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いぶきまんじゅう

村の中心の道の駅では、村内のお母さんの手作り饅頭やお惣菜を販売するコーナーがあります。
村で人気のいぶきまんじゅうを作っているお母さんグループの方にお話を聞けたので、良かったら読んでみてください。

村のお饅頭

いぶきまんじゅうはひまわりグループのお母さん方が作る炭酸饅頭で、直売所と道の駅で土日のみ販売しています。当番制で、営業する日は4㎏の粉を朝6:30から二人で仕込みます。イベントなどがあるときは8㎏を三人で仕込むこともあるそう。
お饅頭の具材は季節によって変えています。炭酸が起こす化学反応で変色があったり、厳しい表示規制を乗り越える必要があるなど、販売に至るまでは結構試行錯誤が必要なんだそう。中にはユニークな具材も。きんぴらのお饅頭は辛い定評がありますが、むしろそれが好きという方もいるそうです。また、お饅頭の他に味噌の販売も行っています。こちらは長持ちするので、土日以外も道の駅で購入できます。地場産の大代大豆を使った自家製のお味噌で、村のカフェのピザにも使用されています。

道の駅の自家製お味噌

お客さんは地元の方以外に、観光客や帰省で村に来ているという方も見られます。実家から送られてきたり知人にもらったりしてファンになり、直売所に来てみたかったという場合が多いそう。お客さんの声を直接聞ける直売所はお母さん方の活力にもなっているようです。

ひまわりグループ

ひまわりグループを構成するお母さん方も、家の方の自営業が本業です。こんにゃく農家さんから酪農家の方まで、多種多様です。
ひまわりグループが発足したのは今から30年ほど前、お母さん方が若妻会卒業後も交流を維持し楽しみ続けるために始めたのだそう。若妻会は村の奥様方の集まりで、女性の地位・教養の向上や情報交換、村内のイベントの運営補助などを行います。少し前の時代は、「家事もせずにふらふら外出するなんてけしからん」という風潮があり、若妻会という名目があれば堂々と外出できたため女性たちの交流の場となっていたそう。40歳での若妻会卒業後、村役場の方と相談し炭酸饅頭を作る活動が始まりました。饅頭作りの経験はありませんでしたが、県の方に教えてもらいながら約2年ほどで販売に至りました。活動を始めた当初は社会的な逆風もあったそう。営業時に家を空けるのは家族の理解が必要ですし、代表者を男性にすべきと指摘されたこともあったそうですが、それぞれ自営業の繁忙期を避けて当番を回すなど工夫をしてきました。

他にも、村のお母さんの手作りがたくさん

村に浸透し根強いファンを持つようになったひまわりグループですが、やはり直面するのは高齢化の問題です。ほとんどが家でも自営業を営んでいるため、グループの活動と両立させるには気力・体力がいります。かと言って、活動の発端も仲良しグループの集まりなので、新しい人が後継者として入るのも違うのかもしれません。
昔とは風潮が変わり、若妻会もあまり重要ではなくなってきました。未だ昔ながらの人付き合いが見られる農村社会も、少しずつ変わってきているようです。

「なるべく村のもの、知識とか伝統とかを残せたら嬉しい」

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