七聖召喚のゲームデザインのメモ
原神に突如現れたゲーム内CCG『七聖召喚』に関して、熱気があるうちに記録しておく。
『七聖召喚』ざっくり紹介
とりあえずまずはPVでも見てくれ
ようは「ゲーム内の世界で流行ってるカードゲーム」という設定で追加されたミニゲームなのだが、やたらしっかりした作りをしている上に、ゲームボーイ時代のようなNPCを倒しながらカード集めていくシングルモードにPvP対応とやたら充実している。(イラストはほぼ全部書きおろしだし、ストーリー登場キャラの対戦時の追加ボイスなどやたら凝ってる。なんだこれ)
ざっくりとしたルール
3人のキャラクターカードと30枚のカードからなるデッキで戦う。
ラウンドの開始にサイコロを振り、それをコストにカードやキャラのスキルを使って相手を攻撃していく。
3キャラのうち1体が戦闘キャラとなり、アクションするたびに手番交代。両方やることが無くなったらラウンド終了。
相手のキャラカードを全て倒せば勝ち。
イメージ的にはポケモンカードとカードヒーローの中間くらいか?というところ。もともとアクションRPGなのでシステム自体は非常にシンプルに収まっている。
システムはシンプルだが、ゲームデザイン上は結構難しい。ここは原神というゲームのルールを落とし込んで補っている感じがある。
結局どんなゲームなのか?
スキルベースアクションをターン式バトルにしてみた
デザインコンセプトは「原神のバトルシステムをターン制バトルにしてみる」だと思う。つまるところ、
キャラチェンジと元素反応の効果をうまく使う
キャラのスキルをうまく使ってDPS(時間当たりのダメージ)を高める
というのをポイントにしている。
早い話が「スキル回し上手くやって効率よく倒せ!」という話なのだが、対戦カードゲーム自体大元のルールがだいたい「相手より先に一定ダメージ与えろ!」なので実はそこの親和性は高い。
ちなみに、ライフが3キャラそれぞれ持っているので、じつは「単体に強いか集団戦で強いか」みたいなところも含まれている。
基本はサイコロと手札のリソース管理
このゲームのコストまわりはぶっちゃけ一言で説明しにくい。
なので箇条書きで書くと。
ラウンド開始に元素(属性)の書かれたサイコロを8個振る。
コストの支払いは「指定元素」「任意で全て同色」「任意」の3パターンもしくはその複合。
リロールや変換などにより、サイコロの色を変えることができる。
戦闘をするキャラカードは元のキャラと同じ「指定元素」をコストに要求してくるので、キャラが使えない分を手札のカードを使うとか、もしくは手札を消費してキャラの使える元素に変換したりしていい感じに動く。
ようは「毎ラウンドのサイコロ8個と手札を使ってどうやって最大限動くか」というのが基本的な考えで、このゲームのキモになる。(カードゲーム的には至極真っ当な話だが…)
ちなみに「手札を捨てて、サイコロ1個を現在のキャラの元素に変換する」という仕組みがあるためか、このゲームのドローは普通のゲームからしたらわりと狂った性能をしている。一方でサイコロは変換できても増やしにくいのでそこをボトルネックとしてゲームがぶっ壊れてるのを防いでいる…のかもしれない。
設置物+時間の消費 ⇒ リスク&リターン
古来より、「"低コスドロー"と”コスト踏み倒しカード”は環境破壊の元凶」というのが対戦カードゲームの通例だが、七聖召喚は「効果が出るのが遅いなら多少強くてもいいよね?」という割り切りからか、ネジのぶっ飛んだかのようにそういう効果が多い。
原神というゲーム自体「制約や前提条件が厳しいほど強力になる」という設計が多くみられるゲームなので、「特定のカードにしか使えない」「効果が出るのがラウンド終了時」みたいなカードはリターンが大きめに設定されている。(カウンターが一定載るとコスト踏み倒しとか)
一方で、手札のカードを使いすぎるとサイコロが無くなり、攻撃どころかキャラチェンジもできない隙を晒すことになるので、「設置物や遅延発動のを使うなら、その間殴られても取り返せるようにすべき」、となる。
というかこのゲームの肝で一番難しいところはこの「次のラウンドに何を持ち越すか」という選択と、相手の戦術を読む駆け引きによるリスク&リターン検討部分だと思う。(これはCPU戦のパズルモードで相手の行動が知れることからも重視されている部分だと思う)
強いカードとは?
カードゲームの基本にのっとれば「安定して動けるようにするカード」なので、ドローカードとコスト変換(あるいはオールマイティの万能元素を追加生成するカード)は評価が高くなる。
あとはキャラチェンジにターンやコストを消費しないようにするタイプの効果があるとテンポロスを防げるので強い。
(なにしろ、原神はキャラチェンで元素反応を起こすゲームなのだ)
権謀術数 :1マナ2ドロー。どう考えても強い。
最高の仲間!:2コストで万能元素2個産む。事故らない。
キャサリン :毎ラウンド1回、ターン消費せずにキャラチェンできる。
このあたりはだいたい入れておいても損はしない。あとはデッキの方針(短期決戦か長期戦か、コンスタントか瞬間ダメージかなど)に合わせて似たような効果のモノに差し替えていけばよい気がする。
特定のアクションのみ効率化するなどもあるので、割とキャラベースでデッキを考えやすいというのは良いところではないだろうか。もともとそういうゲームだし。
最後に
ゲーム内ゲームから派生したカードゲームだとFFの「トリプルトライアド」とかウィッチャーの「GWENT」とかあるが、わりとそれくらいの規模を狙って作ってきていると思う。
なにより、『原神』というゲームのカードゲームへの落とし込み方や、UI&演出、シングルゲームとしてのシステムまわりなど、既存のカードゲームをしっかり研究したうえで作っているのが感じられるのが好感度高い。
正直なところ遊ぶためにゲームをけっこう進めないといけないのだが、カードゲーム好きなら一回触ってみて欲しい。
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