陰時計

創作怪談や、好きな作品の感想を書いています。

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最近の記事

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が好きすぎる。

2022年に漫画原作のもとに放送されたアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」 極度のコミュ症で陰気な女子高生「後藤ひとり」(通称ぼっち)が結束バンドに加入し、奮闘する物語。 やっと視聴環境が整ったので見てみれば、面白いし楽しいし尊いしエモエモだしで、2周目に突入する勢いなんです。 こうして感想を書いているこの時期、舞台再演続編発表が出たり、秋葉原にてポップアップストア、水族館やローソンとコラボ、春夏にはアニメ総集編劇場版公開と、お金が湯水の如く流れ出るファンに草でも食べてろと言わんば

    • 遊園地吉喜珍[ショート・ショート集]

      ①「遊園地に行きたいっ!」 「叔父さん、遊園地に行きたいよぉ!」 お正月。実家に集まった我が一族。その中で生意気盛りの男子中学生が俺に駆け寄る。可愛い奴め。しょうがねぇ、連れてってやるべ。 とりあえず、行く前に弟夫婦に断りをいれなきゃな。 「おい、お前んとこのガキが遊園地に行きたがってるから連れて行ってやるよ」 「バカやろう!兄貴!俺んちのはまだ中学生だぞ!」 「わかってるよ。何を言って…」 「夜の店はまだ早いって言ってんだよ!」 おいおい、俺も流石に朝っぱらから大人の

      • 雪だるまに関する考察[怪談]

        久しぶりに雪の積もった朝。 公園の隅に雪だるまがこしらえてあった。 子供が作ったにしては、よくできてある。 親の手を借りたのだろう。 上下に積まれた白く美しい丸ふたつを見て、男は思う。 例えば。 あの雪だるまを崩したとして、中から何が出てきたら怖いだろうか。 まずは定番だが、遺体。 雪だるまの顔の辺りを削ぐと、中から人間の瞳孔がこちらを睨みつけるように現れたら、さぞ恐ろしいことだろう。 遺体を雪の中に隠すという行為に、利己的な計画性を感じる。 犬や猫などはどうか。 これは

        • 雪男[怪談?]

          そびえたつS山の三角頭が白く染まっている。 やがて空気が冷たくなるにつれて、鮮やかな紅葉は白銀に覆われていく。 S山は季節折々で違った表情を魅せてくれる人気ハイキングスポットなのだが、冬になると一転、一度入ると出られない魔境と化す。いったい何人の登山者をその身の一部にしてきたのか。 その中のひとりに、私の彼女がいた。 彼女は山が好きだった。 何度も重ねたデートも、山登りがほとんどだ。 彼女がS山に登ってから、今日でまる二年。 私は、彼女を見つけなければならない。 桜が咲き

        アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が好きすぎる。

          Mr.Children『miss you』を聴いて思ったこと。

          Mr.Childrenが2023年10月4日にアルバムをリリースした。 「Mr.Children」とは何かと問われて、答えられない人は少ないであろう、国民的ロックバンドの新作。しかも現時点でノンタイアップ。先行2曲以外未発表。 その新譜は、ファンの期待をもって迎えられた。 結果、SNSは賛否両論の雨あられ。 自己の評価のみを信じざるをえない、なにか挑発めいたモノを感じる今作。 これを書いている現時点で、バンド側のプロモーションが無いというのも、リスナーそれぞれに好きなように

          Mr.Children『miss you』を聴いて思ったこと。

          「これが最恐!!視聴注意の呪いにまみれた㊙︎心霊怪奇動画!〜自己責任でお願いします!〜」シリーズ全レビュー[怪談]

          知る人ぞ知る、心霊投稿映像シリーズ「これが最恐!!視聴注意の呪いにまみれた㊙︎心霊怪奇動画!〜自己責任でお願いします!〜」のDVDを全五巻揃えたのでレビューしていきます。 一巻ずつ見終える度に更新していきます。 第一巻「処の章」 記念すべき一巻目。読み方が「じょのしょう」ジョジョみたいだな。 心霊映像好きの知人曰く、「今まで見た同じ系統の作品の中で、一番怖かったシリーズ」とオススメされて初めて知った。 パッケージは真っ黒な背景に白文字でタイトルが書いてあるのみ。後ろにも何

          「これが最恐!!視聴注意の呪いにまみれた㊙︎心霊怪奇動画!〜自己責任でお願いします!〜」シリーズ全レビュー[怪談]

          「劇場版ほんとにあった!呪いのビデオ100」感想!

          池袋にて見てきました!トークイベント含めて面白かったので、感想と考察をまとめちゃいます。 ネタバレありなので、未視聴の方はご注意をお願いします! 時代をまたぐ投稿映像。 とある投稿映像に声をあてている際、「この映像を見たことがある」と言うナレーター中村監督。それは以前に別の投稿者から送られてきた、お蔵入りの映像と酷似したモノだった。 やがて、スタッフ達にじわじわと襲いかかる怪異の数々。全てはあの映像が原因なのか… …というのが簡単なあらすじ。 1999年と2022年前後

          「劇場版ほんとにあった!呪いのビデオ100」感想!

