映像集[怪談]

誰でも簡単に映像を記録し、なおかつ世界中に発信できる時代。
総数を数えると途方もないその中には、不気味な映像が山のようにございます。今回、私が入手したモノのうちから厳選してご紹介。
何か身に覚えのある方は教えてください。

①「廃墟に行ってみたら人が住んでて焦ったw(ハプニング)

とある動画投稿者がSNS上にアップした映像。
映像では、投稿者がひとりで一軒の廃屋を散策している様子が記録されている。中は非常に荒れ果てており、とても人が住める様子ではない。
廃屋内を探索する投稿者。
終盤、投稿者はリビングに入った直後、驚いたと同時に「すみません」と謝りながら、慌てた様子で廃屋から逃げている。
映像には投稿者以外の人の姿は映っていない。
一瞬、リビング内に座椅子用テーブルと、それを囲むように、熊のぬいぐるみが4体、四方に置かれているのが確認できるのみ。
投稿者は動画の最後、廃屋で人と遭遇したことを苦笑しながら伝えて、映像は終わっている。
動画のコメント欄には、視聴者から廃屋で誰かと遭遇したのかどうかの質問が書きこまれたが、投稿者からは「動画に映っている4人です」とだけ返答されている。
その後も何本か、ありふれた投稿映像が数日おきにアップされていったが、とある動画を最後に更新が止まった。
現時点で最後の投稿動画は、とある有名観光地を巡る内容。いくつかの箇所にて、あの廃屋にあったぬいぐるみが映り込んでいると多数のコメントが寄せられた。しかし、投稿者からのリアクションはなく、投稿も再開されないまま、いつの間にかアカウントは消えてしまっている。

②2/3

マンションの一室で亡くなった男性のパソコンに入っていた動画ファイル。
映像は高校の授業風景を隠し撮りしたような内容となっている。ずっと授業を受けているであろう女子高生の後ろ姿が映っていて、位置的に彼女の後ろの席にいる人物が、机の上にカメラを置いて撮影しているような画角である。
淡々と教師と思われる男性の声が聴こえ続ける中、10分程経過した時、逆さまになった短髪男性の頭部と思われるモノが上部から突然現れる。ソレは、眉毛の辺りまで映り込むところで動画は終わっている。
ファイルには「2/3」とだけ書かれている為、おそらく全部で3つあり、これは２つ目に該当するのだろう。しかし、パソコンには当映像しか確認されておらず、何者かが意図的に他２つを消したのではないかと、警察は考えている。

③コンビニ、13:40

一時期、SNSに複数のアカウントから大量にアップされた動画。
コンビニの監視カメラを携帯カメラで撮影している。映されているのは、レジを俯瞰して見下ろすような監視カメラ映像であり、女性が会計を済ましているところ。買い物袋を受け取り、レジから離れていく時、撮影者と思われる人物の「あっ」という声が聴こえて、動画が終わる。
監視カメラ映像には日時が表示されており、同時刻にとあるコンビニに車が追突する事件が発生している。その時、女性客がひとり巻き込まれている。この映像が関係しているかどうかは不明。

④成長記録

とある男性が個人的に撮影していた映像。
赤ん坊から高校生にかけて、子供を映した動画を繋ぎ合わせたような内容。
小学校低学年くらいまで、撮影者と子供がコミュニケーションをとる様子が見られるが、以降は隠し撮りのような画角に変わっている。
高校生になってからは、まるでストーカーのように遠まきから尾行する様子で、被写体である女子高生も、度々背後を見て怯えているようである。
この映像は男性の住んでいたアパートから見つかっている。男性の行方はわかっていない。
なぜか、玄関に熊のぬいぐるみがひとつ、外に向けて置かれていたそうだ。

⑤講座8〜コミニュケーション練習〜

今はもうない、心理カウンセラー団体の参加者に配られたDVD。
DVDは団体による講義が収録されていて、これは最後に作成されたモノである。
映像では、女性講師がホワイトボードを使用しながら、「コミュニケーションの大切さと難しさ」を説明している。その中で、「会話が苦手であれば、人形やぬいぐるみに話をするのも練習になる」と説き、教卓に置かれていた熊のぬいぐるみと会話をする素振りを見せる。その時一瞬、ぬいぐるみが講師を見上げるように触れてもないのに動く。講師は気づいてないようで、そのまま何事もないように映像は終わっている。
参加者から団体に映像についての問い合わせをしたようなのだが、DVDが送られて以降、団体と連絡が取れずにおり、事務所やセミナーハウスも無人となっている。
現在も団体の行方はわかっていない。
なお、セミナーハウスは地元で心霊スポットとして知られている。

---

※全てフィクションです。
実際の事件や事故、団体や思想とは一切関係がありません。