日々雑感 上司と再会

先月、会社の異動が発表されました。大好きな上司はそのままでした。なかなか本店に戻れません。同期入社の人が役員になっていき、後輩からも役員が輩出されていく中、地方の事務所に留められたままです。
そろそろ、戻って欲しいと思っているのですが。

今週、突然の地方出張の一向に加わりました。行き先はなんと大好きな上司のいる事務所でした。監査や状況把握ということで私は末席で仕事中は直接話をすることもできず、熱心に本店担当に説明する横がををチラチラと見ながら、メモを作っていました。

2日間あった仕事が終わり、最終便で帰ると深夜になることから、慰労会も兼ねてささやかな酒宴が開かれました。
最初は隅っこにいたのですが、1時間くらい経ったのちに、席変えとなり、例の上司の左隣に座ることができました。

ご無沙汰しています。先日お便り頂戴して嬉しかったですと伝えると、「良かった。住所知らないから職場宛にしたので、届かなかったのかなと思ってた」と笑いながら言っていました。
そうだ。お返事してなかった。失礼しましたとすぐさま謝りました。

いいのいいの、元気にやっているという評判は聞こえてきていたし、もう貴方もすっかり一人前になってきたね。またお話できてうれしいよ。と微笑んでくれました。

こちらの生活はどうですか、と聞いたら、自然が豊かで良いところなんだけど、苦手な虫が出てくるので・・・・。夜道を歩いていたら、ものすごい速さで道を横断する小さな黒い影を見て驚いて叫び声を上げたこともなん度もあると。
その黒い影はなんだったのですか?もしかしてGですか?と聞くと、
違う違う!蟹だったの、と。
流石にカニは足も多いし、虫ではないのでは?と言うと、それはそうなんだけど、硬い殻にたくさんの足、似てるじゃない?ムカデなんか沢山の足があるわよ。

古い社宅なので、換気扇の蓋が完全に閉まらないらしく、社宅の寝室の壁に夜寝ていたら「ヤモリ」がいたということも聞きました。
ねえ知ってる?ヤモリって鳴くんだよ、という情報まで。

東京は恋しいですよねとついポロリと口をついてでた言葉に気がついて、ああ大変と背筋が凍りついてしまい怖くて上司の顔を見れず俯いてしまいました。

上司は体をこちらに向けて右手で私の頭をポンと軽く撫でた後に
「そりゃ、恋しくないとか、悔しくないと言ったら嘘だよね。買い物も不便だし、スーパーと呼べるかどうかの商店が1件、チェーンのコーヒーショップもないから、ライフスタイルが随分変わった。田舎町の書店を守るんだとアマゾンもやってなかったけど、お買い物のことなど考えて本以外はアマゾンを使うかもね〜と。

ただね、もっと大きな仕事をしたいし、その能力もあると信じていたし、もっと会社の役に立てるし、やる気も十分なんだけどなぁ。⚫️⚫️氏に仕事上のことでなく、プライベートで嫌われたことくらいしか思いつかないのよ。
まぁ、でも、⚪︎⚪︎さんのように、いまだに慕ってくれる社員がいる限り頑張るし、会社やお客様のためにももっと頑張らないとね。
⚪︎⚪︎さん、ありがとう。元気をもらったよ。と頭をまたポンポンしてきました。

初めて聞いた上司の弱音。そして気遣い。涙が出そうになりました。
上司は、顔を寄せて小声で「いい、⚪︎⚪︎(呼び捨て・・・呼び捨ては初めて)。泣いちゃだめ。知らない人が見ると、今の職場に不満があって泣いているように見えるよ。それは今のあなたの上司に対して失礼になるし。前に言ったよね、他人は真実は分からない。見たままを都合よく解釈するから慎重にね。いますぐ笑いなさい。大きな声で。そうしたら笑った拍子に涙が出たと勘違いするから」

私が笑い始めると、上司も声を上げて笑った。出張同行者の先輩が、何?面白い話?と割り込んできたので、上司は「それは、ひ・み・つ・よ」とかわしてくれました。
あぁ、この人にいつになったら追い付けるだろう。慕っている社員(隠れファン)もいるし、本店に復帰してもらいたいと思いを強くしました。

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