          映像集[怪談]

          誰でも簡単に映像を記録し、なおかつ世界中に発信できる時代。 総数を数えると途方もないその中には、不気味な映像が山のようにございます。今回、私が入手したモノのうちから厳選してご紹介。 何か身に覚えのある方は教えてください。 ①「廃墟に行ってみたら人が住んでて焦ったw(ハプニング) とある動画投稿者がSNS上にアップした映像。 映像では、投稿者がひとりで一軒の廃屋を散策している様子が記録されている。中は非常に荒れ果てており、とても人が住める様子ではない。 廃屋内を探索する投稿

          映像集[怪談]

          グレイプバインを皆に聴いてほしいから

          グレイプバインというバンドが好きだ。 僕が好きだということは、他にも同様に好きな人がいるはずなのに、三十年以上生きてきて、身近な知り合いに居た試しがない。 なぜだ?僕が社交性に乏しいからか?そうか。 悔しいから、もっと知ってる人を増やしたい。 知らない人に、グレイプバインの素晴らしさを伝えたい。でも人見知りだから、ここで鬱憤を晴らしていこうと思います。 奇しくも、2023年9/27に新しいアルバムを発売する予定の彼ら。 この思いを書くには、今しかない。 (もちろん、僕よりも遥

          グレイプバインを皆に聴いてほしいから

          くるりのライブに行った話

          2023年7月7日金曜日。 いつも通り夜勤を終えて、布団にくるまり眼が覚めた午後1時。寝覚めのトイレで見たツイートには「くるり、本日の三郷市文化会館公演、当日券販売中」 運命じゃん!行くしかないじゃん! というわけで、自分でもびっくりの行動力で、チケット購入。 レディオヘッドが出た年のサマソニ以来のライブ参戦。 くるりは、約10年前にグレイプバインとの対バンを見て以来。正直、その時はライブのパワーはグレイプバインの方に凄みを感じていたけど… (たぶん、その頃のくるりはバンド感

          くるりのライブに行った話

          ㊗️ほんとにあった!呪いのビデオ100巻到達記念❗️ お気に入りBEST5‼️

          出会いは高校の文化祭。 暗い教室のスクリーンで見た、「ロッカーから現れる不気味な顔」の映像。あれから十数年。 ついに100巻に到達する元祖心霊投稿映像シリーズの、個人的なお気に入りを5つ、ご紹介いたします。 なるべく内容の詳細を記さないように心がけていますが、先入観無しで見たいという方はネタバレ注意でお願いします。 ①「『責任…』」 「ほんとにあった!呪いのビデオ15」収録 前編、後編に分かれて紹介されたエピソードのひとつ。このような場合、非常にインパクトのある映像だった

          ㊗️ほんとにあった!呪いのビデオ100巻到達記念❗️ お気に入りBEST5‼️

          「あの家」[怪談]

          私の実家の近所には、「近づいてはいけない家」がある。 子供の頃から、「あの家には行ってはいけない」と、両親や先生に口うるさく言われてきた。 ただ、子供にはそんな言葉は逆効果だ。行くなと言われれば、行きたくなる。私は、「あの家」に行きたくてしょうがなくなっていた。でも、結局行くことは無かった。 そもそも、「あの家」の場所を知らないからだ。 大人達からは、「あの家」がどこのどんな家なのか、教えてもらった憶えが無い。クラスの友人達も知らないようだった。あそこではないかと、友人達と目

          「あの家」[怪談]

          踊り子[小説]

          動画サイトにある、「ライブカメラ」を観ながら、酒を嗜む。忙しなく続く喧騒を横目に、優雅な時を過ごす、この優越感。たまらない。お気に入りはスクランブル交差点を映しているカメラ。毎日、重い足を引きずって通っている場所だ。明日になればこの枠の中に自分がいると思うと憂鬱だが、今は違う。忙しそうに走り抜ける者から、とぼとぼと陰鬱に歩く者、彼ら彼女らの姿をつまみにゆったりとすごす。 彼女を見たのは、週末の夜の事だ。 いつものように見ていたライブカメラ映像。横断歩道を行き交う人の群れの中で

          踊り子[小説]

          X DAY[怪談]

          友人の家に遊びに行った時のことです。 なんの用事だったかは、今でも思い出せないんですが。 古いアパートの一室。その友人はひとり暮らし。 中はまぁ、殺風景というか、生活感が無い、というか。友人、と言いつつも初めて来たものですから。 思わず、「なにもねぇ家だなぁ」なんて口に出してしまって。それを聴いても友人は、笑ってるだけでしたが。 で、友人の自宅でまったりと過ごしてたんです。 六畳ほどの和室。簡素なテーブルを挟んで二人。 他愛も無い話をうだうだと。 その内、段々と、居心地が悪

          X DAY[怪談]

          熟[怪談]

          とある交差点には幽霊が出る。 近隣に住む人々の間では有名な噂話だ。 しかし、信憑性が高いのは、見たという人達みんな、その幽霊の特徴が申し合わせたように一致しているから。黒の短髪、白いTシャツに赤い短パンの若い女性。目や鼻、口もとのホクロ、耳にぶらさがったイヤリングまで。目撃者達の情報に全く差異が無い。真夜中、横断歩道を歩いていると、車道の真ん中に突然現れて、ゆっくりと消えていく…。それすらも、全く同じ。 ただ、それ以上の事は起きない。 その幽霊に襲われたとか、幽霊の仕業としか

          熟[怪談]

          おむかえ[怪談]

          ふと気がつくと、携帯のカレンダーに見知らぬ記念日が設定されていた。 「7月24日 ゆりのひ」 そのような日を設定したおぼえもなければ、そんな記念日に思い当たる節もない。 なんとなく気味が悪かったので、設定を消した。 これが、まだ僕が高校生の時に体験した、今までの人生で唯一と言っていい、不思議な体験。 特に怖くもないので、社会人となり家庭を持つようになった今の今まで忘れていた。 なぜ、突然はっきりと思い出したのか。 子供が産まれたからだ。 愛しい我が娘。妻との愛の結晶

          おむかえ[怪談]