ちに発表することが公衆の利便を増進すると認めるときは、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(以下単に「報道機関」という。)の協力を求めて、直ちにこれを発表し、公衆に周知させるように努めなければならない。
最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございました