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瘢痕と友達になった話

この1年で成長したこと考えよ、と思った。
ゆるく生きることとか、色々できるようになった。
でも1番は、「イケてる友達」をゲットできたことかな、と思う。

私は、去年の今時期、
過去の手術でできた瘢痕の痛みとタイマン張っていた。

※以下参考サイト、傷跡画像苦手な人は注意

泣く子も黙る「手術創」くんである。

人間というのは、いろんな傷を抱えて生きている。
心の傷とか手首の切り傷とか名誉の傷とか色々。
生きてたら大体の傷は塞がる。
傷は塞がると、「熟成瘢痕」というものになる。
塞がってもちょっと目立つものもある。
局所因子、体質、悪化因子によっては、完全に塞がっても痛むものもある。
その中でも、低侵襲手術とかではない手術創は必然的に真皮網状層が広範にぶった斬られることになるので痛いものになりやすかったりする。
私はこれだ。

私は長年、いちいち自分の体とか気にしてたら死ぬみたいな状況で生きてきたので、手術創くんもシカトして生きてきた。
運か努力の甲斐があってか、地位名声名誉を得、安寧の日々を享受する私の前に、
手術創くんは立ちはだかった。
「貴様など知らん」と言う私を、手術創くんは突然殴りつけてきた。
泣きながら病院に駆け込んだ私は、
そこで初めて自分が一部臓器をペイした過去について思い出した。
信じられないことに、私は長年重要な記憶が欠落していたのだ。
私は恐ろしくなった。(誰も教えてくれなかったこと含め)
今までの人生が誤った前提の上で成り立っていたからといって、今更どうしろと言うのか。
私の存在自体が間違っている可能性すら感じられて、
突然地獄に落とされたのかという衝撃だった。
まあ私もそれを完全に悲観できるほど浅く生きてきた訳ではないので、
「なるほど…わかった!」ということにして、
表面上は明るく笑顔で過ごした。

しかし、
私はそのことを考えると息がうまくできなくなったり
少しの摩擦ですら瘢痕が痛む
その痛みが、少しずつ傷が裂け私の体が真っ二つになる恐ろしいイメージを想起させ気分が悪くなる
など様々な心身症的な症状を抱えることになる。

外からは見えない部位にあり
状態もそこまで悪くないにも関わらず
何故か日に日に痛みだけが増していき、
縫製や造りによっては着れない服も出てきて、
大好きなおしゃれも楽しめなくなった。
その頃イベントコンパニオン系の仕事をしていたのだが、
衣装が「確実に痛いやつ」であったにも関わらず着た結果、
もう傍目に分かるほど顔面蒼白になり、
息がうまくできなくなって立っていられなくなり途中で休む(まあ気合いでやり切ったんだけどな!)、みたいなこともあった。

痛くて辛くて仕方なく、
大きな病院の形成外科に紹介状を書いてもらい、
それらしい診断名と治療の選択肢をいただいた。
治療は今以上の「クソやべえ」激痛を伴う上に、良くなる可能性も低く、断念した。
理論上は一生このままらしい。
トボトボと散歩しながら帰った。
(この痛みがずっと・・・?
私の人生、終わった)
どうやら救いはないらしく、もういいや、になった。

そして私は復活した。
なぜなら別に死なないからだ。死なない限り私は何度でも復活する。
せっかくなので(?)、全てを捨てて別の街に暮らすことにした。
「今までの」人生が終わったなら、新しいページをめくってまっさらなとこに書くまで。
今までの地位とか名誉とか全てを美しく「完結」させ、土地や人に別れを告げた。
生き直すために。

新しい土地で、いろんな人と出会ったし経験をした。
心身症あるあるらしいが、
環境を変えたからか、今までの何?というくらい症状が小さくなった。
触っても痛くない。
めいっぱい深呼吸できる。
体を動かして笑える。
とても幸せである。
手術創くんは以前のように私を痛めつけるどころか、
ニコニコと見守ってくれている。
むしろ、私のルセラフィムな腹筋によく似合っていてかわちぃ。

経緯が経緯だったからか、
私はこの傷を嫌ってしまっていたんだな、と気づいた。
まあ、嫌うことになった要因も様々なんだけど。
なぜ自分の体の一部を嫌う必要があるんだ!って話な訳で。
一緒に棺桶に入る仲である。
それは瘢痕くんも怒るよな。

殴り合ってお互いを認め合い、魂をぶつけ合った仲になる。
私はそういう生き方をしてきた。
瘢痕くんには何度もボコボコにされたけど、
瘢痕くんもよく知ると別に悪いやつではないのだ。
全身の炎症とか起こると一緒になってリンチしてくる風見鶏なとこもあるが、
それはあの時代を生き抜いた強者の証であり、
エストロゲン分泌されすぎると教えてくれる面倒見のいいやつで、
過度の飲酒と運動なんかすると止めてくるお節介なとこもあって、
どこまでも自分に正直なやつなのだ。
自分の体の扱いが不得手な私の大切な友達だ。

まとめ

長らく苦しんだからこそ分かることもたくさんあった。
「案外なんとかなる」らしい。なんとかなってる…よね?
新しい人生、最高です。

友ズには、この歳にしてどんな人生送ってんだ、とツッコまれる私ですが、
これからもいろんなやべー奴らとのバトルを楽しんで、
仲間を増やして次の街へ
そしてゆくゆくは世界のジムリーダーになるべく、
今日も自分の人生を生きよう。と思った。

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