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扉を開けた。

扉を開くと、裏庭の桜の木が見えた。
約20年前の我が家の裏庭だ。

家を買ったばかりで、少しずつ手入れをしようと、まだ整備されてない裏庭に、初めて植えたのが桜の木だった。

小さな子供たちと夫で植えた小さな桜の苗木。
あの頃は、時間が永遠に感じたものだった。
笑顔がホースから溢れる水と一緒に輝いていた。

こんな幸せな時代がずっと続けば良いと思った。

私は何かあるといつも自然の中に逃げた。
そこにいれば、何もかも安全で、子供達も私も守られている感じがして安心した。
そうして、エネルギーをチャージしてまた日常に戻った。

小さかった桜の木は、20年経って太くごつごつごした幹になり、立派な大木になって秋風に吹かれている。

桜の木を背景に、帰省している娘がカウチで午睡をして寝息を立てていた。


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