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【自家製ビールだけでなく、ホップの栽培法も】 手づくりビール読本

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Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。

今回はこちら、初心者から本格派・ガーデニング派まで楽しめる「手づくりビール読本」です。

何年か前、自家製ビールを作ったことがあります。東急ハンズに行くと「手づくりビールキット」を買うことができるんですよ。

必要な道具から麦芽、ホップ等の材料まで全てが揃っています。「美味いビールを飲みたい」そう意気込んで作ったその時のビールの味は、ここでは語るまい…

栓を抜いた瞬間に噴出した泡でできた天井の沁みだけが、あの時の徒労を思い出させてくれるからです。

キットを使えば誰にでもビールづくりはできるんです。出来上がりの良し悪しは別にすればの話ではありますが…本書は、そんなキットではなく、材料を自分で揃えて造ってしまおうというものになっています。

特徴は、造り方そのものは類書とそう変わらない内容でしたが、それぞれの操作の意味を事細かに説明している所が良かったですね。一つ一つの操作でも、漫然とするだけでなく、なぜするのかを知っているのと知らないままするのとでは、姿勢も違うし、意気込みも異なると思います。

したがって出来具合にも大きな違いがある筈だと思いませんか?

私のセカンドキャリアはビール会社でサラリーマンしていましたので、それなりにビールには詳しいと思っていますし、農業生産法人時代には地方創生事業でホップ栽培に取り組むなどしてきたので、本書のしっかりした内容に感心しました。

さらに、ビールづくりの前に「とりあえずビール」をつくって、全行程の段取り、仕組みを理解できるようになっているのもポイントですね。

一度ざっと体験した後に、本格的に取り組めばその分成功する確率も高くなるというものですよね。

新鮮な香りづけのためのホップ栽培を含めて、すべての資材などの入手法も記載してあるので、近所で入手できなさそうなものでもネットなどから入手できると思います。

準備が整って麦汁をキッチンで煮はじめると、たちまち甘い香りが家中に漂いはじめてきます。そこに摘みたてのホップを加えると、甘い香りに爽快な香りが少し加わるのです。こんな体験はなかなかないですよ。

これは、まるで煮込み料理をつくるのと似ているようにも思いますが、この工程こそ、ほかの酒づくりにはないビールづくり特有の煮沸する工程に当たります。

この工程は、どんな大手ビールメーカーであっても、たとえ小規模なクラフトビール醸造所であっても、さらにはこれから紹介するホームブルー、つまり自家製ビールづくりでも、まったく同様の工程があって同じ香りが漂うのです。

ところで煮込み料理といえば、カレーやシチューを思い出しますが、レトルトのカレーや缶詰のシチューを自宅で食べたことは少なからずあるのではないでしょうか。

しかし、どんな三ツ星レストランの缶詰であっても、手製のカレーやシチューのほうがずっと美味しいと感じたりしませんか。

もちろん、レトルトカレーにも利便性や衛生面など利点は多々あります。そして、そこそこに保証された味と品質、そして何より暖めるだけでできる即席性があって、地方ごとの特色や世界中のカレーが愉しめたりします。

しかし料理としての満足感は、自宅ではじめからつくり、自分の好きな具材だけで、ことこと煮たカレーにはかなわないものです。

ましてや、そのカレーの具材として収穫したての野菜を加えて煮込んだら、美味しさも満足感も何倍も増すはずです。

ホームブルーの場合も、このカレーづくりと同じことが言えるのです。レトルトカレーのように、味を決める要素がすべて用意されているわけです。

ビールキットといわれる缶を購入して家庭でビールをつくる方法があります。

これは一度煮沸して酵母を加えればビールができるという商品で、レトルトカレーほどには簡単ではないし、自宅に居ながらにして発酵の妙味も楽しめはしますよね。

入口はこれでいいと思うのです。しかし、そこには自分のつくり出した味はないのです。そこで新しい選択肢として、甘い麦汁を濃縮させたモルトエクストラクトを購入してビールをつくる方法があります。

この方法では、自分でホップやその他の材料を添加するので、かなり味の自由度は増えることになります。

ただ基本となる麦汁を変えることはできないので、例えばカレーづくりなら、旨味の元を市販のルーに頼り、香りづけに月桂樹の葉やブーケガルニを一緒に煮込む程度のことでしょうか。

自分の思い描く味のビールを自宅でつくるには、やはり麦芽から麦汁をつくることからはじめることになるのです。

甘くない麦芽を温水に浸して糖化させることにより甘い麦汁ができるのですが、この作業は、温度さえ管理していれば麦芽が自然に糖化していくので、カレーのルーをつくるよりはるかに簡単な作業なんですよ。

甘くない穀物が褐色の甘い液体に変わるのは、実に不思議で感動的な体験となります。

たとえ日数や手間がかかっても、世界で唯一かつ世界で一番の自分好みにできる点で、最高に楽しくかつ美味しいのだから、逃す手はありません。

そして本書が独特なのが新鮮なホップを入手する唯一の方法について述べられている点です。

カレーでは月桂樹の葉、タイム、パセリなどのハーブを束ねてブーケガルニとして用いますが、新鮮であるほど香りが強いものです。だとすれば、できるだけ新鮮、できれば摘みたてのものを使いたいですね。

自宅の庭に月桂樹が あれば通年でその葉を摘めますし、あるいは庭はなくてもプランターで育てたタイム、パセリを、収穫期であれば、摘んですぐに使うことができます。

実はホップも、これらのハーブと同じで、摘みたてほど香りが強いのです。

キリンビールなどでは「とれたてホップ一番搾り」を発売していますが、これは国内ホップ栽培でトップクラスの生産規模を誇る岩手県遠野市で、今年収穫したばかりのホップを使用しており、生のホップを特許技術によって凍結させることで、青草や果実のような新鮮な香り成分が際立つ設計になっています。

やはりできるだけ新鮮なホップを使ったビールが飲みたいですよね。ところが、一般にホップの生産地とビールの生産地は地理的に離れているので、商業生産されるビールに使われるホップは新鮮ではありません。

保存や輸送をするため、収穫されたホップは乾燥され、破砕あるいは圧縮されてペレット化(圧縮成型して固めること)されてしまうのです。多くのホームブルーワーが手にするホッブは、輸入品のペレットで、収穫時期すらわからないのです。

新鮮なホップを手に入れる方法は、一つしかありません。それは、自宅でホップを栽培することです。自宅にホップがあれば、通年とはいかないまでも、収穫期には、フレッシュなホップでビールをつくることができます。

もしかしたら、大手やクラフトビールメーカーをも凌ぐビールを、 自宅でつくることができるかもしれないなんて夢があると思いませんか?

ホップは、基本的にはプランターでも栽培可能ですし、農薬も不要という、驚くべき成長力のある植物で、さらにありがたいことに、多年草のため、冬には地上部が枯れるが、毎年、春には芽吹き、瞬く間に8mを超すまで成長するので、夏にはグリーンカーテンにすることができるのです。

また、食べることもできるなどなど、ビール以外にもさまざまな使い道がある植物なのでホームブルーをするのであれば、ホップ栽培に取り組んでみましょう。

それではまたお会いしましょう!

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